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ケーキを食べ終わって

「うぬぬ、負けた!! 上林先輩って、ゲーム強いですね」

「ゲームは好きだからな」






 ケーキを食べ終わったあと、俺と天道はゲームをしていた。対戦ゲームである。

 何でゲームをしているかと言えば、ケーキを食べたあと、天道が「私ばかりやってもらうのも何だか嫌です。だから、次は上林先輩のやりたいことをやりましょう」と言ったからである。

 ケーキを食べ終われば帰るのではと思っていたのだが、天道は居座る気満々だった。天道と何をやりたいか、と考えても思いつかない。





 話しかけられたのも昨日が初めてだし、そんな相手と何をするんだ……? と思ってしまう俺である。

 ……本当に何で昨日初めてしゃべった相手が俺の部屋にいるんだろうか。天道の押しが強すぎるせいだとしか言えない。






 それでふと目についたゲームをやってみようと口にすれば、天道はゲームも好きらしくて喜んで頷いたのであった。






 そんなわけで今、俺は天道とゲームで対戦している。





 天道は声優さんが好きなようで、ゲームも結構やるらしい。ただ、こういった対戦ゲームよりもシミュレーションゲームである乙女ゲームやギャルゲーの方がやるそうだ。学園にいる天道からは想像もつかないが、今、目の前にいる天道にはぴったりだと思っている。









「む、どうしたんですか? 私の顔に何かついてますか?」

「いや、何も」

「どれだけ見つめてもらっても構いませんよ! 今日は上林先輩の声を堪能させていただきましたからね。そんな上林先輩が私を見つめたいっていうのならば、さぁ、どうぞ!」

「いや、見つめないから。それより、ゲームの続きするぞ」

「はーい」






 馬鹿な事を言っている天道にゲームの続きを促せば、天道は元気よく答えた。なんというか、やっぱり天道は犬っぽい気がする。


 それから天道と一緒にしばらくゲームに勤しんだ。














 気づけばすっかり夕方になっていた。午後丸々天道が俺の家にいたのかと驚いてしまう。





「天道、もう六時だぞ」

「はっ、本当ですね。私、そろそろ帰りますね。今日は突然、押し掛けちゃってすみません。本当に、私にはやく帰ってほしいとか来てほしくないとか思ったら言ってくださいね。私は言われないと私どんどん、甘えちゃいますので!」

「気にしなくていい」







 天道が押し掛けてきたのも、押せ押せなのも驚いた。だが、俺自身も楽しかったのは事実である。なので天道は気にする必要はない。






「じゃ、明日も押し掛けちゃっていいですか? 上林先輩さえ良ければもっと台詞言ってほしいですし。それに今日は上林先輩の持ってるゲームやったので、次は私の持ってるゲームやりませんか?」

「また、来るのか?」





 明日も来ていいかと、笑顔で問いかけてきた天道に驚いてそんな言葉が出る。





「はっ、やっぱり迷惑ですか?」

「いや、特に用事もないし問題はないが……天道は他にやることはないのか?」

「ないですよー。私は基本的に引きこもり体質なんですよ。体を動かすのも好きですけど、夏は暑いし家でのんびりするんです。折角上林先輩と言う良い声の持ち主に出会えたし、存分に補給したいんです」

「……そうか、それならいい。俺も天道とは昨日初めて喋ったが、思ったより楽しかった」

「ありがとうございます! 私も上林先輩と遊べて楽しかったのです。明日もよろしくお願いしますね」





 にこにこと笑いかけて、天道はそのまま去っていくのだった。

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