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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
13章:かいたい☆プリンセス

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 私は覚えたての念話魔法をいろいろ試してみる。


『複数同時に会話もできるんだ。』

『ちゃんと顔が思い浮かべられるなら、何人とでもできるわ。』


 グループ通話もできるなんて、高性能だな。


『これ、思った事全部が会話筒抜けにならないですよね。』

『大丈夫よ〜。ちゃんと気を付けたら嘘もいけるわ。』

『リラ様、嘘はやめてください。』


 リラの発言をコロンが注意する。

 どっちの意味だ? リラが嘘を吐くことを咎めているのか、今のリラの発言が嘘なのか…いや、嘘を吐けるが嘘なら、本当だから……ん? 分かんなくなった。


 同じ部屋に居るのに、みんな念話で話している。

 楽しいな、この魔法。


 こんなに簡単なら、地下迷宮で魔法使えるようになってから、すぐに教えてくれたら良かったのに。

 あの時なら、転生者組やルピアとも連絡取れるようになっていたはずだ。


『でも、顔をイメージするのが苦手だったり、思った事が全部出てしまう人もいるんです。』


 おお。クーナは、念話だと説明モードじゃなくても淀みなく話せるんだな。


『そうそう。だから、念話魔法使わない人も居るよね〜。』

『母です…』


 そういや、クーナのお母様が壮大な誤解をしたのは、念話が苦手なせいだとか言ってたな。

 会話は重要。意思疎通を図るには、まず会話からだ。

 念話魔法はとても便利。そして念話ですら、ちゃんと翻訳してくれる翻訳魔法も便利。


『あ、そうだわ。』


 リラが突然なにかを思い出した。


「レウちゃんが、花畑を作るオーガを見たいって言ってたのよ。今からどう?」


 レウちゃんって誰?


 花畑を作るオーガって誰?

 …それは私か。


 沢山の花々を咲かせる『百花繚乱』の魔法をリラに披露したのは、つい先日。

 それからリラは、私をそんな風に見てたのか…。見せ物の一発屋みたいに言いふらしてるんだろうなぁ。


 で、


「レウちゃんって誰ですか?」

「あたしの姪。」


 リラ王女の姪…ってことは王族だ。


『レウ様は東宮の姫君、つまり王子殿下の御息女になります。』


 コロンが説明してくれる。


「ありがとうコロンさん。でも、念話でなくても大丈夫です。」

『ああ、そうでした。つい。』


 それすら念話で返してしまったコロンは、恥ずかしそうに顔を赤くする。


「レウちゃんは歳が近くて妹みたいなの。お人形さんみたいで可愛いし。」


 東宮の姫君ってことは、かなりの重要人物(VIP)じゃないか。

 私なんかが会ってもいいものなのだろうか。


 …あ、リラの方が偉いんだっけ。王位継承権二位で将軍だもんな。

 リラって全く偉そうじゃないから、忘れてたよ。


「どう? 今から。」

「今からは駄目ですリラ様。一時間後には会議ですよ。」


 フリヴニャがリラを止める。


「大丈夫だって。魔法を見せるだけだし、半時間くらいで終わるから。」

「今日の会議は遅れられません。」

「絶対に間に合うって。お花咲かせたら帰って来るし。」


 そんな、人を花咲かじいさんみたいに。


「取りあえず、レウちゃんは暇かな〜?」


 リラは念話魔法で連絡を取る。

 フリヴニャは複雑な顔をしている。


「私に拒否権はないんですかね。」

「ないですね。」


 コロンが即答し、私に憐れみの目を向ける。

 リラの念話は終わったらしい。 


「キナ、王宮の裏庭まで。」

「仰せのままに。」


 侍女の小さい方、キナが瞬間移動魔法を開く。

 私はリラに引っ張られ、渋々立ち上がる。

 フリヴニャも付いてこようとすると、キナが少し泣きそうな声を出す。


「無理です。リラ様とオーガを運ぶので一杯です!」

「じゃー、フリヴニャはここで待ってて。」


 リラは手を振る。


「駄目です。リラ様の侍女ですから追いかけます。時間になったら連れ帰りますからね!」


 フリヴニャも瞬間移動魔法を開く。


「はいはい。ちゃんとついて来てよ。」


 リラと私は、キナの魔法に乗って消える。

 次の瞬間、フリヴニャも消える。


 部屋に残されたクーナとコロン。二人はすごすごと将軍の居室を出る。


「お、置いてかれてしまいましたね。」


 クーナからすれば、友達の部屋に遊びに来たら、その友達が自分を置いて外に行ってしまったという状況だ。

 クーナはそんな気分をコロンと共有し、慰め合おうとする。


「わたしは、まだ(・・)オーガの侍女ですから。」


 そう笑って、コロンも瞬間移動魔法を開く。


「え?」


 コロンも消えた。クーナは一人ポツン。

 そこへ、隣の待機室からソルが出てきた。


「お、エルフのお嬢ちゃん。もう、お帰りかな?」

「あっ、はい。まだまだ沢山、け、研究があるから、帰ります。ありありありがとうございました。」


 クーナは深い溜め息を吐きながら研究室へと帰っていった。ちょっと泣いてた。


***


 王宮はコーカ城の真ん中にある。

 正確に言うと、王宮を囲むように後からコーカ城が建てられたのだ。


 私たちが居るのは、その王宮の裏側に広がる庭園。

 小さな川が流れていて、東屋もある。

 草花だけでなく、大きな樹も植えてあり、庭というより、ちょっとした林のようだ。


「レウちゃ〜ん!」


 リラが、姪っ子を探しに行く。


裏庭(ここ)には、王族と特別に許された者しか入れません。」


 キナがそっと教えてくれた。

 私は、特別に許された者ということなのだろう。


 …私は特に許されたくもないんですけど。

 一発芸見せさせるために、無理矢理連れてこられただけだしなぁ。


「リラ様ぁ。」


 樹々の間から返事が聞こえる。

 間もなく、林には似つかわしくない、真っ赤なドレスの少女が出てきた。


「お待たせしました。」


 透き通るような白い肌に、大きな青い瞳。長いウェイブの効いた赤毛に赤いドレスが似合っていて、本当にお人形の様だ。


「レウちゃん。あなたこんなトコで何してたの?」

「ええ、ちょっと解体を。」

「あんまり無茶しちゃダメよ~。また侍女変わっちゃうから。」


 そう言ってリラとレウは笑う。


 でも、私は聞き逃さなかった。

 …今、確かに「解体」って言いましたよね!


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