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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
11章:神様に出会って魔法が使えるようになりました!

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「あ()てててて…」


 私は気を失っていたようだ。

 まだ何個か腕輪が光っているから、そんなに時間は立っていないはず。


「そうだ…ドラゴン!」


 私は急いで起き上がり、辺りを見回す。


 居ない…。

 足元の瓦礫の下敷きになったのだろうか?

 腕輪で足元を照らすが、大小の岩が大量にあるだけで、ドラゴンは見えない。


「どこ行った?」


 居たら居たで恐ろしいが、居なけりゃ居ないで恐ろしい。


 上の方を見る。

 天井には真っ暗な穴が空いていた。

 腕輪の光が届く範囲にドラゴンは見えない。どっかに引っ掛かっているわけではなさそうだ。


 不安は残るが、取りあえず今はどうしようもない。

 端に行って壁を背にする。部屋の真ん中に立っているよりは安心感がある。


「怪我は…してないか。」


 少し腕が痛むが、ただそれだけ。丈夫なオーガの体で良かった。


 ん…、独り言多いな。

 どうしても声に出してしまう。


「不安なんだからしょうがないよ。」


 自分で自分を慰める。

 こんな所で一人は心許ない。


 さっき、天井の穴の先は真っ暗だった。つまり地下六階のホールに皆はもう居ない。

 すぐ助けに来るなら、この穴を直接降りて来そうなものだ。


「何かあったのかな。」


 それでも、コロンが、マンガンが、皆がきっと助けに来てくれる。

 そう信じるしかない。


 もう一度、天井の穴を覗く。

 真っ暗なまま。


 私はため息を吐く。


 腕輪の一つの光が消えた。

 不安で泣きそうだ。いや、もう泣いてる。


  ゴトリ


 岩が動く音だ。

 音のした方を見る。

 なんだか明るい。


「助けに来てくれた!?」


 私は嬉しくなるが、ここは迷宮(ダンジョン)。光る怪物がいるかもしれない。

 そっと足元の岩を拾い、明かりの方を伺う。


 人だ…。人の形をしている。

 というか、その人自体が光っている。魔法?


 よし、まだ私から距離はある。

 返事があれば仲間。声を上げて合流する。

 なければ怪物。この岩を投げつけて逃げる。


「誰っ?」


 人影がこちらを向く。


「やれやれ、これは酷いね。キミがやったのかい?」


 私はギョッとした。

 知っている人達とは違う声。というか、きっと人間の声じゃない。

 透明感のあるその声は、これだけの距離離れているのに間近で喋っているように聞こえるのだ。


 取りあえず返事があった。怪物ではなさそうだ。

 でも、仲間じゃない。だから岩は手放せない。


「誰?」


 もう一度聞く。


「ボクかい? ボクはポジトロ。この世界の神だ。」


 うわぁ、まさかの神様でしたか。

 神様って、こんなふうに普通に出てくるもんなの?

 私なんかが一人でお会いして宜しかったんでしょうか。


「今度はボクの質問にキミが答える番だ。これはキミがやったのかい?」


 神様はこちらへ歩いてくる。

 これ、「迷宮壊した」って怒られるやつですかね。私は天罰でも喰らうんですかね。


「私がやったんじゃありません。ドラゴンに巻き込まれて落ちただけです。」


 ちょっと挙動不審な言い方になったが、これは嘘じゃない。

 私は被害者だ。


「そうか。ありがとう。」


 神様はまるで少女みたいだった。背丈は私の半分ほど。幼い顔に前髪ぱっつん。

 彼女の体が光っているというより、どこからか全身くまなく照らされているようだ。

 だからどこにも影がない。

 そのへんは、めっちゃ神っぽい。


 神様は近くまでやってきて、私を見つめる。


「おや? キミは転生者だね。魂からエレクの匂いがする。」

 

 エレク?エレクってなんだ?


「は、はい。転生者です。」


 私の答えに、神様はニコリとする。


「ちょっと、そこで待っていてくれ。このままじゃ落ち着かない。」


 神様はそう言うと、私に背を向け、軽く腕を挙げる。


  ゴロゴロゴロ…


 崩れていた岩が宙に浮く。


  ズズズズズズ…


 そして天井へと戻っていき、穴を塞ぐ。


 こんなに簡単に迷宮を直してしまうなんて、本当に神様なんだ。


「この迷宮もだいぶ傷んでいたのかな。そろそろ模様替えしないと…。」


 神様も独り言を言うんだな。


「さあ、お待たせ。」


 神様がこちらを向く。


「椅子どうぞ。」


 ふと見ると、いつの間にか私の後ろに立派な椅子が置いてある。

 神様の後ろにも同じ形の椅子。神様が先に座る。


「あ、ありがとうございます。」


 もうこれは逃げられない。私は恐る恐る座る。ちゃんとクッションの入った良い椅子だ。

 私はまだ岩を握っていた事に気が付いた。そっと下に落とす。


 そう言えばアースドラゴンはどこ行ったんだ? あの大量の瓦礫の下にも居なかった。


「あのドラゴンは消したよ。」


 神様が答える。


 …あれ? これは、考えてることが分かっちゃうって事なのか。

 ドラゴンも簡単に消しちゃうし、やはり神様なんだ。

 私は一体何をされるんだろう。まさか消されたりしないよね。


「キミは三階層も落ちて来たのに、平気なんだね。」

「三階も?って事は、ここは…」

「地下九階さ。この辺りだけ、たまたま広間が重なっていたから全部崩れたんだろう。」


 道理でみんながすぐに助けに来てくれないはずだ。すぐ上の階なら降りてこられるだろうが、三階分の深い穴ならそうはいかない。


 あ…しかもその穴、今さっき塞がれてしまった。


「ここへは何をしに来たの?」


 神様が私を見透かすように言う。実際に見透かされているのだろうけれど。

 嘘をついても駄目だ。


「神様にお会いして、魔法が使えるようにしていただくためにきました。」

「そうか…済まない。そういう細かい事は得意じゃないんだ。」


 ルピアの嘘つき! どの神様でも良いって言ったじゃん!


「ふふふっ、キミは面白いね。」


 神様が笑う。

 マンガンが「神々(こうごう)しくない神様だった」とか言ってたけど、よく分かる。

 人懐っこいというか、人間味を感じる神様だ。


「逆だよ。神に似せて人を作ってるんだから。」


 うぅ、また考えを読まれた。


「すみません…。」

「ふふふっ、エレクの世界とは神の考え方が違うからね。」


 ??

 神様の仰る意味がよく分からない。


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