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先輩を出迎える ②

「的場先輩、変な態度取ってしまってごめんなさい」

「花音ちゃん、謝らないでいいわ。花音ちゃんは私が此処に居ることに戸惑っているだけだものね。それにしても方言可愛いわね。花音ちゃんって何処出身なの?」

「えっと、長崎です」

「学園での花音ちゃんと大分、違うけどこういう一面出さないの? 出しても花音ちゃんはとても人気者だと思うのだけど。あ、それとも上林君にだけ見せたい姿とか?」

「『聖母』様みたいな印象つけられちゃったし、方言出すのはちょっと……って思ってたらそうなっただけです。きー君に方言出ているのは、きー君と私が仲良しだからです。仲良い人以外にはちょっと……」



 花音と的場先輩がそんな会話を交わしている。的場先輩は終始にこにこして、花音の事を見ていて、凛久さんには興味がなさそうだ。





「それに上林君のことをきー君呼びって可愛いわ。いや、花音ちゃんだけじゃないわね。上林君も花音ちゃんと話している様子可愛いわ。もっと見せて。私の事は空気か何かと思ってくれていいから」

「こんなに煩い空気はいねぇよ」

「天道さん、煩いです! 私は天道さんも空気でいいと思うんですよ。花音ちゃんと上林君が普通通りにしてもらえれば私はそれだけでいいの!!」





 ……逆にそんな言われると、普通通りにしにくいんだけどなぁと思いながら俺は花音を見る。花音は、「きー君、何したいですか?」とこちらを見る。

 何をしたいか……と言われても、と思いながら思考して、一つしたいことが思いついた。





「あ、そうだった。俺、見たいテレビあるんだった」

「テレビですか? きー君、なにみっと?」

「旅番組。こういうのたまに見ると楽しいから。昨日予告していたんだよな」

「番組よかね。私もみたかよ!! きー君、一緒みよー。お兄ちゃんと的場先輩はどうします?」





 俺が旅番組を見る予定だと口にすれば、花音は自分も見るという。

 そして凛久さんと的場先輩にそう告げる。





「俺も後ろから見とくよ。ついでにこの女の監視も」

「私は旅番組っていうより、花音ちゃんと上林君を眺めるわ」





 凛久さんと的場先輩はそんな返事を返してきた。俺と花音を眺めるなんていう的場先輩には落ち着かないが、とりあえずテレビを見よう。

 俺と花音はソファに腰かけて旅番組を見始める。





「旅行ってよかよね。今日は九州にいっとっとね。きー君って九州いったことあっと?」

「俺はないな」

「そうなん? まぁ、私も九州全部にいったことあるわけじゃなかけど、九州もたのしかよ。そうやね、いつかきー君こと、長崎を案内したか」

「そうだなぁ。旅行で長崎行くことあるなら花音に案内してもらえたら楽しいだろうな」

「喜んで案内すっよ。あ、というか、これ長崎も通るんねー。時間制限ありの旅やけん、観光地はいかんみたいけど、なつかしか」



 丁度、テレビでやっている番組は、路線バスで時間内に目的地にたどり着けっていう番組だった。

 たまにこういうの見ると楽しいんだよな。





「きー君、こんバスね、私ものったことあっとよ」

「そうなのか?」

「うん。そーなんよー。なつかしかねー。東京のバスやと、前払いとかおおかよね。でも田舎だと後払いなんよね。そういうところも驚いたんよね。人もおおかしさ」

「俺は人が多いの当たり前だと思っていたなぁ。逆にテレビとかで人少なくてびっくりした」





 そんな会話をしながら花音と一緒にテレビを見る。それにしても地元が出ているからか、花音が楽しそうで何よりだ。



「皿うどん食べとるね。皿うどん美味しかとよねー」

「皿うどんかぁ……全然食べないな」

「きー君、今度皿うどん作ろうか?」

「皿うどんって作れるのか?」

「家で簡単に作れる奴うってあるんよ。それで作ったらおいしかとよ」

「じゃあ食べたい」

「きー君が食べたいんやったら喜んでふるまうね!!」





 皿うどんなんて食べるのは外食した時に見かけた時ぐらいだ。花音がふるまってくれるらしいので、俺は楽しみにしておくことにする。

 そんな感じで花音と一緒に旅番組を見ながらのんびり会話をしていた。二時間ほどの番組はあっと言う間に終わった。



 その間、凛久さんと的場先輩の事を認識していなかったのだが、後ろを振りむいたら……、「やばっ。なにこれ。めちゃくちゃ仲良しじゃない。花音ちゃんと上林君、仲良しすぎでしょう。なんなの、凄い素晴らしい関係すぎて、やばいわ……」

 テレビの音で聞こえていなかったが、的場先輩は小声で何かブツブツ言っていた。その傍で凛久さんは的場先輩に呆れた目を向けていた。





「はっ、ごめんなさい。お兄ちゃん、的場先輩。テレビに夢中で二人がいるの忘れてました」

「気にしなくてよかよ、花音。テレビを見ている花音も可愛かった」

「気にしないで、花音ちゃん。私は楽しそうな二人の様子を見れてとっても嬉しかったわ。花音ちゃんは、上林君のこと大好きなのね!!」



 というか、案外凛久さんと的場先輩って似ているのだろうか。花音への返答がほぼ同時っていう。

 テレビを見終えた後は、花音の希望で四人でトランプでもすることになった。




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