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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
13章:かいたい☆プリンセス

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 家…の解体では、見てて吐くなんて事にはならないよな。

 しかも姫様が家屋解体とかイメージつかない。

 解体って、一体何をしているんだろう。マグロの解体ショーみたいなのしか浮かんでこない。


 私の邪推をよそに、レウは小さな花々で可愛い花束を作っていた。

 花束を持つレウ姫の天使感が半端ない。


 解体ってのは、何かの聞き違いかな。

 きっと、そうだろう。


 もうすぐ、花束ができあがりそうという時、三人組の男たちがやって来るのが見えた。

 リラが苦い顔をして呟く。


「やっぱりかー。近衛兵がコロンたちの許可を渋ったっていうんだから、もしかして…とは思ってたのよね。」


 リラの苦手とする人が現れたようだ。

 コロンから念話の着信が入る。


『何? コロンさん。』

『あちらからいらっしゃるのは東宮様。王子殿下です。下がってください。』


 王子様?

 しかも東宮だから、王位継承順第一位。次の王様だ。


 私とコロンは慌てて場所を移動する。

 丁度、フローリンが大変なことになっている木を隠す形で、私は跪く。


 男たちの真ん中は、堂々としてゆったり歩く中年。少し太って貫禄もあり、いかにもボスって感じ。


 王子って言うと、もっと若くてイケメンなイメージだったけど。王様が健在なら、年取っても王子か。


『東宮ってことは、レウ姫様のお父さん?』

『はい。そして、リラ王女の兄君です。』

『兄妹!? 歳が離れすぎてない?』

『リラ王女とは三十歳離れておられます。』


 どのくらい離れているか、よりも、どうして離れているかが知りたい。


『王子殿下の御母堂は第二王妃フラン陛下で、リラ様の御母堂は第五王妃リエル陛下です。』


 むむむ。思っただけのことがコロンに伝わってしまった。もう少し念話魔法の練習しないといけないな。


『リラ様は、お兄様と腹違いになるんですね。』

『はい。』


 コーカの王室は一夫多妻なのか。王様ってのは子孫残さないといけないから、仕方ないんだろうな。


 王子の左右の二人は、侍女たちの服に似た赤いスーツの様な服を着ている。きっと執事だ。


 右側を歩く初老のエルフは、しなやかで無駄のない歩き方。できる男といった感じ。

 左側はまだ若い男の子。まっすぐ顔を上げて、一生懸命付いてきている。


 三人組は、私の作った花畑まで来た。

 花など気にせずズカズカと踏んでいく。


 雑草の花だから仕方ないんだけどさぁ。無視されて踏まれるのは、ちょっと嫌だな。


 レウとリラが深い礼をする。私たちも頭を下げる。

 真ん中のボス、東宮様が口を開く。


「何か…生臭くない? なにこれ…オーガの臭いなん?」


 中年の見た目とは思えない言葉使いに、私の目が点になる。もっと威厳のある言葉が出てくるのかと思った。


「いやー。オーガってこんなに臭うもん?」


 失礼な。私はリラ王女と会う前には、必ず風呂に入って香水までつけるんだぞ。

 臭いはずがないじゃないか。

 きっと、フローリンのリバースの生臭さが漂ってしまっているのだろう。


「お兄様、オーガは臭いませんよ。」


 リラが反論してくれる。


「そうですわ、お父様。むしろ、爽やかな良い匂いですわ。」


 レウも擁護してくれる。

 香水つけてて良かった。


「んん!? そなた、レウか? 前に会った時と格好が全然違うから気付かなかったよ。アハハハハ。」


 自分の娘に気付かないなんて、どんな親だ。


「五日振りですから、仕方ありませんわ。」

「えー、そんなに会ってなかったっけ。お父さん、超寂しいなぁ。」


 王子がこんな調子で、この国の将来は大丈夫だろうか。

 裏庭っていうプライベート空間だから、気を抜いているだけだと信じたい。


「では、そんな寂しがりのお父様にプレゼントですわ。」

「ありがとう、レウ。お父さん、嬉しいよぉ。」


 レウは、今まで作っていた花束を王子に渡す。王子はそれを受け取ると、早速、花の香りを嗅ぐ。


「優しい匂いだね。小さな花々は匂いも控えめで良いや。」


 さては、私が咲かせた花が生臭いか確認したな。この臭いは花のせいじゃないからっ!


 そんな事を考えていると、王子がこちらを向いた。

 中年の鋭い眼光にドキリとする。

 今の私の考えが見抜かれた訳じゃないよな。



 役所でも、課長クラスの中年からの視線には困ることがある。

 人生も半分を超えて、課長くらいになる人だと、私が考えていること以上の考えを持っているから怖い。

 私の心の中を探るような、何か試すような視線。



 王子はそんな視線を私に向けたまま、リラに言う。


「このオーガはリラのでしょ。」


 何だか私、モノ扱いされている気がする。

 でも、リラは自慢気に言う。


「そっ。直轄部隊所属よ。」

「そんなので遊んでないで、早く彼氏を見つけて来なさい。」


 なんか…お父さんというより、歳の近いお母さんか、仲のいい友達みたいな感じで話すんだな。


「そうは言っても、なかなか良い相手が居ないの。」

「なんのための直轄部隊なんだか。」

「あの部隊は優男ばかりなのよ…。」


 え? 将軍直轄部隊って、リラのお婿さん候補の集まりだったの?

 確かに、隊長のソルと事務のプラ以外は、結婚適齢期な感じの若者ばかりだ。


「隊員を鍛えてまくってるってのは聞いたけどさぁ。」


 溜め息交じりに王子が言うと、リラは鼻息荒く熱弁する。


「筋肉をしっかり育てないとね〜。夫になるなら相応の努力はしてもらわないとダメでしょ。」


 リラの旦那様になる人は大変そうだ。 


「壊さないようにだけは気を付けてよ。じゃあ、またな。」


 王子はそう言って、若い方の執事に花束をポンと渡し、行こうとする。


 あれ? 五日振りに会った娘とは、もう話さないの?

 さっき寂しいって言ってなかったっけ。


 王子たちはさっさと王宮の方へ歩いて行ってしまった。


「はぁ…疲れた。やっぱり、あの人苦手だな。」


 リラがしゃがみ込む。


 えー。仲良い家族みたいで、和やかな雰囲気の会話だと思ったけどなぁ。

 …やっぱり、王家の確執とかがあるのかな。


王女と姫の違い(コーカ王国設定)

 「姫」は高貴な家柄の娘に使われ、その中でも君主の娘に限定して「王女」が使われる。

 リラはコーカ王の娘なので「王女」。

 レウはコーカ王の孫ではあるけれども、娘ではないので「姫」。

 あの王子が王座についた時にレウは「王女」となる。

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