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お風呂タイーム!
いつもの兵舎大浴場は他の隊員が使用中なので、今回は将軍府内部にあるシャワーだけのお風呂へ。それでも、地獄の特訓で汚れた体を洗い流すのはとても気持ちが良い。
コロンがデッキブラシコロンで私の背中をゴシゴシと洗い流す。
「マンガン様が転生された時、わたしが侍女を担当しておりました。」
「そうなんですね。お茶とか料理を教えてくれた転生者(※第二話・第五話参照)って、もしかしてマンガン様のことですか?」
「はい。」
見た目美女のマンガンと見た目少女のコロンが、同じキッチンで料理の試行錯誤をしているだなんて、見た目は楽しそうだ。見た目だけは…。
だが、あのマンガンの事だ。恐らく実際は死ぬほど過酷に違いない。コロンだからこそ、マンガンの要望に応えられたんじゃないだろうか。
「…それは、きっと大変だったでしょうね。」
「新しい料理に挑戦するのは楽しいですよ。」
コロンはあっけらかんと言う。
私も寿司とかラーメンとかお願いしたら、作ってもらえるんだろうか。
「もし、食べたい料理があったら言ってくださいね。」
「え?あああ、ぜひお願いします。」
心を読まれたっ!?
そんなに物欲しそうな顔してたかな?
「今晩は、マンガン様のレシピであるラーメンというのをご用意してます。」
「ホントですか!?嬉しいです。」
…本当に魔法か何かで、私の心の中を覗いてないよな。
「ラーメンお好きみたいですね。良かったです。」
体を洗い終え、シャワーで泡と一緒に疲れを流す。
ラーメン食べられるなら、リラのお触りタイムも頑張れるはず。
***
将軍の居室につくと、リラ将軍が待ってましたとばかりに私の体を触ってくる。
「うひゃ~キタキター!!きんにくぅ〜っ!」
ペチ、ペチペチ。
ところが、私の筋肉を叩いたリラは超絶不満顔になる。
「なんなの、この筋肉の硬さはっ?パンパンじゃないの!」
半日激しく動いたから、体のあちこちが張ってる。シャワー浴びたくらいじゃ、ほぐれない。
「すみません、今日は特に厳しい特訓だったので…。」
「弾力性があって締まった張りのある筋肉が良いのに〜。これじゃあ硬すぎる!」
「じゃあ、お触りタイムは中止ですか?」
「ダメ、やる。」
残念だ。
お触りタイム無しにラーメンとはいかないようだ。
「特訓が不要な職務に配置換えしてくれたら、こんな事にはならないかと思います。」
だが、リラは腕組みをして、私の希望を打ち砕く言葉を放つ。
「筋肉を育てるのに強い負荷は必要だし、仕方ないな〜。」
だめか。何とかならんか。
「それでも限度がありますよ。今日みたいな実戦に近い訓練が続くと、体がガチガチになってしまいます。」
ほら、リラ様も柔らかい筋肉を楽しむ事ができませんし、私には後方での雑用が合っていると思います。
コロンさんからもそう言ってあげてください。
「ガチガチになった筋肉は、解せば大丈夫です。」
コロンがにこやかに言う。
「そうね、しっかり解さないとね。キナ、フリヴニャ、ベッドの準備して!」
リラの二人の侍女が、それぞれに走っていく。
侍女二人の名前を初めて知った。キナさんとフリヴニャさんって言うのか。不思議な響きの名前だな。
…じゃなくて、解す?どゆこと?
「コロンさん、これは何事ですか?」
コロンは答えず、困惑する私をよそに、リラと侍女達は何らかの準備を進めていく。
あっという間に、ベッド二つを連結させた臨時のオーガ用ベッドが運ばれてくる。きっと侍女二人のベッドなんだろう。
「ここに座りなさい。」
リラの言うとおりにするが、私の重さにミシミシとベッドが悲鳴をあげる。慌てて背の高い方の侍女フリヴニャが、ベッドに耐久強化の魔法を掛ける。
「これで良いですか?」
「さあ、はじめましょ。」
リラがそう言ってベッドに上がり、私の後ろに回る。
私の右腕を上に挙げさせ、頭の後ろへ持って行く。そしてリラは私の拳を掴むと引っ張った。
「ふんぬっ!」
ああ、これ。ストレッチやってくれようとしているのか。でもリラ様じゃあ力不足で、屈強な兵士二人分の筋力を持つ私の筋肉のどこも伸びません。
「ぬぅう!」
どれだけリラが変顔で力を入れても、私の凝り固まった肩関節周りはびくともしない。フリヴニャがこっそりリラに筋力増強魔法を掛けるが焼け石に水。
むしろ、リラが色々な体勢で腕を引っ張ろうとするものだから、リラの柔らかい所が色々と当たってしまい、私は気を使って余計な力が入ってしまう。
「だめかぁ。キナ、ロープ出して。」
リラはロープを受け取ると、私の手首に結び付ける。
「コロンも手伝って!」
今度は四人でロープを引っ張る。
「あ痛てててててっ!」
脇腹から二の腕に掛けての筋がぐぐぐっと伸びる。
効いてる効いてる。痛気持ちいい。
反対の腕も同様に。
それから首、肩、腰と、いろいろな所の筋肉を引っ張られる。
「うふふふふ、これ楽しい。」
リラはノリノリで私の体のあちこちを引っ張る。
ああ、これ気持ちいい。
激しい運動の後のストレッチって、こんなに気持ちいいものなのか。
おふぅ。
なんか、変な声が出そうになる。
リラも手応えを感じているのか、ストレッチをする腕に力が入る。
「さあ、うつ伏せになりなさい。ふふふふふふふ。」
リラ様、ちょっとSっ気が出てませんか?
言われたとおりうつ伏せになると、私の腰の上にリラが立つ。
かかとに係る重みが、腰のツボを刺激する。オーガの体の大きさには、リラくらいの体重が丁度良いのだろう。
我慢できず、気持ちよさで声が出てしまう。
「うっ、ううううぅぅふぅ。」
侍女達も脚や腕の上に立ち、グシグシと踏む。
ああ、コーカ式のマッサージ最高だ。体中が解されていく。
だが、女の人に体を踏まれて気持ち良くなってるだなんて、これじゃあ変態じゃないか…。
***
私がマッサージで寝落ちしている間に、筋肉お触りタイムまで終わっていた。このまま翌朝まで寝ていたかったが、ここで朝を迎えるわけにもいかない。
「筋肉を解すのも楽しいわね。新しい筋肉の可能性を学んだわ。」
リラが何か恐ろしい事を口走っている気がするが、マッサージが最高に気持ち良かったので、気にしないことにする。
リラの部屋をあとにする。
さあ、お待ちかねのラーメンだ!




