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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
16章:とうとう来たかハーレム展開!?

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 東宮の入口から少し離れた広場に、巨大な瞬間移動の魔法陣が開く。

 ルーブルを先頭に、レウとその侍女と護衛二人、リラとその侍女二人と護衛二人が出てくる。私とコロン、クーナ、ルピアがその後ろに続く。


「さすがですわ、先生。十四人を一度に運ぶなんて。オーガなんて四人分くらいありますのに。」


 レウが、ルーブルを褒め称える。

 でも私が四人分換算ってのは余計じゃないかな。


「さほど遠くありませんから、大丈夫ですよ。」


 ルーブルは平静を装う。

 本当は東宮の入口にバチッと到着するつもりが、少しずれてしまったので、内心ドキドキしていた。

 オーガを一人分と数えてしまった単純ミス。運ぶ量が重すぎたのだ。


「東宮に研究のための部屋を用意しておりますわ。」


 レウの侍女に先導されて、一行は東宮の門をくぐる。

 道すがら、リラとレウは王子の悪口を言っているようだ。皆、聞こえないふりをしている。


 私はたまたま隣に並んだルーブルに話しかける。


「レウ様の魔法の先生って、ルーブルさんだったんですね。」

「ええ。姫からの直々のご依頼と聞いて、キンユーから急いで帰ってみれば…まさか、あなたのことだとは思いませんでした。」


 え。なんか、すみません。

 でも、私は悪くないよね。


「こんなことなら、魔法の訓練の時にあなたの魔法を見ておくべきでした。魔法陣の解除に手こずるとは思っていましたが、あそこまで…」


 なんか、愚痴が始まりそうだ。

 話を変えよう。


「北部要塞って、今どうなっているんですか?」


 マンガンも行っているという戦場。

 知り合いが戦争に行くなんてことは、転生前にはありえなかった事だ。想像すらしたことがない。

 だから、とても気になる。


「そうですね、今は膠着状態です。そもそも難攻不落の要塞ですし、籠城軍は攻城戦が得意ではありませんから。せいぜい戦車隊が砲撃を加える程度ですね。」


 私たちも第一籠城軍の所属だ。いざとなったら戦わなければならないのだ。

 怖い。


「たまにオーガやゴブリンの部隊が出てきて、小競り合いがありますが、大きな戦闘は起きていません。」


 良かった。マンガンはそんなに危険な場所に居るわけではなさそうだ。


「今は、第十五籠城軍が北部要塞を囲んで、補給をできなくしています。」

「兵糧攻め…」

「そうですね。でも、瞬間移動魔法がありますから、完全に補給を断つことはできません。」


 魔法があるから、私の世界の戦いとは戦略が同じではないんだ。


「補給を止められないなら、どうして包囲を?」

「物資を運ぶには魔力が必要です。要塞からシヘー軍を遠ざければ、その分補給が難しくなります。」


 瞬間移動の魔法は、運ぶ物の重さ✕距離で必要な魔力量が変わる。

 必要な魔力量が、その人が一度に使える魔力量の最大値(=魔力容量)を超えることはできないし、最大値に近づくと、たちまち魔法は不安定になってしまう。


 魔法が不安定になると、さっきのルーブルみたいに到着地点が変わってしまったり、プラみたいに炎が尻から出てしまったりすることになる。


 包囲作戦は、瞬間移動の距離を伸ばして敵の補給量を減らすための作戦なのだ。


「増援が来るまで、北部要塞のシヘー軍が態勢を整えるのを遅らせる作戦です。」

「でも、その対抗策を相手も考えているんじゃ…。」


 そんな分かり易い作戦なら、なおさらだ。


「山脈の反対側にシヘー軍が部隊を集結しているという情報は得ています。一点突破で、包囲を突っ切って要塞に入る作戦でしょう。」

「大丈夫なんですか?」

「対策はあります。」

「どんな?」

「軍事機密です。」


 そう言って、ルーブルは指を口に当てる。

 そりゃそうか。罠のことを言いふらしたら、罠の意味がないもんな。



 東宮の中は、バロック調というかロココ調というか、とにかく、派手で豪華な調度品がずらりと並んでいた。

 壁や天井には様々な絵が描かれ、梁や扉も凝った装飾でデコられている。


 あまりにも沢山ありすぎて、逆に悪趣味に感じる。様々な色や形が主張していて、ゴチャゴチャだ。


「こちらですわ。」


 廊下の突き当りは、地下に続く階段だ。


 やだなー。

 お城の地下室って言ったら、暗くてジメジメしてて、倉庫とか牢屋とか拷問部屋とか、そんなイメージしかない。

 この部屋を準備してくれたのが、血みどろ姫のレウなのだから余計に怖い。


 まさか、地下室で解体とかやってないよね。

 つい、血だらけで真っ赤になっている地下室を想像してしまう。

 うへぇ……


 ちょっと怯えながら地下室に降りる。


「うわぁ、キレイ。」


 ルピアが思わず声をあげた。

 クーナは息を呑む。

 ルーブルも「ほうっ」と感嘆の吐息。


 部屋は広く、学校の教室二つ分くらいある。光の魔法で照らされていて、落ち着いた明るさ。とても地下室とは思えない。

 また、壁も天井も白と緑を基調とした色で統一されており、地上階のようなゴテゴテ感とは一線を画した空間になっている。

 壁の色にあわせた家具も腰の高さに統一されていて、圧迫感がない。


 部屋の真ん中には木のテーブル。木目そのままだが、天板には継ぎ目がない。大きな無垢の一枚板テーブルだ。


「以前は陰鬱な部屋だったので、昨年私好みに改装したんですわ。」


 レウが天使の微笑みで自慢する。

 赤色がメインじゃなくて本当に良かった。


 レウが護衛に声をかけると、二人の護衛は下がって行った。リラも同じように護衛を下がらせる。


「まずは飲み物をどうぞ。一息ついてから始めますわ。」


 レウの侍女がテーブルに飲み物を並べていく。フローリンとは別の人だ。さすがに、レウの解体現場を目の当たりにして、レウの侍女を続ける事はできなかったらしい。

 今の侍女の人は平気なのだろうか、それともまだ解体を見ていないのだろうか。


 そんな事を考えながら、ふと辺りを見回す。

 美女や美少女に囲まれて、オーガが一人になっているじゃないか。

 紅一点の逆を黒一点と言う人もいるけれども、これは「酷」一点だ。


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