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鍵を渡され、出かける。

 朝食を食べた後、花音は「着替えてきます」と口にして一度部屋へと戻っていった。その言葉から着替えた後、また俺の部屋に入り浸ることが分かる。それにしても本当に花音が此処にいるのが当たり前になったんだよなぁと不思議な気持ちになってしまった。





「ただいまー」





 花音は当たり前のようにそう言って、部屋の中に戻ってきた。





 着替えてきた服は完全に部屋着である。赤と白のボーダーの服に、動きやすそうな黒いズボンを着た花音。

 寝転がっても良い服を着てきたのが分かる。






「おかえり、花音」

「あ、そうだ、きー君、これあげますね。私の部屋の鍵です」

「いや、やっぱり駄目じゃないか?」

「まだ言っているんですか? そんなの気にしなくていいですよ。それともきー君は私のことを襲いたいと思っているような獣さんなのですか?」

「いや、それはない」

「むー。そんなはっきり言われたらそれはそれで私魅力的じゃないの!? ってショックですよ!!」

「花音は普通に美少女だし、魅力的だろ……って何を言わせるんだ」

「えへへ、私のこと、きー君、美少女と魅力的だと思ってくれているんですね。それは嬉しいです。あ、でも鍵はちゃんともらってくださいね? 私はきー君に持っていてほしいのですよ!!」






 ……なんだかそのまま、勢いのままに花音からそれを渡されてしまった。

 とりあえずそれは棚にしまっておこうとする、すると花音にまた言われる。





「もー、しまわないで、持っててくださいよー。何かあった時に私の家に来るかもしれないでしょー? 私もきー君の鍵を常備しておきますからね!!」

「お、おう」





 なんかもっておくようにと言われて、そのまま押し切られてしまった。一応、入れとくか。





「ねぇねぇ、きー君、今9月じゃないですか。10月からの新作アニメで凄く楽しみな作品あるんですよねー。その原作まだ持ってなくて、きー君は読んだことありますか?」

「なんて作品だ?」

「えっとですね、『煉獄戦記』っていう戦記ものですね。中々ハードな世界観だという情報は手にしているんですけど」

「俺も読んだことはないな」

「そうですか! じゃあ、あの本屋かネカフェでも行きません? あ、もちろん、私って分からないようにマスクしたりとかして分からないようにはしておきますよ!! きー君と一緒にお出かけってちょっとしてみたいなーって」

「あー……」






 花音はその漫画を買いに行きたいらしい。よっぽど面白そうな漫画なのだろう。花音と一緒に出掛けるのがバレたらややこしそうだけど、ちゃんと分からないようにしているのならば問題がないか。





「……人がいなさそうな、時間に行くか」

「わーい。じゃあいつ行きます?」

「今からの方がいいかなと思うが……。朝早くなら人も少ないだろうし」

「よし、じゃあ着替えてきます!!」

「さっき着替えたばかりなのにいいのか?」

「もちろんですよ!! きー君とお出かけとか行きたいですもん!!」




 と、花音がやる気満々でまた部屋に戻っていった。




 俺も着替えておこう。それにしてもさっき着替えてきたばかりなのに、また着替えに行って、花音は忙しいなぁと思う。





「お待たせしました、きー君!!」

「……結構変わるな」

「でしょでしょ。服装とかで雰囲気変わるんですよ!! 女の子は幾らでも変化出来るのです! 普段化粧しないので、化粧して違う雰囲気にしてみましたよ」





 少し時間を置いて戻ってきた花音は、いつも結んでいない黒髪を二つに結んで、伊達メガネをかけて、マスクをして……、帽子をかぶっている。服も私服は可愛い感じだったり、女の子らしかったりするのだが、今は運動部の女子みたいな感じの服というか、そんな感じだ。





「ふふふーん、外に居る時はもうちょっと口調変えてみますね!!」

「なんだ、その気合の入りようは。出かけるだけだぞ」

「違う風に演じるみたいなのも楽しそうじゃないですか。別人を演じて見せますよ!!」





 ……本屋に行くか、ネカフェに行くか、それだけなのに別人を演じると花音が気合を入れていた。

 まぁ、花音だと分からないのならばそれでいいだろう。





 そして俺と花音は、出かけるのだった。

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