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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
10章:地下迷宮

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「「ぎゃーーー!!」」


 ネズミだっ!!

 しかもデカい!!

 かつ、多い!!


 私とテルルは頭を抱えて座り込んだ。


 一匹一匹がデブ猫くらいあるネズミが数百匹。ルピアの防壁魔法に阻まれ、私たちに近寄れないでいる。

 チイチイと耳障りに高い鳴き声。ガキガキと歯を鳴らす音。


「ホラアナオオネズミじゃないか。こいつは旨いんだ。」


 そう言うと、マンガンはナイフを取り出した。

 旨いと聞いて、ブロンズも銃を構え直す。


 なんでこの二人はこの状況で余裕なんだ!?


「駄目です。神域の生き物を殺してはいけませんっ。」


 ルピアが叫ぶ。


「ああ、そうだった。」


 マンガンが残念そうに刃物を片付ける。

 ルピアが魔法陣を展開し、催眠魔法を発動する。

 だんだんネズミ達が静かになっていく。


「もう大丈夫です。」


 ぐったりと眠る山のようなネズミ達。

 防壁魔法を解除し、起こさないよう静かにネズミの山の横を通り抜ける。


「同時に二つの異なる高等魔法を発動させるとは、お若いのに流石ですね。」


 エスクードがルピアを褒める。


「ありがとうございます。」


 ルピアは少し照れた後、マンガンを指差す。


「でも、あなたたち! 彼らは神の御使いです。殺してしまえば神々の怒りを買います。軽率な行動は謹んでくださいっ!」


 ルピアが叱責する。


「すまない。」


 マンガンは素直に謝る。ついでにブロンズもしゅんとする。


 見た目はルピアと同い年くらいの女の子だから、思いっ切り強く言ってるんだろうな。

 だけど、中身は四十超えたおっさんだからね。

 自分の年齢の半分も行かない少女に怒られて反省する教導隊長。

 そう思うと笑えてくる。


 でもさ、そう言う大事な事は迷宮に入る前に説明しておくべきだと思うんだ。

 とりあえず、何かと聞かないと教えてくれなさそうなので、ルピアにいろいろ聞く。


「あのネズミが、神様の使いなんですか?」

「はい、そうです。」

「なんで使いが私たちを襲うんです?」

「神域に侵入したからです。ルピアたちを排除しようとしているのです。」


 どういうこと?


「私たちは神様から歓迎されてないってこと?」

「そうですね。御使いは神々に近づこうとする者に襲いかかるよう命じられているのです。」


 そうですね。じゃないよ!

 ちゃんとアポとってから来ようよ。


「神様に許可もらってからここに来るとかは出来なかったんですか?」

「神々は気まぐれなので、地上にいる我々の前に出てくることは、ごく稀です。だから、こちらから神々のもとへ出向かねばなりません。」


 ん?質問と回答にズレがあるぞ。


 そんな私の顔を見て、エスクードが補足する。


「つまり、神々はどこに居るか分からないので交信しようがないんですよ。だから、こうやって直接赴くのです。」


 どこに居るか分からない?


「分からないって、この迷宮に神が居ないかもしれないってことか?」


 私が質問する前に、ブロンズが質問をしてくれた。


「この神域には、百を超える神々のどなたかが、必ずいらっしゃいます。」


 ルピアが力強く言う。


「あとは皆様の運次第でございます。」


 運かよっ!


「自分の時は地下八階まで行った。割と大変だったぞ。」


 マンガンが笑う。

 この人の言う「割と」は、私たちで言う「死ぬほど」と同じ意味だ。


 マンガンはさらに説明を加える。


「言ってみれば、神の試練だな。魔法を使えるようにするっていう願いを叶えてもらうんだ。何もないわけがない。」


 納得。

 神様に願いか。魔法以外の願いも叶うのかな。

 例えば、元の世界に戻りたいとか…。

 神様には他にどんな願いを叶えてもらったことがあるんだろう?


 テルルがキョロキョロしながら聞く。


「魔法を使えるようなるには、どの神様でも良いの?」

「はい、どの神でも大丈夫です。」


 ルピアはそう言って更に付け加える。


「…ご機嫌を損ねなければ。」


 ご機嫌損ねたら何が起きるの?

 私は、出発の時のソルの言葉を思い出した。


「神に会いに行って魂を抜かれた者も居る…」


 ヤバい。めっちゃ怖くなってきた。

 神様に会いたくないなぁ。ギルダーの圧迫面接より嫌だ。


「自分の時は光の神様だったな。優しい…というより、軽い感じの神様だったよ。」


 マンガンが逐一自分の時の体験を話してくれるのは、私達を安心させようとしてくれているのだろう。

 やっぱり、良い上司。


 このくらいなら、ルピアも最初っから説明しておいてくれたら良いのに。


「次はカサカサ……。」

「カサカサ?」


 突然テルルが不思議なことを言う。

 ルピアがまた防壁魔法を張る。


 何、またネズミが来るの?


  カサカサカサカサ


「「「ぎゃーーーーー!!」」」


 今度は虫だっ!!

 脚が一杯ある!

 デカい!!

 しかも十匹くらい居る。


「あれは、タカアシヨロイゲジゲジですね。…かなり大きいな。」


 エスクードは冷静にデカい虫を観察している。


ゲジゲジ

 脳内辞書によると……、気持ち悪い虫。

 ムカデの仲間……で、気持ち悪い虫。


 気持ち悪い!見てるだけでゾワゾワする。


 テルルと侍女三人も動けなくなっている。

 ブロンズが一番後ろに隠れて、小さくなっている。


「俺は…ああゆう…脚の多いのは…ダメなんだ。」

「大丈夫です。この虫は冷気で動きを止めます。」


 ルピアが氷の魔法陣を展開しようとすると、エスクードがそれを止める。


「君は魔法力を温存しておいた方が良い。冷やすのは我々親衛隊にお任せください。」


 エスクードが合図すると、親衛隊兵士の一人が魔法陣を開く。

 周囲の気温が下がっていく。


「寒ぅ。」


 ゲジゲジ達の体に霜が付き、カサカサという音が止まる。


「凍らせないように。殺してはいけません。」

「承知しています。」


 ゲジゲジは動かなくなった。


「あと、こんなのが何回来るの?」


 テルルが不安そうな声を出す。


「『こんなの』はもう来ないと思います。」


 ルピアの言葉に、テルルはホッとする。

 しかしそれも次の言葉で裏切られた。


「…もっと凄いのが待ってますから。」


登場人物紹介

「ルピア」

種族:人間(コーカ人)

年齢:16

身長:164

体重:「絶対に教えません。」

所属:カネ神殿上級神官

特技:犬の鳴きマネ

備考:

 若くして高等魔法を複数同時発動できる秀才。最年少で上級神官となる。頼れる年上にドキドキしてしまう多感なお年頃。

 大事なことを後から付け加えて喋ることが多い。

 ちょっとだけ貧乳を気にしている。ちょっとだけ。

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