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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
4章:配属先が決定しました。

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「おはようございます。」


 コロンさんの挨拶で起こされた。

 窓の外は明るくなっていた。


「おはようございます、コロンさん。」


 あー、嫌な夢だった。

 仕事の辛かったとこを思い出してしまった。

 あの頃とオーガに転生した今と、どちらが幸せ何だろうか…。


 いやいや!

 そもそも私は、あの日から次の職場に異動だったから、もうあんなきつい仕事にはならなかったはず。

 オーガの体で幸せなわけないじゃない!


「良く寝ていらっしゃったのに、起こしてしまって申し訳ありません。」

「そんなに寝てましたか…。」


 とは言え、頭はスッキリとはしていない。

 んん…どのくらい寝てたんだろ?


「はい、二日間ほど…」

「え?そんなに!」


 オーガの体って、そんなに沢山寝られるようになってるの?


「ですから、反睡眠魔法で起きて頂きました。」

「そんな魔法もあるんですね。ありがとうございます。」


 反睡眠…目覚ましの魔法ってことか。魔法で起こされたから、スッキリしないのかな。

 まあ、大声で叩き起こされるよりはマシか…。


 ん、待てよ。


「コロンさん。もしかして、前に起こして貰った時も、反睡眠魔法を使ってくれてます?」

「はい、そのとおりです。」


 そうか、どおりで前回と同じで仕事の夢で目覚めた訳だ。

 あんまり使って欲しくないなぁ。


  ぐ~


 そんな時に、おなかが鳴る。

 恥ずかしい。


「あ、すみません。」

「ふふっ、大丈夫ですよ。朝食をご用意いたします。」


 コロンが料理を準備し始めた。


 そう言えば、前に起こされた時には面接があったな。

 今回も魔法を使ってまで起こしたって事は、何か用があるに違いない。


「今日は何があるんですか?」


 ベッドから降りながら、コロンに聞く。


「配属が決まりましたので、その挨拶まわりです。」


 やっぱりか。

 そのために魔法まで使って無理やり起こしたんだろうな。

 ギリギリまで寝かせてくれるってのは良いんだけど、もう少し早く起こしてくれても良いんじゃないかな。


「配属ですか…。一体どこに?」


 面接では「側に置いていただければ」なぁんて言ってしまったが、正直、ギルダーの護衛なんて嫌だ。

 あいつ、絶対性格悪いだろ。

 側に居たら、パワハラで胃に穴が開いてしまいそうだ。


「将軍様の直轄部隊です。」

「へぇ。」


 良かった。

 ギルダーは兵士長だから、あいつの下で働かなくても良さそうだ。


 私はコロンの並べてくれるお皿を眺めていた。今朝はハムエッグみたいな料理だ。それが大量に乗っていたので、ついつい皿に目が行ってしまう。おかわりをしなくても良いようにという配慮だろうか。


 …ん?


「え…は?ショーグン!?」

「はい。将軍様です。」


***


 今日はちゃんと、ダマスカス鋼で作られたナイフとフォークが付いていた。

 さすがコロンさん、仕事が早い。

 エンドルのフォークは二股のものらしい。音叉みたいな形をしている。


 本日は『黄昏より舞い降りたガルーダの業火になんたらかんたら』という料理名だそうで。

 おそらく(何らかの)鳥肉とその卵の料理だろう。

 味はまあまあ。昨日のスペアリブのジューシーさには及ばないが、あっさりしていて朝にはちょうど良い。量は半端じゃないが。


 というか、朝ご飯をまともに食べるのは久しぶりだな。

 前回、実家帰った時以来だと思う。

 

 まあ、それはさておき。


「コロンさん。将軍様ってなんですか!?」

「将軍様は、籠城軍の将軍様です。」


 将軍様って聞くと、歴史上の幕府の将軍様とか、かの北の国の将軍様が頭に浮かぶ。

 しかし、ここは王国だからトップは王様なはず。

 どの辺りの地位の人なんだろう。


「あの…コーカ王国の軍隊についてお聞きしてもいいですか?」

「大丈夫ですよ。どこからお話ししたら良いものでしょうか…」」


 このセリフはヤバい。

 先日も『どこからお話ししたら…』の後で、説明にかなりの遠回りを余儀なくされた。


 上から聞くか、下から聞くか…。


「コロンさんも軍人なんですよね。所属はどこですか?」


 下から聞くことにした。


「はい。わたしは今、親衛隊のエスクード班に所属しています。」


 確か、親衛隊長がシェケルのおっさんだったな。コロンさんの上司だったのか。


「そのエスクードさんが班長?」

「はい。」


 ということは、班長が主任クラスで、親衛隊長が係長クラスってとこかな。

 一個一個聞いていく。


「親衛隊長の上は?」

「兵士長様です。兵士長様の下に、親衛隊、騎兵隊、砲撃隊、水軍隊などがあります。」


 兵士長…つまりギルダーだ。

 やはりシェケルの上司だったか。課長クラスかな。

 あんな課長だったら苦労するだろうな。


「兵士長の上は?」

「第一籠城軍の軍団長様です。その下に三人の長がおられます。戦闘部隊を指揮する兵士長様、補給部隊を指揮する兵糧長様、整備補修部隊を指揮する工兵長様です。」


 軍団長=部長だな。

 なんとなく組織構成が分かってきたが…まだ将軍は出てこない。

 第一籠城軍ってことは何個か籠城軍があるんだろうな。


「籠城軍ってのはどういう部隊なんですか?」

「はい、籠城軍は防衛に特化しており、それぞれの城や城下都市の防衛を任されています。ここ王都に配備される第一籠城軍は最大規模を誇ります。」


 コロンさんの説明は的確だな。

 質問の仕方に気を付けたら、分かりやすいことこの上ない。


「軍団長の上は?」

「籠城軍の将軍様です。籠城軍は各都市に大小合わせて二十五軍団あり、二十五人の軍団長をまとめておられます。」


 将軍…局長クラスか。

 私も役所で働いていた頃に、局長となんて喋ったことない。


「何で、そこに私が…?」

「わかりません。昨日その配属が発表されて、私も非常に驚きました。」


 組織のトップが居る所は、前線より安全な場所だとは思っていた。

 だからといって、まさか将軍付の護衛だとは思わなかった。 


 将軍が戦場に出ることはないはず。

 その護衛なんだから、よっぽどのことが無い限りは、私の身の安全が保障されたと言っても過言ではないだろう。


 ナイフとフォークを置いて、ウーロン茶を飲む。

 そして窓から空を見上げた。

 私は心底ホッとしていた。


「大丈夫ですよ。安心してください。」


 コロンが私を見つめて、そう言ってきた。

 どうやら私が空を見上げたのが、将軍付きになるということに不安を感じたと思ったようだ。


「私の侍女の任は解かれておりませんので、配属後も、あなたの側におりますから。」

「あ、ああ。コロンさん、ありがとう。」


 お礼は言ったけど、不安なんてこれっぽちも感じてないんだ。

 ごめんね。


 ナイフとフォークを手に取り、続きを食べ始めた。

 コロンもそれを見て、私が安心したと思ってくれたみたいだ。


 山盛りの鳥肉をぺろりと食べてしまった。

 こんな量を簡単に食べてしまえる自分が怖い。


 食器を片付けたコロンが、でかいバケツとデッキブラシを取り出した。

 掃除でもするんだろうか。


「さあ食後には、お風呂に入りましょうか。」


 なんですと!?


エンドル魔法講座『反魔法』

 反対の効果を与える魔法のこと。反睡眠魔法は睡眠の反対、つまり覚醒させる効果を持つ。

 反加熱魔法は冷却魔法となり、反送風魔法は吸引魔法となる。

 効果は反対でも属性は同じであるため、魔法陣の色も同じ。つまり氷の魔法陣は火属性の赤色である。

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