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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
11章:神様に出会って魔法が使えるようになりました!

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 私は地下迷宮の中で神様と対談している。

 神様の見た目は小学生くらいの普通の女の子だ。(まあ、光っている事は置いといて。)


 そんな神様と同じ高さの椅子に座ってるから、座高が高い分私が神様を見下ろしてる感じになってる。

 なんなんだこの状況は。大丈夫かな、私?


「そうだね…。ボクの世界で言う神々ってのは、例えると『オンラインゲームの運営』みたいなものなんだ。」   

「オンラインゲーム…ですか?」


 いきなり神様から、ファンタジー感のないセリフが出てきた。

 インターネットのない異世界で、何でこの神様はオンラインゲームなんて知ってるんだ?


「ボクは、あっちの世界によく遊びに行くんだよ。」


 世界を飛び越えてゲームで遊ぶとは、さすが神様。


「そう。オンラインゲーム楽しいよね。」

「分かります。」


 私も前の世界ではオンラインゲームをやっていた。

 プレイヤーにゲームを提供するのが『運営』だ。イベントやサポート、アイテム配布など色々な事をしてプレイヤーを楽しませる仕事。そして課金で搾り取る仕事。


「ボクら神々が『運営』で、『プレイヤー』は人を始めとした生き物全てみたいな感じかな。」

「人生をゲームに例えるのと同じですね。」

「まさにそのとおり。ゲームと違うのは『プレイヤー』が自由にリセットできないことだね。」

「じゃあ、『運営からのお知らせ』が『神託』になるみたいな?」

「ふふふっ、そうだね。」


 良かった。当たっていたらしい。


「ボクらは、この世界がうまく回るように、常々調整をしているのさ。」

「調整…『アップデート』ですか。」

「良いねキミ。すんなり分かってくれる人がいて嬉しいよ。」


 神様はニコニコしている。笑顔が可愛い。


「神々には、自分が持つ権限の範囲で世界を変える力があるんだよ。」


 ゲームでもスキルやアイテムの効果がゴロッと変わったりとか、強キャラが弱体化したりとかよくある。

 この世界の神様は、そんなことができるってことなんだろう。


「そういうこと。でも、一方に偏った利益を生むような変え方をすると、世界がうまく回らなくなるだろ。」

「よく聞きます。新しい武器出したら、その武器持ってないと勝てなくなったり。」

「それそれ。そういうやつ。」


 神様が身を乗り出してくる。

 『アップデート』すると古い『プレイヤー』から文句が出るってのはよく聞く。


「調整するたび、上の神殿に人が願いに集まるんだよ。」


 神殿ってサポートへの連絡手段みたいなものだったのか。


「なんか…大変ですね。」

「ホントそう。ふふふっ。」


 なんか…普通に仕事の愚痴を聞いてるみたいだ。


「あっちの世界には、そんな神はもう居ないだろう。」

「分からないです。神様とお会いするのは生まれて初めてで。」


 こんなふうに神様とお話しできるとは思ってませんでした。


「この話さ、あっちの世界でゲームやってて気付いたんだ。ボクら神々の役割って『運営』ぽいなって。」


 神様はそう言って笑う。


「お聞きしてると、確かにそうかもしれませんね。」

「誰かに話したかったんだけど、こっちでオンラインゲームを分かってくれる人がいなくてね。」


 そりゃそうだ。このファンタジーな異世界(エンドル)でオンラインゲーム知っている人なんて、そうそう居ないだろう。


 転生者だって…テルルさんは当然知らない。ブロンズも多分知らない。マンガンが、ギリギリ知っているかもしれない。


「ふふふっ。色々と聞いてくれて、ありがとう。」

「あ、いえ。こんな事で良ければいつでも。」

「お礼にキミの願いを叶えてあげる。」


 魔法が使えるように『アップデート』してもらえる?

 いや、でもさっき無理って言われた所だし。


「仲間と合流したいんじゃないの?」


 それだ!それです!

 神様……。皆とはぐれて不安だった私の深層心理を、良くぞ見抜いてくれました。


 私は立ち上がってお礼を言う。


「そのとおりです。ありがとうございます。」

「お安い御用さ。」


 神様が手をかざすと、私の目の前に扉が現れた。木目のきれいな古い扉だ。


「あっちの世界のアニメで見たんだ。扉を開けて中に入れば、仲間のところへ行けるよ。」


 神様、猫型子守ロボットのアニメも見たんだ…。


「本当に、ありがとうございます。」

「ボクはキミが気に入った。また会おうね。」


 そう言うと神様は、ふっと消えた。

 一気に辺りが暗くなる。


「おおう。」


 いきなり過ぎて変な声が出た。

 神様って面白い子だったな。なんかいい友達になれそう。

 …いかんいかん。こんな事考えてたら不敬で怒られるか。


 私は最後に一つ残った腕輪の光を頼りに、ノブを掴んで回す。

 扉は音もなく開いた。


***


「「「うわっ!!」」」


 皆には盛大に驚かれた。

 そりゃ突然目の前にオーガが出てくりゃ誰でも驚くわな。


 コロンが防壁魔法を張り、エスクードと兵士達は武器を構えて臨戦体勢、マンガンはテルルとブロンズを庇う。

 ルピアは…腰を抜かして倒れ込んでいた。

 

「こ、この迷宮に、擬態するような神の御使いは居ません。」


 ルピアがやっと声を出す。

 あー、私の偽物だとか幻影とかの可能性があるのか。


 それでも皆は警戒を解かない。


「死体を操る奴は?」

「それは絶対にありません。神々はそれを嫌がります。」


 エスクードの質問にルピアは即答した。


「…もしかして私、死んだ事にされてます?」


 私がそう言うと、コロンは防壁を解除して、私の胸に飛び込んできた。


「無事だったんですね!」

「はい…、何とか。」


 皆が私を囲んで大喜びしてくれる。

 

「あの状況でまさか怪我一つないとは。」

「神の奇跡ですわ。」


 涙を流してまで、私の生還を喜んでくれている。 

 皆と生きて合流できて良かった。

 私ももらい泣きしてしまう。


 …そうだ。そうだよ。

 確かに神々はこの世界(エンドル)をゲーム感覚で見ているのかも知れない。

 でも、こっちは『プレイヤー』なんかじゃない。みんな命懸けで生きてるんだ。


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