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日曜日に早速勉強

 凛久さんが泊るといったら、案の定、花音も「私も泊まる」と言い出して、先週と同じように三人で雑魚寝して眠ることになってしまった。





 それにしても凛久さんは、毎週俺の家に泊るつもりなのだろうか……というか毎週わざわざここまでくるつもりなのだろうか。なんだかずるずると来週も俺の家に来る気がする。

 花音もそうだけど、凛久さんも他にすることはないのだろうか……と思わなくもないが、二人と過ごすのは楽しいのでまぁいいとしよう。





 朝目が覚めると、花音と凛久さんはとっくに起きていて、朝食の準備をしてくれていた。良い匂いで目を覚ますことが出来るとなんだか朝から気分がよくなる。





「きー君、どうぞ!!」





 花音は朝食の準備を終えて、そんな風ににこやかに笑った。もうすっかり俺の食器の場所など把握しきっている。





「ありがとう」





 お礼を言って、三人で朝食を食べる。





 朝食が終われば、凛久さんはやらなければならないレポートがあるとかで、パソコンを取り出してレポートを進めている。なんだかレポートを進めているのを見ると、大学生と言う感じがして憧れる。





 ……なんか大学生って、高校生の俺からしてみれば大人な感じがするし、なんだか憧れるんだよなぁ。





 じーっと、レポートをしている凛久さんを見つめてしまっていたら、




「きー君、何、お兄ちゃんを見つめてるんですか?」




 と花音が視界を遮ってきた。





「いや、大学生ってかっこいいなと」

「むー。きー君は年上好きとかですか?」

「いや、そういうのはないよ。ただ、ほら、二年後には俺も受験が上手く行けばだけど大学生になるわけで、やっぱり大学生ってかっこいいなと思うだけだよ」

「そうですか。よし、きー君、お兄ちゃんではなくて、私を見ましょう!! 勉強しますか??

 授業で分からない所とか、テストに向けて切り詰めたい所とかあったら私が教えますよ!!」





 花音は俺が凛久さんを見つめていたことにご立腹な様子だ。構ってほしいらしく、やっぱり犬っぽいと思う。

 学園で花音の事を犬っぽいなんていったら、周りに怒られそうだけどやっぱり犬耳と尻尾が見える気がする。





「花音、自分の勉強はいいのか?」

「問題ないです」

「一学年上のものだが……」

「ふふふ、その辺もちゃんと勉強済みですから問題なしです。私、勉強も嫌いじゃないですからね。ちゃんとやったら一位が取れて、結果に出るんですもの!!」





 それは花音だからな気がする。勉強をしたからといって誰もが学年一位を取れるわけではない。

 花音はやっぱり元が頭が良いのだろう。勉強した分だけちゃんと結果に出るらしい。




 俺の家でたまに花音は勉強している。俺の家にいると大体遊んでのんびりしているけれども、それでも一位が取れるのは流石としか言いようがない。

 俺の成績はそんなに高くも低くもない感じだ。どうしても順位をあげたいとか、良い点数を取りたい!! ってわけではないけど、高い点数を取れたら嬉しいとは思う。





「じゃあ、頼む」

「了解です!! ふふふ、私きー君の先生になるのです!! あ、ちょっと待ってください」





 花音はそう言ったかと思えば、なぜか自分の部屋に戻っていった。何か忘れ物でもしたのだろうか、と思っていたら戻ってきた花音はなぜか伊達メガネをつけていた。





「花音!! その眼鏡可愛いな」

「お兄ちゃん、せからしか。私は眼鏡をかけて、教師モードになるんよ!!」





 気分を教師モードというものにするために、花音はわざわざ伊達メガネらしい。本当に形から入ろうとするよな。

 黒い縁の眼鏡も、花音によく似あっている。また普段とはイメージが少し変わって、こういう眼鏡一つで女の子って雰囲気変わるのだなと不思議な気分になった。





「きー君、これから私は先生になるのです! 是非、かのちゃん先生とか、花音先生とか呼んでくださいね!!」




 ……うん、本当形から入るの好きだよな。凄く花音が楽しそうだ。





「じゃあ、花音先生。よろしくお願いします」





 花音があまりにも楽しそうなので、乗ったらなんか花音が「良い!」と急に大きな声を出す。





「きー君の先生呼び、凄く新鮮で良いです!! きー君の声で先生とか言われると、私凄くやる気出ます!」





 ……よく分からないが、ツボにはまったらしい。そんな発言をいつものようにしたあとは、教師モードとやらに本気で入ったのかキリッとした表情をする。

 それから花音に勉強を教えてもらった。

 高校一年なのに、二年生の問題を理解して、教えられることに驚いてしまう。というか、花音は天才型なイメージだから教えるの苦手かなと思ったが、花音の説明は分かりやすかった。





「きー君、これはですね――」





 意味が分からないと思っていた数学の難しい問題も花音の手にかかれば、簡単に紐解いてしまう。

 俺が中々理解出来なくても、花音は呆れるとかでもなくただ俺に真剣に教えてくれた。


 


 午前中はみっちり凛久さんはレポート、俺は花音に勉強を教わるでつぶれるのであった。





 午後はいつも通りのんびり遊んですごした。凛久さんも二回目なのに、すっかり自分の家のようにくつろぎ始めている。やっぱり兄妹だなと思った。

 夕食は凛久さんが出前をおごってくれた。出前で食べたうな丼は美味しかった。うな丼は値段が高いから最初は遠慮したが、凛久さんが譲らなかったので奢ってもらうことになったのだ。





「じゃあ、また来週も来るから」





 凛久さんは当たり前のようにそう言って、うな丼を食べた後に去っていった。



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