7.6話 自覚、そしてダンジョン作成③
さあて、困った。こんなの聞いてないぞ。
てっきり、メイド服とかも着た状態で生まれるもんだと思ってたよ。
まあ、何はともあれ、この状況は非常にまずい。とりあえず何とかしなくては、幼女を裸で放置する変態と言われてしまうかもしれない。
「あ、うー、おーい、聞こえるか~?」
とりあえず話しかけてみる。変化はない。
あれ~?おかしいなぁ。
と思ってたら、メイドさんが急に口を開いた。
「あー!」
あー?あー、ってなんだ?
「うーうーあー!」
あれ?もしかして…………
「あうー!」
喋れない?
「いー!」
うん。どうやらそうっぽいな。
えー、知性、3まで上げたじゃん。なんで喋れないの?メイドだよね?メイドさんなんだよね?これじゃあただの幼女だぞ?
「あうー!」
と、とりあえず、この状況はまずいんだった。えっと、何か着る物は…………無いな。ひとまず、俺の着てる上着で良いか。
上着を脱いでメイドさんに羽織らせると、メイドさんは「あー!」と笑顔でこちらに返事をくれた。まあ、何を言ってるのかはさっぱりだけどな。
ひとまず、ステータスの確認でもしてみるか…………
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『名前無し』
【Lv】1
【種族】メイド
【系統】デミヒューマン
【ランク】B+++
<基礎能力>
【生命力】40
【スタミナ】20
【魔力】25
【攻撃力】9
【防御力】15
【視力】2
【速度】10
【本能】3
【知性】3
【SC】4
<スキル>
<称号>
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あ、名前無しなんだ。
あれ?名前ってどうやって付ければいいんだろ?
えっと、マニュアルマニュアル…………あ、えーとナニナニ?ステータスの所を弄ればいいの?あ、この名前無しってところか。オッケーオッケー。じゃあ、さっそく名前を付けってっと…………
「あうー?」
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『三檎』
【Lv】1
【種族】メイド
【系統】デミヒューマン
【ランク】B+++
<基礎能力>
【生命力】40
【スタミナ】20
【魔力】25
【攻撃力】9
【防御力】15
【視力】2
【速度】10
【本能】3
【知性】3
【SC】4
<スキル>
<称号>
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「よし、オマエは今日から三檎だ!」
「あうあー!」
「さ、ん、ご」
「あーお?」
「さ、ん、ご」
「あーんお?」
あ、何か、教えたら覚えそうだな。
「三檎」
「あんお」
あー、うん、まだ舌が回らないのか。
じゃあしょうがないな。
じゃあ、俺のことでも教えておくか。
「俺は、えーと…………アイリス?」
「あいーう?」
あ、覚えてくれそうだな…………うーん、でも、この名前で教えちゃって良いのかな?でも、俺の今の容姿で元の名前を呼ばれても、傍から見たら違和感だしな…………後々呼び方を変えるのも大変だし、もうアイリスで良いか。
「あいいう!」
「おう!俺はアイリスだぞ!」
「おー!」
パチパチと手を叩いてやると、三檎も真似をして手を叩いた。こうして見ると、本当にただの幼女なんだが、この先大丈夫かな…………。
まあ、元からネタ枠だった訳だし、そこまで過度な期待はしてなかったけどな。
あ、そうだ、ついでだし、俺のステータスももう一度確認してみるか。
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『アイリス』
【Lv】1
【種族】妖狐
【系統】幻獣
【ランク】S+
<基礎能力>
【生命力】40(+20)
【スタミナ】20
【魔力】70(+50)
【攻撃力】10(+5)
【防御力】10(+5)
【視力】1
【速度】10
【本能】5
【知性】5
【SC】10
<スキル>
<称号>
『幻獣』『妖狐』『ダンジョンマスター』『リアクターの使い手』
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えーと、色々増えてるんですが…………チュートリアルが終わったからかな?
まあでも、色々気になるところはあるんだけど、とりあえず、思ったことを言わせてもらいたい。
「俺、人間じゃないのかよ!っていうか、デミヒューマンですらないのかよ!」
「うー」
まさか、創造したモンスターよりも自分がモンスターに近いとは思わなかったぜ…………というか妖狐って、人間化すると金髪のイメージがあるんだけど、俺赤毛なんだよなぁ。
「あいいう?」
「ん、大丈夫だ。もう立ち直った」
今更だ。どうせポジション的には人類の敵なんだし、この際人類なんてやめてやるよ!
じゃあ、増えた要素、主に称号の確認でもするか。称号の部分をタップして、詳細を見てみる。
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『幻獣』
【概要】幻獣に贈られる称号
【効果】無し
『妖狐』
【概要】狐と人の姿を使い分けられる妖狐に贈られる称号
【効果】生命力(+20)魔力(+50)攻撃力(+5)防御力(+5)
『ダンジョンマスター』
【概要】ダンジョンマスターとなった者に贈られる称号
【効果】無し
『リアクターの使い手』
【概要】リアクターの保持者に贈られる称号
【効果】無し
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なるほど、急激なステータスアップは『妖狐』の称号のせいか。けど、俺、狐になんてなれないぞ?詐欺罪で訴えられないだろうな…………
まあ、いいや。やることはやった。REは無い。つまり、暇だ。
「あーう!」
「どうした?遊ぶのか?」
「あいー!」
うん。しばらく―――12時を過ぎてREが1000回復するまで、三檎と遊ぶことにしようかな。靴下を丸めたボールで遊ぶくらいしかできないけど。
「うー!」
「よし、キャッチボールするか!」
「あーいおー!」
つかの間の平和ってことなんだろうけど、こういうのも、中々悪くないな。