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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
12章:魔法陣をぐるぐると

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ⅬⅩⅤⅠ


 わたくしはルーブル。第一籠城軍の中でも五本の指に入る魔道士であり、教導隊の魔法班班長です。

 魔法を使った戦術を各部隊に教育する事が主な任務となります。


 今回の任務、「転生者に魔法を教えよう。ついでに魔法が苦手な兵士を鍛えよう。」作戦は、非常に重要な任務です。


 シヘーとの国境、北部戦線は芳しくありません。いつ、前回の空爆のような攻撃があるか分からない中、籠城軍兵士の能力向上は急がれる案件です。



 しかして、オーガの転生者。

 オーガ…今まであった人の中でも一番大きい。背が高いので、わたくしを見下(みお)ろしてきます。

 わたくしは人から見下(みくだ)されるのが大嫌いなのです!


「どうやって止めたら良いですか?」


 そんなオーガが水流魔法の止め方が分からずに慌てています。

 全く魔法を知らないということは、こういうことなのです。魂に魔法が刻まれ、産まれた頃から魔法と付き合ってきた我々と、転生者との大きな違い。


「魔法陣の円を(ほど)くようなイメージをしてください。」


 残念…やはり伝わりませんでした。

 昨日はバードマンの転生者にも同じ説明をしましたが、上手にはいきませんでした。


 仕方ありません。魔法陣の相殺をお見せしますか。


 わたくしの血筋には、魔族の者がおりますので、魔法に長けているのは言わずもがな。

 わたくしの魔法陣相殺は、コーカで一番と自負しています。大魔導師の皆様にもわたくしほど華麗に相殺できる方は居られないでしょう。


「この反魔法の魔法陣を適切な大きさにして、魔法陣同士ぶつけると相殺ができるのです。」


 というか、やはりオーガは大きすぎです。


 わたくしは浮遊魔法で、オーガより高くまで飛びました。

 オーガの水流魔法が、わたくしの反水流魔法に引かれて逆流し、皆様が歓声をあげます。


 こういう風にわたくしの凄さに注目していただけるのは嬉しい事です。

 ついでにオーガを見下ろす事ができました。


  パキィン!


 甲高い音がして、わたくしとオーガの魔法陣が消えました。


「これが魔法陣の相殺です。」


 わたくしは魔法陣が相殺されるの音が大好きです。

 

 魔法陣の相殺で、オーガと手が重なりました。先程、円を描いた時にも少し触れましたが、なんて大きな手でしょう。

 存在感というか、包容力というか…。


「ありがとうございます。」


 オーガに礼を言われて我に返りました。


 あの大きな手に触れたときの感触、自分でも理解のできない感情でした。

 わたくしは、大きい人が嫌いなはずなんです!



 次の訓練に移らないと。

 わたくしはデキる女です。こんな事で内心慌ててるのがバレてはいけません。


「では皆様、綺麗な円をイメージする特訓をしましょう。円のイメージは魔法陣の基本です。」


 ズレていた丸眼鏡を直します。


「まずは、今描いた円より綺麗な円が書けるよう練習しましょう。」


 わたくしは、描画の魔法で各人の掌に赤い真円を描きました。

 彼らが自分で描いた黒い円が、赤い円からはみ出ている部分が多いほど、円が歪んでいるということです。


「この特訓は回数をこなすのが一番です。円を描いては消してを繰り返しましょう。」 


 各人がボソボソと呪文を唱え始めました。

 描画の魔法は、頭の中のイメージを描く魔法ですから、魔法陣をイメージするにはうってつけのトレーニングです。


「赤い真円と同じ円が描けるようになったら、近くの教導隊員にお声掛けください。」


 後は隊員たちに任せます。できるようになった人から、少しずつ大きな円に挑戦してもらいます。


「あの…円を描く呪文ってどんなのですか?」


 オーガが聞いてきました。

 でも、オーガは別メニュー。


「あなたは魔法陣を解除する練習をしましょう。コツさえ掴んでしまえば簡単です。」


 魔法陣を幼児に教えるようなものです。

 わたくしはオーガの手を取り、撫ぜます。


「安心してください。魔法陣を解除できるようになるまでは、相殺をしてあげます。」

「あの…。なんか、水がドバドバ出てると焦ってしまうので、別の魔法ないですか?」

「そうですね。微風(そよかぜ)魔法ならどうでしょう。」


 わたくしは、オーガに小さな魔法陣を見せました。


  フゥーン


 エーテルを空気に変えて、ささやかな風を生み出す魔法です。


「扇風機みたいな魔法ですね。」

「センプーキ?」

「あ、いえ。これなら水が出るよりは集中できそうです。」


 オーガはわたくしの魔法陣をじっくり見ると目を閉じました。

 掌には綺麗な魔法陣ができています。少し大きいですが、魔法陣をイメージするのは得意そうですね。


 オーガが目を開けると、今度は困ったような情けない顔をしました。多分、魔力を注ぐときの癖でしょう。


 風が巻き起こりました。

 強い風が、わたくしのローブを捲りあげます。


「ちょ、風強いっ、ダメ。見えちゃぅ。止めてください!!」


 慌ててローブを抑える。何てことしてくれてるんですか、このオーガはっ!


「いや、その止め方が分からないんですが…」

「あぁ、そうでしたっ!」


 わたくしはすぐさま反魔法を発動し、オーガの魔法陣を相殺します。


  パキィン。


「ハァハァ。も、もうちょっと小さい魔法陣にしましょうか。」


 わたくしは乱れた髪やローブを整え、眼鏡を直しました。


「は、はい。すみません。」


 オーガが平謝りです。

 大きな人が、平身低頭でわたくしの教えに従うのは気持ちが良い事です。ゾクゾクします。


 今度は小さい魔法陣にしてもらいました。ちょうど心地よいくらいの風が吹いてきます。


「イメージしてください。魔法陣が糸のようにほつれて、(ほど)けていくのを。」


 オーガは目を閉じてみたり、手を降ってみたり。なかなか上手くはいかないようです。


「とりあえず、一回できればなんとかなります。色々やってみてください。」


 できない方々が、一生懸命努力する様子を見るのは楽しい。


「ふふっ。」


 そしてできるようになったときの笑顔を見るのはもっと嬉しいものです。


登場人物紹介

「ルーブル」

種族:人間(コーカ人)

   高祖母が魔族で、瞳が赤い。

年齢:「いくつに見える?」

身長:182

体重:「それを聞くことに何の意味が?」

所属:第一籠城軍教導隊魔法班長

自称:わたくし

特技:魔法相殺

好物:大きな手(new!)

備考:

 性格がなんとなく歪んでいるのは、魔族の血のせいではなく、単に本人の特性。

 オーガの手を見て、手フェチに目覚めてしまった。

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