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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
8章:母、襲来…

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 クーナの説明を小一時間聞いたお母様は、渋い顔をしていた。


「…そうですか、分かりました。」


 まあ、自分の娘が衝動的に将軍一行を襲って捕まっただなんて、親としてはショックだよな。

 だけど、さっきお母様自身がやったこととほぼ同じなんだけど…。


「あのニュースになっていた将軍襲撃事件の犯人が、クーナちゃんだったなんて……。」


 お母様は下を向く。


 ニュースになってたんだ。

 でも、犯人を知らないって事は、名前の発表をリラが止めたに違いない。


「でも、そのおかげでクーナちゃんには二人のお友達がいるわけでしょ! すごいじゃない!」


 お母様の顔が急に明るくなった。


 なんて前向きな考え。

 そんな思考、私にはできない。


「しかも一人は王女様!王女様よ! そして、もう一人はオーガっ。」


 月とスッポンみたいな言い方に聞こえる。


「クーナちゃんは絶対に凄いと思ってたけど、そんな素敵な友達を作っちゃうなんて、本当に特別だわ。」


 それ、「本当に特殊」の間違いじゃないですかね〜。


「もー、母さん心配して損しちゃった。」


 喋り続けるお母様に、コロンが声を掛ける。


「お母様。もし、わたしではなく、リラ王女に同じような事をされていたとしたら…」


 コロンの声が怖い。


「その場でお母様は処刑です。恐らくクーナ様も、幇助で併せて処刑となった可能性が高いです。」


 コロンがお母様を睨む。


「心してくださいませ。」


 そう言って、お母様を縛っていた魔法陣を解く。


「ああ…ごめんなさい。」


 お母様もコロンに気圧されて、謝るのがやっと。

 なんとなく居辛い雰囲気になったのをお母様も察したのだろう。


「母さん、もうすぐ帰らなくちゃ。」

「え? もうですか!?」

「そうそう、クーナちゃん。これお土産ね。」


 そう言って小さな鞄を開くと、荷物をドカドカとベンチに並べる。

 ベンチはあっという間にお土産で埋まる。お土産の山はその鞄より大きい。魔法の鞄なのだろう。


「また、来るわね〜。」


 鞄をとじると、お母様はそそくさと正門へ向かおうとする。


「お母様、駅まで見送ります。」


 クーナが追いかける。


「駅? 電車があるんですか?」


 私はコロンに聞く。


「でんしゃ?」

「あ、いや…。」


 私は脳内辞書を開いて、電車の類語を調べる。


「汽車とか列車とか鉄道とかです。」

「鉄道ならあります。コーカ駅から南のカワセへ向かう路線と、東のホジョツゥカに向かう路線です。」


 見てみたい。異世界の鉄道。

 自分は鉄オタという訳ではないが、駅とか列車とか旅行に関する事は少し気になる。


「駅まで行っても良いですか?」

「ん〜。」


 コロンは眉を寄せる。


 私が城の外に出たのは、今回が二回目。前回はもちろん、クーナに襲われた視察の日だ。

 それ以外の休暇の日でも、城内の限られたところしか行けなかった。

 研究所(ここ)へ来るのもコロンの転移魔法だったし、全然街を見ることができていない。


 異世界の休日なんだから、いろいろ見て回りたいじゃないか。


「だめですか?」

「お待ち下さい。今、確認中です。」


 許可を出すとしたら、将軍補佐バルボアか部隊長のソルになる。


 しかし、念話の魔法って便利だな。

 遠く離れた人といつでも話ができる。要は携帯電話みたいなものだ。

 念話が苦手な人もいるけど、それは携帯電話も同じ。

 落としたり電池切れしたりしない分、魔法の方が絶対に便利だ。


「行っても良いそうです。」

「ホントですか?やった!」


 コロンも驚いた顔をしている。

 許可が下りるとは思っていなかったようだ。


 コロンは魔法陣を開いて、ベンチのお土産を放り込む。


「こんな所に放って置く訳にもいかないですから。」

「コロンさんは優しいですね。」


 私も片付けを手伝う。

 コロンはちょっとだけ笑った。

 少しは怒りも収まっただろうか。


 片付け終わると、私達はクーナを追いかける。


「バルボア様からの注意事項です。一つ目、街中を歩くときは、道の真ん中をゆっくり歩くようにと。」

「なんで?」


 これから追いつかなきゃならんのに、なぜゆっくりなのか。


「オーガが走ってたら、街の皆様が不必要に怖がられます。」

「ああ、それは分かる。」


 私みたいなデカいのが突然走ってきたら、何かあったかと思うな。

 まあ、観光目的だし、急がない方が楽しめる。


「二つ目、寄り道をしない。帰りは魔法で戻ること。」

「なんで?」


 街を見て回りたいのに!?


「何かが起きたときに、わたしだけでは対処できないから、リスクを最低限にして欲しいと言うことです。」

「そ、そうですね。」


 前回の街歩きでは私が狙われているし、リスクと言われれば反論できない。


「三つ目、あまり喋らないように。」

「なんで? ほんとにこれ、何故なんです?」


 コロンからも部隊では喋らないように言われていた。今まで特に理由は聞いてこなかった。


「迫力を出すためです。無口の方が強そうに見えるとのことです。当初からバルボア様にお願いされておりました。」

「あ〜、何となく分かります。」


 ペラペラ喋るチンピラより、何も言わないヤクザの方が怖い。きっとそう言うことだろう。


「では参りましょうか。」


 コロンの後を付いて、無口でゆっくり歩き始める。

 何度か道を曲がって大通りに出る。左右に商店が並んでいる繁華街だ。


 うわぁ楽しそう。いろんなお店がある。


「これが駅裏通りになります。まっすぐ行けばコーカ駅です。」


 コロンが道を説明してくれる。

 人通りはそこそこだが、オーガの私を見た人達が距離を取ろうとするので、進む方向の道がさっと開ける。


 モーゼの海割りみたいだな。


 体の大きなオーガは一歩も大きい。ゆっくりとはいえ、普通サイズの人より速く歩ける。さらに道も歩きやすいので、ドンドン進む。


 ちょっとお店とか見てみたいんだが。

 コロンさん歩くの速くない? ゆっくりだよ、ゆっくり。

 もっと街歩きを楽しみません?


 コロンはスタスタと行ってしまう。


 …つまんねえな、これ。


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