2.1話 チュートリアル①
忙しいので、一応不定期ということにさせてもらいますが、一応更新するのは土曜の9時と日曜の9時、あとは気分にしたいと思います。
ストックの問題で次の更新が危ぶまれる場合は、一応その前の時に一筆入れておきます。
更新されてなかったら、ああ、忙しいんだろうなあって思っててください。
『プレイヤーの接触を確認。リアクターの情報更新開始。更新終了までプレイヤーへのチュートリアルを行ないます』
「は?」
思わず、変な声がでた。
チュートリアル?プレイヤー?もしかして、脱出ゲームか何か……なのか?
盛大なドッキリとか……あり得なくはない、よな?
『プレイヤーは、テレポーターに入って訓練場まで進んでください』
テレポーター?
なんだそれは。
この部屋には何も……と、壁が開いたな……
キョロキョロと周りを見回すと、ちょうど後ろを向いた瞬間、壁が音もなくスライドして人一人が入れるくらいの空間が現れた。
やっぱり、隠し扉があったのか。
もしかしたらちゃんと壁を叩いて確かめたらわかったのかも……いや、そんなこと考えても仕方ないな。
とまれ、脱出ゲームの可能性が濃厚になった以上、指示に従うのが吉かな。そうだよな?
もしかしたら賞金とか貰えるかもしれないし。うん。そうだ。こんな思いをさせて何の報酬も無い訳がない。
覚悟を決め、俺はそのテレポーターと呼ばれた空間に入った。
次の瞬間。後ろで扉が閉まった。
んな!?ちょ、これマズイんじゃ!?
と思ったのもつかの間、今度は前方の壁がスライドして開いた。
これは……潜水艦とかで使われるエアロックってやつか?
ってことは、あのままあそこにいたら本当に酸素が無くなって……いや、やめよう。
出た先は、木に囲まれた広場。どうやら、どこかの森の中のようだ。
『チュートリアル1、オブジェクトセレクターとステータスタブレットについて、を開始します』
俺が広場に足を踏み入れると、再びあの無機質な声が流れた。
チュートリアル1ってことは、いくつかあるってことなのか。
『広場の真ん中の切り株に近づき、そこにあるオブジェクトセレクターとステータスタブレットを拾ってください』
指示に従わずに森の外に行ってしまおうか……と思ったが、やめた。
もしこれが脱出ゲームの類なら、指示にないことをすれば警告をされるだろうし、警告に逆らって森に入っても、迷う未来しか見えない。
たぶん、やるだけ無駄だろう。
指示に従って広場の中央に近づくと、確かにそこには切り株があり、その上に二つの端末のようなものが置いてある。指示から察するに、平らな板状で液晶のような画面がついている方がステータスタブレット、消去法でもう一つのレーザーポインターのようなものがオブジェクトセレクターなのだろう。
『それはチュートリアル専用の仮のステータスタブレットとオブジェクトセレクターです。ステータスタブレットに手をかざし、プレイヤーデータを登録してください』
かざす……ってどういうことだ?
とりあえずステータスタブレットの画面の部分に手のひらをあてて、しばらく待ってみる。
しばらくすると、ステータスタブレットの画面が光り、登録完了の文字が出た。
『登録完了ですね。画面を見て、ステータスを確認してください』
画面を見ると、画面上部にStatus、Inventory、Map、Party、Dictionary、Energyと文字が出ていて、今はStatusが選択されているようだ。その下には、俺のステータスであろう数字が並んでいる。
””””””””””
『アイリス』
【Lv】1
<基礎能力>
【生命力】20
【スタミナ】20
【魔力】20
【攻撃力】5
【防御力】5
【視力】1
【速度】10
【本能】5
【知性】5
【SC】10
<スキル>
<称号>
””””””””””
……なんだこれ?
あーるぴーじー?
俺に何をさせようとしてるわけ?
うーん、よくわからないな。
っていうか名前、アイリス?俺がよくネカマするときに使う名前じゃん。
そこは本名にしといてくれよ……。撮影されてて放送されたりしたらマジで凹む。
『確認できましたね。次に、オブジェクトセレクターを持ってください』
はいはい、っと。右手にオブジェクトセレクターを持つ。
『まず、先端部分を回してポインターを出してください。その下にはいくつかボタンがありますが、先端部分から順に、破壊ボタン、設置ボタン、武器ボタン、鑑定ボタンです。地面に向けて鑑定ボタンを押してみてください』
はいはいやればいいんでしょ。
まず、言われた通りにオブジェクトセレクターの先端を右に回すと、赤い光線がでた。どうやら回すことで光線の太さと色を調節できるようで、右に回すと赤い光線が太くなり、回し続けると光線が緑色になる。そのまま更に回すと緑色の光線が細くなり、消えた。この光がポインターなのだろう。
次に、ポインターを地面に合わせ、言われた通り上から4番目の鑑定ボタンを押す。
すると、左手に持っていたタブレットに『鑑定結果が図鑑に追加されました』と表示が出た。
見ると、画面上部のDictionaryのところにNewと表示が出ていて、そこをタップすると、鑑定結果の一覧が表示された。
””””””””””
土ブロック(New)
””””””””””
ブロック……?まあいいか。
『見たことのないものはどんどん鑑定していきましょう。なお、鑑定できるのはブロックのみです』
あ、そう。よくわからん。
『続いて、ブロックにポインターを合わせ、破壊ボタンを押してください』
言われた通り、先ほどの地面にポインターを合わせて1番上の破壊ボタンを押す。
「うわぁ!?」
突然、目の前に大きな穴が開いた!
おいおい、どんな謎技術だよ……
穴は、たぶん1メートル四方の正方形。深さもそれくらいだ。
足元に向けてなくて本当に良かった。
『続いて、ステータスタブレットのInventryから今入手した土ブロックを選択し、適当な場所に設置してください』
えっと、インベントリ……これか。土ブロックが1個。選択して、オブジェクトセレクターを握りなおす。
適当な所にポインターを合わせて……設置!
「うぉわ!?マジか!」
俺は目の前の木の幹にポインターを合わせて設置ボタンを押した。さすがに空中に設置したりはできないだろうと思ったからだ。けど、予想に反して1立方メートルの土の塊は木の幹にくっつくように空中に現れた。
驚くべきことに、落っこちるようなこともくっついている木がしなるようなこともない。
「マジで、どんな謎技術だよ……」
おもわず声に出たけど……喉の調子が悪いな。声が変だ。
『最後です。まず、切り株から離れてください』
え?なんで?
……
危なっ!?
突然空から何かが降ってきて、広場の真ん中、ちょうど俺のすぐ隣にある切り株に突き刺さった。
……剣?
と、箱?
『その箱は武器登録BOXです。その剣を入れてください』
どういうことだ?この剣を抜けってこと?見るからに重そうだし、流石にきつそうだ。
まあでも、やれって言うならばやるしかないんだろう。
「ふんぬ!!」
お、ちょっとだけ動いたな。
ていうかこいつ、なんか本物っぽいし気をつけないと反動で怪我しそうだな。
「おりゃあ!」
しばらく頑張ると、切り株に突き刺さった剣はスポンと効果音が聞こえそうな勢いで切り株から抜けた。
試しに振ってみると、結構重い。
形状的に片手剣だとは思うが、俺の力だと両手で持つのが精いっぱい、振る時も、どちらかというと振り回されるという表現のほうがしっくりくるくらい無様な有様だ。
とまれ、好奇心から剣を振り回してはみたが、真の目的はこれを一緒に落ちてきたBOXの中に入れることだ。
BOXの蓋を開け、剣を入れ、蓋を閉める。簡単簡単。で?
『Inventryから武器を選択してください』
……お、さっき入れた剣の写真が一覧に映ってる。ほんと、どういう技術なんだろ?
武器を選択し、またアナウンスを待つ。
『武器ボタンを押してください』
うん。押したよー。
…………は?
俺の右手には、先ほどBOXに入れたはずの剣が握られていた……
え?
どういうことだ?
いやだって、これは流石におかしい。
ブロックが消えたり現れたりするのは、離れた場所のことだし、頑張れば何とか俺にばれずに細工をすることだってできるかもしれない。BOXに入れた剣の写真だって、最初から剣の写真を撮っておけば、俺のタブレットに表示させることだって簡単だろう。
けれど、これは俺の手の中で起こったことだ。
信じられないことに、手に持っていたオブジェクトセレクターが目の前で、剣に変化した。
こんなこと、現代の科学力でどうにかできるのか?
『武器ボタンを押せばいつでも元に戻すことができます』
俺の疑問には答えずに、アナウンスによる説明は続く。
手で探ってみると、剣に見えているだけで俺が握っている部分はオブジェクトセレクターの形をしているようだ。
手探りで武器ボタンを見つけ、押すと、手の中の剣がオブジェクトセレクターに戻った。
映像を見せているだけ……ってことなのか?
それならまだ説明がつく……のかな?
『これで、チュートリアル1、オブジェクトセレクターとステータスタブレットについて、を終了します』
俺に大きな疑問を残したまま、あっさりとチュートリアル1の終了が告げられる。
大丈夫だよな?俺がいるのは現実……だよな?
そんな俺の期待は、次のアナウンスであっさりと打ち砕かれることになる。
『続いて、チュートリアル2、戦闘について、を開始します』
ステータスの表記を一部改変しました。(2017.10.15)