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すっかり夕方になった。

「……また、うまくいかなかった。中々、ギャルゲーも難しいな」

「ふふふ、ギャルゲーも奥が深いのですよ。色んな女の子が相手ですからね。どういう選択肢をすれば正解かは、初めてすぐには中々分からないものなのです。ギャルゲーは……というか、乙女ゲームもそうですけど、色んな性格のキャラクターを相手にするわけで、実際に人間を相手にするのとは少し違うかもしれませんが、実際の生活にも生かせるのです!!」





 どうやら天道はギャルゲーや乙女ゲームを参考に人付き合いをしていたりするらしい。





「……天道はゲームを参考に人付き合いしてたりするのか?」

「全部ではないですけどね!! 学園では誰にでも優しいみたいな印象持たれちゃったから、ゲームとか漫画に出てきたそういうキャラクターを参考にしてますよ。あとは単純に今まで経験とかで。私、見た目が黙ってれば優しそうらしいのでただ話を聞いているだけでもそういうイメージ持たれるみたいですしね」






 にこにこと笑いながら、天道はそんなことを言う。




 まぁ、確かに黙っていれば天道が実際にこんなに勢いよく話したり、隣人に声が好き! と特攻してきたりするようなキャラには見えないのは分かる。実際に学園でたまに見かける天道は周りが言うような誰にでも優しく接する大和撫子系の大人しい少女にしか見えないし。





 というか、初めてギャルゲーをやったからか自分で思っていたよりも熱中してやってしまった。基本的にゲームが好きで、やり始めたらとことんやってしまう性質なので、気づけばもうこんな時間になっていることに驚いた。





「……もう六時か」

「そうですね。すっかり夕方です。上林先輩がこんなにギャルゲーに熱中するとは思いませんでした」

「やりはじめたゲームはとことんやりたいんだよ……」

「ふふふ、そんな顔しないでくださいよ。上林先輩がギャルゲーにはまったのは嬉しい誤算ですよ。これから上林先輩にお勧めのギャルゲーをどんどんやらせても問題ないってことが分かっただけで嬉しいですしねー」

「天道、これ借りていいか? 続きを夕飯食べ終わった後にやろうかなと」

「いいですけど、やるなら私も横で見たいです!! あ、上林先輩さえ良ければ夕飯をここで食べて、そのあとも此処に居座っていいですか?」

「……天道、お前、異性の家にそんなに居座ろうとするのは無防備すぎないか?」

「だって、此処にいる異性って上林先輩だけじゃないですか。上林先輩は私に無理やり襲い掛かったりとかしないでしょ? なら何も問題ありませんよ。あ、それとも私が夜まで居座るのって迷惑ですか?」






 純粋に無防備すぎるのではないかと改めて指摘すればそんなことを言われた。嬉しいことだが、天道は俺の事を信用しすぎだと思う。観察していたから大丈夫だとか言ってたけどさ。





「いや、迷惑ではない。天道とゲームするのは楽しいし」

「ふふふ、私も楽しいですよー! まだ夏休みですから夜更かしできますからね!」

「宿題とかはやらなくて大丈夫なのか?」

「私、宿題は先に終わらせる派です。上林先輩は?」

「俺も先に終わらせる派だ」

「一緒ですね! あ、そうだ。夕飯なんですけど、今日、貢物持ってきてないんで、私が作りますね! 簡単なものしか作れないですけど」

「いいのか?」

「はい。大丈夫ですよ。寧ろ、これだけ居座らせてもらって、声まで堪能させていただいてますからね。ご飯ぐらい作りますよー。ちょっと冷蔵庫拝見しますね!」





 にこにこと笑って天道はそういうと、冷蔵庫を見に向かうのだった。


 ……天道が居座るのは迷惑ではないし、ゲームをするのは楽しいが、学園の人気者が昼からずっと俺の家にいる事は改めて考えると不思議なことである。

 ちらりと冷蔵庫を覗く天道を見ながらそんな風に俺は思うのだった。






 天道が夕飯の準備をしている間も時折、台所の方にいる天道と会話を交わしながら、俺はギャルゲーを進めるのであった。


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