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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
9章:魔法が覚えられるって本当ですか?

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 神殿。


 映画で観た時は、もっと巨大で壮大な感じだった。サグラダ・ファミリアみたいな大きな建物に見えた。

 …のだが、実物の神殿は三階建てのビルくらい。コーカ駅より小さいかもしれない。


 映画の力とは恐ろしい。同じ場所なのに、撮影の仕方でこうも印象が変わるのか。


 駅から神殿までの道は一直線で、両脇にはお土産物屋や料理店が並んでいる。コーカ駅の一階とは比べ物にならない店の量と種類だった。

 しかし、参道が賑やかな分、神殿のショボさが際立つ。

 所謂(いわゆる)がっかり観光地だな。


 神殿の中は市役所の庁舎みたいな構造をしている。一階は吹き抜けのホールになっており、奥には祭壇があるそうだ。

 私達が通されたのは二階にある会議室のような小部屋。


「神官のルピアと申します。よろしくお願いします。」


 挨拶をしたのは、ふわりとしたフードを被った細身の女性だった。フードの中からは長い黒髪で、まだ子供のあどけなさが残る顔立ちが覗いている。


 ウギアが立ち上がる。


「よろしくお願いいたします。今回、魔法習得をするのは転生者三人。護衛六人と侍女三人が同行します。」


 護衛六人。マンガンと…エスクード以下五人の親衛隊員で六人。

 ウギアは参加しないのか、サボりだな。


「このルピアが先導させていただきます。」

「そうですか。ルピア殿はお若いように見えますが、先導には長けておられるのですかな?」


 ウギアの質問に、ルピアが下を向く。


「…すみません。一人で行くのは、今回が初めてです。」


 おいおい。「初めてなんです」なんて言う子で大丈夫か?

 私、本当に魔法を覚えることが出来るんだろうなぁ。


 ……ってか、先導って何?

 そう言えば、どうやって魔法を覚えるんだろ。方法とか聞いてないぞ。


 ゲームみたいにレベルアップで覚えるとかではなさそうだし、この神殿で何か儀式的な物をして、魔法の契約とかするんだろうと思っていた。

 まさか、この初めての少女が先導(リード)して、全年齢では書けないような事とかするの?

 …いかん。思考が脱線した。


「お任せして大丈夫ですかな?」


 ウギアが私の気持ちを代弁してくれる。それをルピアはキリリと見返す。


「はい。迷宮(ダンジョン)には何度も入っていますし、地下の地図は頭に全部入っています。」


 …迷宮(ダンジョン)

 え…、迷宮ですか?

 しかも地下って言いました?


「コロンさん、迷宮って?」


 私はコソコソと聞く。


「神殿の地下にある迷宮の事です。」


 コロンも声を抑えて教えてくれる。


 だけど、それは分かるんだよ。質問の仕方を失敗したな。

 …そう言えば、さっきまで見ていた映画でも神殿の地下に迷宮があった。この神殿をロケ地にしてたわけだし、何か関係あるんじゃないか。


 テルルもブロンズもそれぞれ侍女に問いかけるので、室内がざわざわとする。


「ルピアでは何か問題でもありますかっ?」


 彼女は強気に言うが、顔には焦りが表れている。

 初めての先導と言うことが、そんなに責められるとは思ってなかったと言う顔だ。


 違うよルピアさん。

 あなたの事じゃなくて、皆は「迷宮」って事に不安を感じているんだ。


 エスクードが立ち上がって謝る。


「すみません、ルピア様。まだ彼らに迷宮について話ができていないんです。」


 コロンの「魔法習得について説明をするのを忘れてました。テヘッ☆」を思い出す。

 ちゃんと説明しておいてくれないから、こうなるんだ。


 私はコロンに聞き続ける。


「あの…映画にも、地下の迷宮ってありましたよね。」

「はい。迷宮の方は、ほぼあのままです。」


 映画の中盤、神殿地下にある迷宮を進む主人公一行。行く手を阻む怪物達。

 主人公とヒロインが協力するアクション満載のシーン。二人が絆を深める重要な場所だ。


「映画では、迷宮に怪物出てきましたよね。」

「はい。ほぼ、あのままです。」


 映画では結構な数の怪物出てきてたぞ!?


 やられた。騙された。

 ギルダーめ。出発前にちゃんと説明しろよ。魔法習得って、そんなに危険なミッションだったのか!


 生活保護の開始時なんて、ちゃんと制度説明しとかないと後でトラブるんだぞ。

 減額なんて聞いてないだの、借りたのを返して何が悪いだの。


 コーカ王国の皆さんの、聞かれなければ説明を後回しにしても大丈夫って言うのは何なんだ!

 それが文化なのか。それとも個々人の資質なのか。


 確かに、儀式的なものを行うだけなら、護衛なんて六人も要らないよね〜。出発前のあの時点でおかしいと気付くべきだった。ちくしょう。


「このルピアが、皆様を帰りまで安全にお連れします。大丈夫です、ご安心ください。」


 ルピアは、その大きくはない胸を張る。


「そうですか…では、よろしくお願いします。」


 ウギアさん!?

 なんで、今のセリフで大丈夫だと判断したんですか?

 自分が行かないからって、適当な!


 私、テルル、ブロンズの三人は、映画のアクションシーンが激しかったイメージがあるから、どうしても落ち着かない。


「自分は前回ここに来ているからな。大丈夫だ。」


 マンガンの言葉に、転生者三人は少し安堵する。

 そうだった。マンガンは既に魔法を覚えているんだった。ここの経験者じゃないか。


「侍女を含む我々親衛隊も付いております。心配は不要です。」


 エスクードが安心を追加してくれる。


 いや、だから説明をしろよ。

 単に「俺が居るから大丈夫」じゃなくてさ、「こんな事があるけど、俺が対応するから大丈夫」って言って欲しいんだよ。


「瞬間移動の魔法とか転移魔法でぴゅーって行けば良いんじゃないか?」


 ブロンズが良いこと言う。

 しかし、ルピアは首を横に振る。


「残念ながら、迷宮では空間魔法が使えないのです。」


 って事は、コロンの何でも出てくるポケットみたいな魔法も、迷宮では使えないってことか。


「では、各自準備をしていただいて、半時間後には出発しましょう。」


 そう言って、ルピアは会議室を出ていった。


「準備?」


 私が後ろを向くと、コロンが大きな袋を出してきた。


 見たことあるぞ、その袋。


「では、着替えましょうか。」


 やっぱり革の鎧…。

 つまり、戦闘の可能性があるってことですよねっ!


登場人物紹介

「ウギア」

種族:ハーフドワーフ(コーカ人)

年齢:48

身長:156

体重:90

所属:第一籠城軍事務長

自称:吾輩

特技:ペン回し

好物:銘酒『奈落』

備考:

 人間の父とドワーフの母を持つ。

 吝嗇家(ケチ)だが、必要な事にはちゃんとお金を掛けるタイプ。

 真面目で筋を通す事を大切にするため、事務長は適役で、軍団長からの信頼も厚い。

 ドワーフの血統ゆえ、酒には非常に強い。

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