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花音の誕生日 ①

 今日は花音の誕生日だ。

 誕生日の日も、花音は朝から俺の家にやってきていた。






「きー君、おはようございます!! 今日は私の誕生日よー。おめでとーっていーね」

「花音、誕生日おめでとう」





 誕生日の日、花音は朝から元気が良かった。そして朝一から俺におめでとうと言ってほしいなんて言って笑う。花音のご要望通り、俺はおめでとうと口にした。花音はそうすれば、嬉しそうに笑みを溢した。

 朝から花音は元気である。俺は昨日も夜に凛久さんと的場先輩、ゆうきと花音の誕生日を祝おう計画の打ち合わせをしていたので、少しだけ眠かったりする。








「きー君、朝ごはん何食べるー? 昨日買ったクロワッサンでも食べる? それともご飯炊いて、ウィンナーでもやく?」

「花音が好きなようにしていいよ。今日は花音の誕生日だしな」

「本当?」

「ああ。今日は花音の好きなようにしていいよ。花音の望みなら、今日は叶えるよ」

「わーい、本当です? そんなこと言ってよかと? そんなこというと、私どんどんきー君に頼み事すーよ?」

「ああ」

「なん、それー。なんかきー君太っ腹すぎん? そがんこといわれっと、私、どんどん甘えるよ? きー君が嫌になるぐらい頼み事すーよ?」






 花音はそんなことを言う。




 太っ腹なんていうけれど、花音は無茶な頼み事なんてしないだろうし、花音がやりたいようにしてもらって問題はない。

 昼ぐらいには凛久さんとゆうきと的場先輩がくる予定になっているが……、花音は今、パジャマを着ている。俺しかいないし、来るのが凛久さんだと思っているからだろうが、うん……流石にサプライズで来るゆうきと的場先輩の前でパジャマの前だと不味かろう。そう思ったので、どうにか花音を着替えさせることにした。








「花音、折角の誕生日だし、おしゃれしていたらどうだ? 俺は花音がおしゃれしたの見たい」

「きー君にそこまで言われるのなら着替えるよ!! 可愛か私に悩殺されてね!!」







 ……本当に花音って、真っ直ぐだと思う。俺がちょっと乗せたら、俺が望むように着替えに行った。折角の誕生日だしな。パジャマ姿で過ごすより、おしゃれしていたほうがいいだろう。





 一旦、隣に戻っていった花音は、ニ十分ほどして戻ってきた。

 白いカットソーに水色のスカート、室内だというのに、なぜか俺があげた帽子をかぶっている。そして眼鏡を顔にはつけている。

 長い髪も一つに結んで、いつもより大人っぽいイメージである。







「花音、何で室内なのに帽子被っているんだ?」

「だって折角きー君がくれた帽子やもん。特別な誕生日だからこそ、きー君くれたもん、かぶっときたかし」

「ちなみになんで眼鏡?」

「私は一つ年を取ったんよ。大人になるーって意味もこめとっと。私も十六歳!! 大人になったんよ。ちょっと大人ぶった私もかわいかやろ?」




 花音はそう言いながらソファに座る俺の目の前でくるりと一回転をする。なんだかファッションショーをしているような感じでポーズまできめている。




「きー君、写真とろー!!」




 花音にそうせがまれて、最初は花音だけの写真を撮っていたのだが、花音は俺との写真を撮りたいらしい。花音のスマホでパシャリと写真を次々と撮られる。俺と花音の二人の写真から、なぜか俺単体の写真まで……。俺の写真撮ってどうするんだかと思うが、花音が残しておきたいらしいのでよいとしよう。

 しばらく写真を撮った後は、花音は俺の隣に腰をかける。





「きー君、今日はきー君、私を甘やかしてくれっとやろ? やったら、また台詞いってほしかよー」

「うん。いいよ」

「じゃあね、今日は――」




 花音は自分の部屋から俺に言ってほしい台詞をまとめたノートを持ってきたらしい。恥ずかしいけれど、花音が喜ぶのなら良いかと気合を入れて頑張ることにした。




「ははははは、俺様は――」

「きゃー、きー君、よかよー。かっこいいー!!」





 俺が台詞を告げれば、花音はそれはもうテンションをあげていた。キャーキャーいいながら、俺の目の前で楽しそうに花音はしている。





「今日のきー君、思いっきりよかね!! やる気満々で台詞演じてくれてめっちゃよかよ。きー君の低音ってすごく好みなんよね!! 今日はたくさーん、きー君の声を聞けそうで私それだけで幸せよー」



 にこにこと笑う花音がとても眩しいなと思った。普通に恥ずかしいけど、これだけ喜んでもらえるとやりがいがある。





 と、そんな風に花音といつも通り過ごしていたら、家のチャイムが鳴った。


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