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友人が帰った後

 ゆうきが帰った後、天道がまた台詞を言ってほしいと何度も言ったため、また天道が希望する通りに言葉を発すれば、天道は嬉しそうに笑った。







「ふふふ、やっぱり上林先輩の声は良い声ですよね。私ってば本当に幸せものですよー。こんなに好みの声の人が隣人で、いってほしい台詞いってもらえるとか、本当私は幸せなのですよ」

「相変わらず大げさだなぁ」

「大げさなんかじゃないですからねー。本当に上林先輩の声はとっても良いのですよ? 永沢先輩も良い声だと言っていたでしょう? 上林先輩の声はとても良いのですよ?」

「いや、ゆうきのはただの友人贔屓だろう」

「もー、またそんなこと言って。私はそういう贔屓とかで言ってるわけじゃないんですよ? 本当に初めて聞いた時になんて良い声なんだろうって思ったんですから。というか、永沢先輩も良い人っぽいですよね。流石上林先輩のお友達です」

「ゆうきとも初対面だろう、いいのか、そんな簡単に良い人とか言って」

「だって私は上林先輩のこと、信頼しているんですもの。そして上林先輩が私に紹介してくれるっていうことは永沢先輩も良い人って自動的に私の中で認識されるんですよ?」





 にこにこと笑ってそんなことを言う天道。本当に天道は俺の事信頼しすぎだと思う。そういう所が危なっかしくて心配が芽生えてならない。





「そうか。俺もゆうきなら広めることないだろうって思っているから天道と会わせたんだけどな。ゆうきは俺と天道が隣人であることを知っていても他には言わなかったし」

「あー、それありますね。私って人気者だから、私とかかわりなくても私と隣室ってだけでも騒ぐ人騒ぎますからねー」

「だよなぁ、こうして部屋にまで天道が入り込んでいること知られたら大変そうだからなぁ……」

「ふふふ、ばれても仲よくしてくださいね?」

「……まぁ、知られたからと言って別に距離を置くとかは自分からはしないが。とはいえ、あえて俺と仲よくしているとか言いふらすなよ?」





 特に今の状況でばれたとしてややこしいけど、特にやってくる天道を突き放したりはしない。とはいえ、今後誰かにばれた時にはもう天道とかかわりがなくなっている可能性の方が高いと思うが。





「はいはい、分かってますよー。あと気になったんですけど、上林先輩って永沢先輩と以外とはそんなに仲よくしてない感じですか?」

「……俺の交友関係は狭くて深いんだよ」







 俺の交友関係は広い方ではない。ゆうき以外とはそれなりにクラスメイトとしては仲よくしているが、それだけだし。

 ……よく考えたら家に入れるまで仲よくしている学園の連中ってゆうきと目の前にいる天道ぐらいか? その家に来る片割れが聖母とか言われる人気者っていうのは本当にどうしてこうなったんだろうかって改めて思う。






「ふふふ、なんですか、その言い方は。別に悪いって言ってないですよ。私も狭くて深いんですもん。いや、なんていうか、こうその仲良い友人とも会わせてもらえたし、私も上林先輩にとっての狭くて深い所に入れてるのかなーって思っただけですよー」




 悪戯にそんな風に笑って、俺の顔を覗き込む。






「……それは、どうだろ?」

「もー、そこで嘘でもそこにいるっていってくださいよー。そしたら言われた方はころって言っちゃうかもしれませんよ?」

「いや、天道は簡単に俺の家に上がるし、危機感はないけど、そんな風に簡単には人に惚れたりしないだろう。なんか危機感はないけど、そこまでチョロくない感が」

「あはは、よく分かってますねー。そのよい声で私の事もそういう所に入れてるっていってもらえたら嬉しいっちゃ嬉しいですけどー。でもこう、私と上林先輩って出会って短いですからねー。それで簡単にそういうこと言われてもコロッとはいかないですね!!」






 天道はなんというか、俺の家に簡単にあがるし、俺の事を信頼しているとかいうけれど、チョロくはないんだよなぁと思う。

 こうして家に上がり込んで一緒に遊んだりしていると、中には「俺の事好きなんじゃね」って勘違いする人間もいそうだが、天道は本当遊んで欲望のままに俺に台詞言ってほしいとか言っているけど、そういうのではないんだよなってなんとなく思う。






「それにしても上林先輩はやっぱり良い人ですね。私の事、分かっていてくれて嬉しい限りです! さて、上林先輩、次は何します? 乙女ゲームとギャルゲーの続きどっちがいいですか? それとも他の事がやりたいですか?」

「えーっと、じゃあ乙女ゲームの続きやるか」

「じゃあやりましょう!!」






 それから乙女ゲームをしたり、漫画を読んだりしながら夜まで共に過ごすのだった。

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