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年末の話


「そういえば、きー君は年末年始はどうするつもりなんですか」



 のんびりと過ごしていたら、ふと花音がそんな風に問いかけた。






 もう11月。気づけば、年末年始も近づいてきている。その前に花音と出かけたり、花音の誕生日とかあるわけだけど。





 花音に問いかけられて、年末年始をどうするのか考える。

 父さんと母さんは海外にいるし、帰ってこないと言っていた。地元に帰るつもりもないので、此処でのんびり年越しをすることになるだろう。





「俺は此処で一人で年越しだな」

「えー。きー君、家族と過ごしたりしないんですか? 一人で? 此処で?」

「ああ。両親も海外から帰って来ないって言ってたし、のんびりするつもりだけど」

「むー、そうなんですか。きー君が独りぼっちになるなら私も実家帰るのやめようかなぁ」

「いや、なんでだよ。帰っていいぞ。花音は実家に帰りたいんだろ?」

「……でもきー君が」





 花音は俺を一人にすることを気にしているようだ。でも別に俺は一人で年越しをすることに対して、花音ほど深刻には考えていない。というか、何で花音が俺が独りになる! とそんなに気にしているのかいまいち分からない。





「そんな顔をしなくていい。花音は凛久さんと実家に帰って楽しんでくればいい。戻って来てから、年末年始どう過ごしたか話してくれよ」

「むー」




 俺が言葉をかけても花音は何か考えたような素振りを見せていた。……本当に気にしなくていいのだが。





 とりあえず花音がそういうことを考えなくて良いように、「ゲームするか?」と誘った。花音はその誘いに乗って、「します!! 何のゲームします?」と食いつくのであった。





「花音は何のゲームがいい?」

「んー。そうですね。新作のギャルゲーを買ったので、それでもいいのですけどスマホゲーも楽しいのがあって……。きー君もやりません?」

「どんなのだ?」

「最近始まったリズムゲームなんですけど、女の子が可愛くてきゃーって感じなんです」





 花音に見せられたスマホの画面に映ったゲームは、最近はやりのアイドルもののリズムゲームである。俺も名前は知っているけど、やってはいなかった。

 花音がどれだけ楽しいのかを力説するので、やってみることにする。

 というか、花音はサービス開始したばかりだと言っていたけれどがっつりやりこんでいるみたいだ。結構レベルが高い。





「花音、やりこみすぎじゃないか?」

「そうですか? 私なんてまだまだですよ!! こういうゲームはガチ勢は意味が分からないレベルですからね。課金もそんなにしてないですし」





 少しでも課金しているところを見る限り本当に結構やりこんでいるみたいだ。まだサービス開始ボーナスとかあるみたいなので、早速初めて見る。





 横で花音が「この子は体育会系の子で、でも可愛くてー」とか、「この子はお姉さんキャラで」とか色々説明している。というか、キャラクター多いな。花音は全部覚えているのだろうか。そう思って聞いたら「すぐに覚えました」と言っていた。流石、記憶力が凄まじい。





「ねーきー君はどんなタイプがいいですか?」

「んー。まだ分からない」

「そうですか? じゃあ、お気に入りの子出来たら教えてくださいね!!」

「ああ」





 それからしばらく花音と一緒にスマホゲームに勤しんだ。リズムゲームも花音はすさまじいほど上手だった。





 ……本当に花音ってやりこんだら凄いよななどと思う。





 こうしてゲームに熱中している花音を見ながら、とりあえず花音へのプレゼント選ばないとなと考える。出かける時に何かあげるのと、あとはまだ先だけど、花音の誕生日も近いわけだし、そっちも選んでおこうかな。

 流石にこれだけ仲よくしている後輩の誕生日を祝わないってのはありえないし。

 というか、凛久さんとかに聞いて花音の誕生日を祝う準備とかしたほうがいいだろうか。凛久さんなら喜んで協力してくれそうだし。






「んー、きー君、どうしました?」

「ちょっと考え事をしていただけだ」

「なんですかそれー。なんか悩みとかですか? お悩みなら私は喜んで聞きますよ? きー君が悩んでいるなら私が癒しますからね!!」

「いや、そんな悩みじゃないから気にしなくていい」





 ただ花音に何をプレゼントしようかとそれだけを考えていただけなので、そんな深刻な悩みでは全くない。

 というか、本当に花音って気を許した相手に対して軽く発現しすぎだと思う。そんな言動したら勘違いする奴は勘違いしそうだし、変な人に騙されることがないようには気にかけておかないとななんて考えてしまうのだった。




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