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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
8章:母、襲来…

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「いいじゃん。食べよ食べよ。」


 勢いで「一緒に食事を」なんて言ってしまったが、リラからは速攻OKが出た。

 よし、これを機にクーナとも「友達」になってしまえば、色々と便利になる気がする。


「ねぇキナ、大丈夫だね?」

「はい、問題ありません。三名様で夕食会ですね。準備して参ります。」


 リラの小さい方の侍女が準備のために下がっていった。

 背の高い方の侍女フリヴニャがコロンに声をかけ、コロンが「問題ありません。」と答える。続けて「お手伝いいたします。」と言ってキナを追いかけて行った。


 しまった。コロンさんに了解をもらっておいた方が良かったな。思い付きで行動すべきじゃあない。


 …ちょっと待てよ。

 コロンさんって私の保護者なの?それとも監視者?

 侍女って仕事が良くわかってなかったけど、料理や部屋の掃除とかだけでなく、どこか行くときにはついてくるし、一体どういう立場になるんだろう。

 リラの侍女二人は先日のお出かけにもついてきてたし、護衛役でもあるんだろうか。


 私がそんなことを考えている間、リラは私の脚を撫でていた。


「やっぱり、すね毛が無いと、直接筋肉が触れられるから良いわぁ。」


 いかん。これ、定期的に剃られるのが確定した…。下手したら毎日ムダ毛処理。

 しかも今日みたいに、ここで剃るとかなら死ねる。剃毛の様子を文字にしたらR18の指定を受けてしまうぞ。


「人間やエルフと比べると心拍数が少ない。体の大きさが……」


 クーナはコピーした紙を眺めながら、なんかブヒブヒ言ってる。

 そんな感じで数十分ほど経つと、キナが呼びに来た。


「お食事の用意ができました。」

「はーい。じゃあ、行きましょう。」


 ダイニングヘ案内される。本当に広い部屋だ。

 確認できただけで、応接室、リラの寝室、侍女の寝室、リビングダイニングがある。最低3LDK。これが将軍用の部屋なのだ。

 私なら広すぎて落ち着かない。


 大きなダイニングテーブルには、三人分の料理が並べられていた。

 イスが大きくて、ダマスカス鋼の食器が置いてある席。あれが私の席だろう。


「あ、あのっ、どうしたらいいですか? みみんなで食べるの、慣れてなくて。」


 クーナが慌てる。

 多分、友達と食事なんてしたことないんだろうな。


「家族で食事するのと一緒よ。そんなに気にしないで。」

「家族っ、ですか…」


 リラの言葉にクーナは妙な表情を見せる。

 なんか…家族関係については配慮が必要なのかな?


「さあ、早く座って座って。」


 リラの催促に従って、私とクーナが席に付く。

 コロン達侍女は壁際に立って控えている。


「こここここんな、豪華な、り料理。はじめてです。」


 パン、サラダ、スープ、魚料理、肉料理…そしてラーメン。


 なんか、ラーメンが浮いてない?

 いや、魔法で食器が浮いてる訳ではなく、この料理の中では異質という意味で。


 …思い出した。

 コロンさんが「今日頑張ったらラーメン」って言ってたな。本当に準備してくれていたんだ。

 それをここに回してくれたのか…。

 ごめんね、私が将軍と食べたいとか言い出して。


 早速リラがラーメンに注目する。


「これ食べたことない。」

「はい、異世界料理の『ラーメン』です。」


 コロンが説明する。


 そうか。エンドルの人からすると私たちの料理は異世界料理になるんだ。言われて納得。


「楽しみ~。」

「きょ興味あります。」


 リラもクーナもお腹を空かせたお転婆な少女といった感じで、食器に手を伸ばす。

 だが…。

 いざ、食器を手にとったリラは、優雅な手付きでサラダを食べ始めた。全く音を立てずにサラダを口へ運ぶ。

 食器をカチャカチャ言わせてやっとスープを飲んでいるクーナと比べると、その育ちの良さが歴然だ。


 そうだ、リラはお姫様でした。しかもエンドルで五本の指に入る大国の、王位継承権二位。

 育ちの良さトップレベルじゃないですか。


 リラが箸を持つ私の手元を見てきた。

 自分の食べ方が恥ずかしくなる。箸の持ち方あってたっけ。


「そんな棒で良く食べられるね。」

「まあ、慣れているので。」

「器用だわ。」


 私からすると、その音叉みたいなフォークで音も立てずに食べる方が、器用だと思うんだけど。

 とりあえず、私が箸で食べている限りはテーブルマナー違反とか言われなさそうだ。


  クチャクチャ


 一方のクーナは酷い。口を開けて噛む、ポロポロこぼす、袖で机を拭く。

 エルフってもっと上品だと勝手に思ってたよ。


「オークなのに上品ですね。手掴みで食べると思ってました。」


 クーナが、皿の横に落としたサラダを手掴みで口に運びながら言う。

 ちょい待てクーナぁ。なんだそれ、ツッコミ待ちですか?


「中身まで本物のオーガだったら、一緒に食事なんてできないよね。」

「ほん()うにそう()すね。」


 咀嚼しながらしゃべるなクチャラー。

 クーナの中身はオーガですかっ!?

 リラはこういうの気にしないのだろうか。


「これ、と()も、おい()()す。」


 クーナはわざわざ料理を口に含んでから喋り出す。

 しかも口の中にまだ肉が残っているのに、さらに掻きこむ。

 …下品だけど、とても美味しそうに食べている。


 ついつい私も気になって、肉料理に箸を伸ばす。

 あ、これ。前食べた角煮だ。


「そちらも異世界料理で『角煮』といいます。」

「こ()、さいこう()す。」

「コロンが調理に入ってくれると、面白い料理が食べられるから楽しいわ。」

「リラ様、コロン様。ありがとうございます。」


 私だけ褒めそびれた。だって、食べたことあるんだから仕方ないよ。


「もぐ…これ。んぐ、もっとありますか?」

「はい。お代わりもあります。」


 クーナの皿はもう空っぽだった。コロンがすぐに新しい角煮を準備する。

 多分、大喰らいの私のために沢山準備してくれていたのだろう。


「もしよろしければ、ご自宅へ持ち帰られますか?」

「ホントですか!?」

「缶詰にすれば日持ちもしますし。」

「それなら実家にも送ります。きっとお母様が喜びます。」


 クーナは角煮がとても気に入ったようだ。


「あたしはこっちのラーメンの方が好きかな。」


 リラはフォークでくるくると麺を巻いて口へ運ぶ。

 パスタの食べ方だ。でも、それだとスープの絡みが足りない。


「リラ様。スプーンでスープを(すく)って、麺をその中に置いて、一緒に食べてみてください。」


 私が言ったとおりにリラがやってみる。


「ホントだ。この食べ方のほうが、美味しいし食べやすい。」

「もっと深いスプーンだと、もっと美味しく召し上がれます。」


 後でレンゲについて説明してあげよう。


 食事が終わり、お互いのいろいろな話をする。料理を囲んで話をするなんていつぶりだろう。


「きょ今日はとても楽しかったです。」


 クーナも楽しんでくれたようだ。私も楽しかった。

 リラはまだ話し足りなかった。


「じゃあ、ここに泊まる?」

「ささささすがに、そこまではっ。」


 結局、クーナは押し切られて泊まることになった。

 私たちは部屋に戻る。実は晩御飯が足りない。


「クーナさん、私とも友達になってくれるかな?」


 私がそう言うと、クーナはキョトンとする。

 なんだなんだ。リラの時とリアクションが違いすぎるぞ。

 本当に私のことを「素材」としてしか見てないんじゃないだろうか。


「ああ、はい。おおおお友達ですね!」


 一瞬の間があったが、言質はとれた。これでクーナの友達補正ゲットだ。

 コロンが念話魔法の契約…要は連絡先交換をしてくれた。


***


 二日後、今日は非番。休みの日だ。

 なのにコロンに起こされた。


「『助けてください』と、お友達のクーナ様から連絡が来ております。」


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