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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
11章:神様に出会って魔法が使えるようになりました!

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 ハロウィンカボチャを被った謎の人は、私たち全員を見回す。

 頭のカボチャが大きいので、身長はコロンよりも少し高いが、体つきだけ見れば小学校高学年男子。ハロウィンの人にも影がない。ナイラの光魔法だけではなく、あらゆる方向から照らされているようだ。


「こんにちは。」


 透き通った少年のような声が耳元で聞こえる。ハロウィンの人が喋っているのか。

 こんな声の響き方を私は知っている。


「カボ様、お久しぶりでございます。ご機嫌麗しゅう。」


 ルピアが深々とお辞儀をする。


 カボ様…? カボチャだから?


「皆様。こちらは植物を司る神、カボ様です。」


 やっぱりこの人も神様か。

 神様なのに、この人って言い方はおかしいな。……考えを読まれてるかもしれないんだ。


「「「はじめまして。」」」


 口々に挨拶をする。

 早速ルピアは、白い魔法陣を展開すると服の袖から箱を取り出し、簡単な祭壇みたいなものを組み立てる。


 …あれ、見たことあるな。

 そうだ。鏡餅の台だ。


 私は脳内辞書を引く。


鏡餅の台

 三方(さんぽう)。神道で使用する神に捧げるお供えを載せる台。名前の由来は台の三方向に穴があるため。寺院で使用する物は「三宝」と書いた気がする。


 脳内辞書なので、正確性は乏しい。

 ルピアの組み立てた台の穴は一つだから、一方になるのかな?


 ルピアは三方の上に「粉雪舞い散る愛の灯火」を乗せ、神様に献上する。


御饌(みけ)にございます。お納めください。」


 あれは、甘くて美味しかったお菓子じゃないか。クーナのお母さんのお土産を思い出す。

 お菓子なんかがお供えで良いのか?


「うん、ありがとう。」


 カボ様がお菓子を受け取る。

 ルピアは一歩下がり、平伏する。


「我らの願いを叶え給え、(かし)(かし)みも(まを)す。」


 おお、実に神官っぽい。

 単なるシールド発生装置付き観光ガイドじゃなかった。


「あ! 新しい味出たんだ。」


 カボ様はお菓子をぺろりと食べた。

 あれ…カボチャの口の部分が普通に動いてないか?


「我らが願い(たてまつ)るは…」

「うん、もう聞いているよ。転生者に魔法を使えるようにして欲しいんでしょ。」

「…あ、はい。」


 ルピアは、話がとんとん調子…、というよりも先回りして進むので面食らう。


「まずは?じゃあ、君から。」


 カボ様はテルルを指差す。テルルが進み出る。


「はい、終了。」

「え? もう終わり?」


 みんな驚く。


 特にエフェクトとかないの?

 ぐわぁーって光ったり、パンパカと音がなったり、せめてパーティクルがキラキラするとかさ。

 なんかこう「魔法解禁」って感じが欲しいなぁ。


 私の勝手な思いを余所に、カボ様は手順を進めていく。


「今、頭の中に思いつく言葉あるでしょ。その呪文を言ってみて。」


 テルルは頷いて呟く。


『狭いながらも楽しい我が家…』


 テルルは自分が言った言葉に対して驚く。

 次の瞬間、彼女の周りに半透明な壁が現れた。


「これは、防壁魔法…」


 ナイラが声を出して驚く。


 凄いなぁ、魔法だよ魔法!

 コロンやルピアの防壁魔法と比べると一人分で小さいが、これで完全に身を守れるんだから羨ましい。

 うわー。私も早く魔法が使いたいなぁ。


「魔法は使えてるね。オッケーオッケー。じゃあ次の人。」


 カボ様は、動作確認終了みたいな軽い感じでブロンズを指差す。

 ブロンズが一歩前に出る。


「はい。思い付いた言葉言って。」

「え、もういいのか?…えっと、『きのこ雨』」


 ブロンズも自分の言葉に驚く。

 しばらくして、天井に小さな雲が渦巻き、水滴が落ちてきた。


  ポツポツ…ザーー


 ブロンズの頭上にだけ雨が降り出した。


「はい、オッケー。」

「オッケーじゃないよ…。なんで雨が。」


 一人ずぶ濡れのブロンズが呆れたように言う。


「どんな魔法が使えるようになるかは、魂によってバラバラなんだ。」


 カボ様が説明をはじめる。ルピアは真剣な眼差しでそれを聞く。

 そうか、神様の言葉なんだから『神託』だもんな。


「魔法は魂に依存するから、異世界人の魂でも魔力の通り道を作ってやるだけで、簡単に魔法が使えるようになるんだ。」


 それは…簡単なことなのか?

 魂いじられるってこと?

 なんか怖いな。


「有難きお言葉、我ら末代まで伝えん。」


 ルピアが白い魔法陣に手を置き、また平伏する。

 だんだん雨が止んできた。


「ブロンズ様、これが天候魔法だとしたら、本当に稀有(けう)です。雨を自在に呼べるとしたら、平時にも戦時にも活用できます。」


 エスクードの言葉にブロンズは機嫌を直す。


「そうなのか?」

「もちろんです。コーカ王国にも天候魔法の使い手は片手に足りません。」


 ブロンズは上機嫌でカボ様に礼を言う。


「ありがとうな、カボ様。」

「そのような態度、神に対して失礼ですよ!」


 ブロンズの気さくな態度にルピアは肝を冷やす。


「良いよ、気にしてない。さあ、最後だ。」


 カボ様は私を指差した。

 そう言えば、何でカボ様は誰が転生者か分かるんだろう。ボクっ娘神様が言ってた「魂の匂い」ってやつかな?


「はい。思い付いた言葉をどうぞ。」


 私はよく分からない言葉を思い付いた。

 なんだろう……自分でも聞いたことのない単語だ。およそ意味があるとは思えない。


「?」

「大丈夫。魔法が使えるかの確認だから。ほらどうぞ。」


 私はその言葉を口にする。


『百花繚乱』


 確かにそう聞こえた。しかし、それは私が口にした言葉とは違う。


 そうか『バベル』の魔法で翻訳されたのか。

 私はきっとエンドルの言葉を喋ったに違いない。それが翻訳されて聞こえてきたのだ。

 テルルやブロンズにも同じことが起きたから驚いていたのだろう。


 さて、私の魂からはどんな魔法が出てくるのかな。

 『百花繚乱』でしょ。イメージとしては美人に囲まれる魔法?

 そう言えば、コロンをはじめ、リラ、クーナ、マンガン、ルピアと私の周りには美人が多い。すでに百花繚乱が発動しているんじゃないかな。

 

  ピョコン


 足元に小さな花が咲いた。


登場人物紹介

「カボ」

属性:樹

外見:ジャック・オー・ランタンのような()の少年。被り物ではない。

好物:甘い物に目がない。結構地上のスイーツに詳しい。

登録:6番

エンドルにエントとドリアードを生み出した神。

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