表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
15章:北部戦線異常あり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/200

80


 数日後…


 薄暗い部屋の中で沢山の男たちに囲まれ、私は、まわされていた。


「もう止めて…ください。こんなに無理ですっ! もぅダメっ…。」


 クーナの指導のもと、複数の魔法使いが私をまわす。

 それを、兵士長ギルダーが眺めてニヤつく。


「…いきなり…こんな事。なんでっ?」


 私は、友達のはずのクーナに助けを懇願する。


「お願い、助けて…。ゲホッ…だめ、出る。もう出ちゃう。」

「まだまだだ。まわせ。」


 ギルダーが冷たい声で魔法使いに命じる。


 ギルダーめ、絶対許さない。


「朝ご飯…出ちゃうって……ぁふっ…」


 私は、とうとう気を失ってしまった。


「止めろ。」


 ギルダーの合図で、私を固定している回転盤がゆっくり止まる。

 回転盤には軸の上に長い棒が伸びており、私はその棒に束縛魔法で(はりつけ)にされていた。


「まさか…角の亜人が、こんなことで気絶するのか。」


 ギルダーが目を輝かせる。


「先日は自分で回って倒れた上に、一時間以上目を覚ましませんでした。反睡眠魔法で無理矢理に起こしています。」


 ソルが先日の様子を報告している。

 クーナは私に梯子(はしご)を掛けてよじ登り、私の口に薬を入れる。


「ぐはぁ。ペッペッペッ!」

「おお、起きましたね。」

「クーナさん!? 何飲ませたんですか?」

「だだだだ大丈夫です。たただの気付け薬です。」

「気付け薬って、匂い嗅がせるやつですよね! なんで口に入れるんですか。」

「オーガは、にお匂いに鈍感ですから、しし仕方ありません。」


 そうでした…、確かに匂いには鈍感です。

 だからって、こんな刺激臭の強いもの口に入れられたらキツい。

 しかも動けないから抵抗すらできない。

 あー、気持ち悪い。


 クーナは私から降りると、梯子(はしご)を外す。


「よよ良いです。」


 良くない!

 一体、これは何をしているんだ。

 私をグルグルと回して、皆で眺めている。

 何これ。儀式なの?

 何か降臨するの?

 まずは胃袋の中の朝ご飯が、降臨してしまうよ!


「早くこれを外してください!」

「もう一度回せ。」


 ギルダーが指示する。

 魔法使いたちが、回転盤に魔法を掛ける。すると、再び回転盤が回りだした。


 何だこの拷問。

 誰も説明してくれない。


「ギャーー、目が回るーーー。」


 ギルダーたちは、回る私を観察している。


「この転生者だから気絶すると言うことではないのか。」

「いや…、これは身体の問題ですな。魂は関係ないでしょう。」


 冷静に分析するのはドラム先生。

 テルルの上司で、前に()っとい注射をしてきた医師だ。


「身体の大きさに対して、三半規管が人間並みの大きさしかないというのは確認しています。そのため、平衡感覚を崩されると弱いようです。」


 説明モードのクーナが、ドラムと話し込んでいる。

 昨日、私の頭を透視魔法で覗いていたのは三半規管を確認するためか。


「それだけじゃない。遠心力で体幹部分の血が外側に引っ張られるから、脳への血流が減るんだ。だから気を失う。」


 ここには透視魔法を使う魔法使いも何人かいて、私の身体の中や体調などの様子をモニターしている。


「止めて〜! 死ぬーー!」


 私は叫び続ける。

 が、間もなく、


「…ぅへぇ…」


 また気絶。


「血管が太いから血液が外に寄りやすいのだろう。」

「この検体は子供ですから、大人のオーガはもっと血管が太いはず。恐らくこの結果よりも早く症状がでるのではないでしょうか。」


 ドラムとクーナは分析を続ける。


「で、どうなんだ。これは、オーガの弱点と言えるのか。」


 ギルダーが、ドラムとクーナに聞く。


「個体差はあるでしょうが、多くのオーガが回転に弱いはずです。」

「そうか、これでオーガを恐れる必要はなくなったな。」


 ギルダーは満足そうだ。


「早速、軍団長に報告だ。北部要塞の奪還も早まるかもしれん。」


 ギルダーは魔法使いたちを連れて部屋の外に出て行く。ソルとドラムもそれについて行った。


***


「ごべぇ!!」


 また、クーナの気付け薬を飲まされた。

 私は束縛魔法の拘束を解かれ、床の上で横になっていた。


「めめ、覚めましたか。」


 覚めたよ、バッチリな!

 ぶん殴ってやりたい気持ちをぐっと抑える。(オーガ)の力で殴れば、錬金術師(クーナ)殺害事件が発生してしまう。


 そうだ、ギルダーは?


 辺りを見回す。居るのはクーナと数人の兵士。兵士たちは回転盤の片付けをしていた。

 ギルダーもソルも居ない。


 今朝、私はソルに呼ばれて、コロンや直轄部隊の皆と別行動になった。

 ソルに連れてこられたのが第一兵舎のこの薄暗い部屋。


 有無を言わさず束縛魔法で動けなくされると、変な回転する板の上に乗せられた。そこからは地獄の拷問だった。


「何だったんです、これ?」


 私はクーナを問い詰める。クーナは説明モードで答える。


「オーガが回転に弱いと言う報告があり、その実証実験でした。弱いと言っても、目を回して起き上がれない程度かと考えていましたが、まさか失神するほどとは。素晴らしいデータが集まりました。さらに、今回は新しい気付け薬の実験まで出来て一石二鳥と言わざるを…」


 もういい。

 とりあえず、私を気絶させる実験をしていたという事は分かった。


 クーナを無視して、立ち上がる。

 足元がふらつくということはなさそうだ。でも、気持ちちょっと吐きそう。


「実験なのは分かった…。」


 私は怒っていた。


 クーナの襟首を掴んで持ち上げる。

 オーガの力なら簡単だ。


「ひゃあっ。」


 クーナを私と同じ目線の高さまで持ってくる。


「でも、実験する前に、どんな事をするのかちゃんと説明してください。」

「ひゃい!わわわわわ分かりました。」


 私の怒りはまだ収まらない。

 クーナとの友達関係はこれでおしまいだ。

 念話を掛けてきてもブロックしてやる。


「おわ、お詫びに、は母のお土産のお菓子を食べましょう。」


 ん…。そこまで誠実に謝るんなら、仕方ないな。

 私たちは友達だからね。

 

登場人物紹介

「ドラム」

種族:人間(コーカ国民)

年齢:59

身長:176

体重:66

所属:軍立病院第1病棟医師

趣味:山登り(最近は行けていない)

備考:

 軍立病院で第一線で働く医師。将軍の主治医でもあり、リラの居室に入れる数少ない男性。

 軍のいろいろな所から頼まれて、仕事を押し付けられている。断れない性格。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ