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体育祭③

 これから俺の参加する障害物競争が行われる。障害物競争の障害物は麻袋、マット、跳び箱、フラフープ、平均台などがある。





「頑張れー。上林君!!」

「障害物競争は単純な足の速さ重視ではないからな。頑張れ」



 明知や倉敷の声が聞こえてくる。ゆうきも「頑張れよ」と声をあげていて、応援されるのはこっぱずかしいけれど、やる気が出てくるものだ。



 それに花音からの視線も感じる。

 じっと花音に見つめられると落ち着かない気持ちになる。花音がじっと見ているからというのもあって、障害物競争を他の生徒たちも見ていたりする。花音の影響力はすさまじい。



 花音がクラスメイトの女子と何か話しているのが見えた。その後、「天道さん、障害物競争面白そうって思って注目してるんだって!!」という声があがって、急に障害物競争に参加する他の生徒たちが急に色めき立った。




 特に男子生徒たちが。女子生徒たちも花音に憧れている生徒が多いので、花音に見られていると思うと頑張ろうと思うらしい。

 男子生徒に好かれて女子生徒から反感を買っている女子生徒なら昔あった事がある。逆に一部の男子生徒と女子生徒に好かれている生徒とかも知っているけど……これだけ男子生徒にも女子生徒にも好かれているってすごいことだと改めて思う。

 他の生徒がやる気に満ちているのを見て、ちょっとびびってしまう。雄叫びのような声をあげてやる気を見せていたり、「天道さんと目が遭った!!」と声をあげて笑みを浮かべていたり、そんな中に居る俺。



 というか、これだけやる気を見せている生徒たちに俺は勝つ事が出来るのだろうか……。折角これだけ応援されているというのもあってビリにはなりたくないなと思う。



 そんな気持ちで挑んだ障害物競争は一番最初のレースに参加した。まず最初のスタートの走りで普通に他の生徒たちに負けた。何で足が速い人がこれに参加してるんだ……。五人でスタートして最初に四位。



 そこからまずは麻袋。

 麻袋の中に足を入れてぴょんぴょんと飛んでいく。一人そこで抜かすことが出来た。一番前を進んでいるのは最初に抜きんでいた男子生徒だ。というか、障害物もどんどん進んでいる。運動神経が元々良いのだろう。

 マットを終えた時にも俺は三位。どうかこのあたりの順位で最後を飾りたいけどどうなるか。

 跳び箱を超える時に、すぐには飛び越えられずにまた抜かされてしまった。……これを花音が見ていると思うと少しかっこ悪いなと思う。

 フラフープを回して、その後、最後に平均台だ。今、4位か。平均台をなんとか超えて、あとはゴールまで走るだけ。ゴールまでなんとか走り切って4位だった。なんとかビリにはならないという目標は叶えることが出来た。




 一位になったのは独走していた男子生徒だった。その男子生徒は花音と同じクラスのようで、意気揚々と花音の元へ向かっていた。それを二位の男子生徒がうらやましそうに見ていた。

 別に二位になったとしても花音の元へ行っていいと思うのだが、なんか勝手に周りの連中が一位の人だけ花音に話しかけられると決めつけたようだった。二位の人が近づこうとすると、周りがガードしているし。謎だな。花音は何もそういう指示は出していないようだけど、別に誰が話しかけてこようとどうでもよさそうだ。まぁ、花音が嫌だったら周りを止めるなりするだろうけど。

 なんかそのルールが勝手に広まったのか、その後の障害物競争に参加する生徒たちのやる気はもっとすさまじいことになっていた。俺最初にスタートで良かったかもしれない。こんな一着になって花音に話しかける!! と恐ろしいほど意気込みを見せている連中と一緒に参加になったらビリだった気がする。




「……天道さんの影響力凄まじいな」

「ああ」



 クラスのテントに戻ったらゆうきが迎え入れてくれた。明知も「頑張ったね」とタオルを渡してくれる。

 一着を取った生徒たちは心から嬉しそうに花音に話しかけている。



 隣で倉敷が「えー、障害物競争で一着だったら花音ちゃんに話しかけられたとか!! 俺も障害物競争に参加したかった!!」と嘆いていた。



「達史、そんなこと言わないの。達史は別の競技で天道さんに良いところを見せたらいいじゃない。達史はかっこいいんだから」

「……ああ。そうだな。花音ちゃんに良い所を見せる!! で、俺も花音ちゃんに話しかけに行く!!」


 倉敷はそんな風に声をあげていた。



 花音へ話しかけるぞと気合を入れている倉敷はその後の競技でぶっちぎりの一位になっていた。そして花音に意気揚々と話しかけていたのだった。

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