表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/88

デートという名のおでかけ ③


「きー君、これうまかよ!! 一口たべん?」

「いいのか?」




 栗を丸々一つ、ケーキの中にいれたお茶のパウンドケーキ。花音はそれを食べていたわけだが、よっぽど気に入ったのか、俺にも食べてほしいと目を輝かせている。俺はスプーンを取り出して、一口もらう。




「うまい」

「よね。めっちゃうまかよねー!!」

「ああ。というか、かのちゃん、今日は凄い方言出てるな」

「きー君とのデートが楽しかけんよ。私凄い、興奮してますもん!!」





 こんな人込みの中で知り合いに見つかる事があるかどうかは定かではないが、念のため花音のことは以前でかけた時と同様にかのちゃん呼びしておくことにしている。



 それにしてもそれだけ俺と出かけることを楽しんでもらえると、素直に俺も嬉しくなってしまうものである。






「ねー、きー君、このアップルケーキうまそうじゃないですか?」

「美味しそうだな買うか」

「うん。ねー、きー君、おおめに買ってもよかよね? 私ときー君ならぺろりと食べられるだろうし」

「そうだな。あとは凛久さんとかへのお土産にしてもいいしな。来週はくるんだろ?」

「うん。お兄ちゃん、今週は我慢するけど、来週は来るっていいよった」





 俺も花音も甘いものは大好物なので、幾らでも入る。この場でいくつか購入してすぐに食べているが、家に持ち帰って食べるのもいいだろう。なんというか、家にこれだけ美味しいスイーツがあると思うと、学園でも勉強を頑張れる気がする。




「きー君、ソフトクリームありますよ!! 栗を使った奴!! 食べません? 寒い日に食べるアイスって中々いいんですよねー」




 秋なのにソフトクリームも売っているらしい。でも確かに寒い中で食べるアイスも格別美味しい。花音と一緒にソフトクリームを買って、食べる。

 滅茶苦茶上手い。やっぱり甘いものは美味しい。




「きー君、頬が緩んでますね!! 楽しかですか?」

「ああ。楽しいよ」

「えへへー、きー君も楽しんでくれて私嬉しいです! 私もきー君と一緒だからより一層楽しいですよー!!」






 花音は満面の笑みを浮かべて、そんなことを言う。




 なんだかにこにこ笑っている花音に周りの視線が釘付けになっている。花音は可愛いからなぁ……。ついでに言えば、そんな可愛い花音の傍に俺がいるから男からの視線が痛かったりする。





 一人でスイーツ祭りに来ているらしい男には、「うらやましい」といったような視線を向けられているし。でも俺と花音ってそういう仲じゃないから、そんな視線を向けられてもなぁなんて思ったりする。




「きー君、スイートポテトもいいですよね」

「ああ、そうだな。美味しいな」





 そんな感じで花音と一緒に美味しそうなものを購入していった。飲食エリアでいくつか食べたりして、すっかり俺も花音もお腹いっぱいである。






「きー君、そろそろ次行きますか?」




 花音がそんな風に言ったのは、昼頃になってからだった。






「次?」

「そうですよー。スイーツ祭りは十分楽しめましたからね!! 今日は一日中、私とデートしてもらいますからね?」





 スイーツ祭りで十分俺は楽しめたのだが、もっと他の場所にも行くらしい。それにしても朝から花音は本当に元気だ。






「何処いくんだ?」

「カラオケ行きましょう!!」

「カラオケ?」

「そうですよー。カラオケです!! デートといえばカラオケも定番でしょう。それに私はきー君の心地よい低音で歌われる歌を私が聞きたいんですけど!!」

「ああ。いいぞ」





 そのままスイーツ祭りの開催された駅の周辺にあるカラオケに向かった。

 家の近くではないのは、その方が学園の生徒たちに見られることがないだろうということでらしい。











「きー君、お腹すいたらここで食べましょうね。カラオケ店の料理って結構おいしいんですよねー」



 カラオケ店について、個室に案内された後、花音はにこにこと笑ってそう告げた。

 今はスイーツ祭りでスイーツを沢山食べたからお腹はいっぱいだが、お腹がすいたら頼もうと思う。それにしてもこういう所でもスイーツに目がいってしまうんだよな。






「きー君、さぁ、早速歌ってください!!」





 花音はキラキラした目で俺を見る。そんなに期待したような目で見られると逆に歌いにくいのだが……。というか、花音に期待外れの歌だったとか思われたら俺も凹むしな。花音はそんなこと言わないだろうけど。

 少し緊張しながら子供の頃に見たアニメのOPを見た。花音と俺は一才しか違わないので、花音も見ていたアニメだったらしい。







「なつかしかねー。それにしてもきー君の歌、私好きよ!! きー君の歌声独り占めできるとか、本当幸せなことやね!!」



 花音は俺の歌声を聞いて大興奮だった。





 それだけ喜んでもらえるとやはり嬉しいものである。花音は俺の歌った歌が懐かしくていいなーと思ったのか、続けて懐かしいアニメの曲を歌っていた。

 子供の頃に見たアニメの話をしながら、交互に歌を歌っていった。






 途中でお腹がすいたので、焼きそばやプチシュータワーを頼んだ。プチシュータワーは結構な量があったが、俺と花音の胃の中に簡単に収まっていった。





 それにしてもカラオケで間近で花音の曲を聞くと、歌もうまいんだなと思う。遊び心で点数採点もしていたが、ほぼ百点に近かった。

 俺はそんなに点数も高くなかったが、花音は俺の歌声を大絶賛していた。





 それから夕方になるまで花音とカラオケで楽しむのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ