12.11話 三檎の成長と新たな仲間②
「整列!」
「ア゛ァァァ」
「………」
「………?」
あ、ダメだこれ。アグラスはわかってくれたみたいだけど、残りのゾンビ(♀)とゾンビ(♂)の2体が全く理解してない。
ていうか、ゾンビ(♀)そのまま寝ちゃったよ。ゾンビ(♂)はなんか虚空を見つめてボーッとしてるし。
「あう」
「ああ。先は長そうだ」
「あう」
俺が困って三檎と話していると、アグラスが何かを始めた。
「ア゛ァァァ!」
「…………ア゛」
「…………ア゛?」
あ、無気力そうにしていたゾンビ(♀)&ゾンビ(♂)がアグラスの隣に並んだな。
「もしかして、オマエが言ってくれたのか?」
「ア゛ァァァ」
うーん、わからん。
まあでも、1体だけ頭が良い奴を創造したのは正解だったみたいだな。
よし、じゃあ次をやるか。
今まで放置していたスキル取得をしようと思う。
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=採掘系=
『ブロック破壊I』0/2
【効果】土ブロックを手で崩したり、石ブロックをツルハシで削ったりできる。
【代償】無し
【SC】1
【注意】ブロックの状態ではなく、粉砕された欠片として手に入ります。再びブロックの形に戻すことは出来ません。
【クールタイム】無し
【コスト】500(5000)RE
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忘れかけていたが、スキルはまだ割引が利いているので、1桁分少なくなっている。
これで残りは307REだ。
さて、それで、この世界のスキルの仕様だが、まずリアクターでスキルをアンロックし、それをオブジェクトセレクターで選択したモンスターにステータスタブレットでスキルを装備させるという仕様だ。
つまり、1回アンロックすればダンジョン内のモンスターはもちろん、俺自身にもいくらでもスキルを装備することが出来るのだ。
ただし、当然ながら制限はある。
スキルを装備する場合、スキルに設定されたSCの合計が装備する生物のSCを越えることは出来ない。
今回のこの『ブロック破壊I』はSCが1なので、一応全員が装備することが出来る。
なので、一応全員に装備させてみた。
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『アイリス』
【Lv】1
【種族】妖狐
【系統】幻獣
【ランク】S+
〈基礎能力〉
【生命力】40
【スタミナ】20
【魔力】70
【攻撃力】10
【防御力】10
【視力】1
【速度】10
【本能】5
【知性】5
【SC】1/10
〈スキル〉
『ブロック破壊I』(1)
〈称号〉
『幻獣』
『妖狐』生命力(+20)魔力(+50)攻撃力(+5)(防御力+5)
『ダンジョンマスター』
『リアクターの使い手』
『三檎』
【Lv】1
【種族】メイド
【系統】デミヒューマン
【ランク】B+++
〈基礎能力〉
【生命力】40
【スタミナ】20
【魔力】25
【攻撃力】9
【防御力】15
【視力】2
【速度】10
【本能】3
【知性】3
【SC】1/4
〈スキル〉
『ブロック破壊I』(1)
〈称号〉
『アグラス』
【性別】♂
【Lv】1
【種族】ゾンビ
【系統】アンデッド
【ランク】C+
〈基礎能力〉
【生命力】20
【スタミナ】20
【魔力】5
【攻撃力】5
【防御力】5
【視力】1
【速度】10
【本能】6
【知性】3
【SC】1/1
〈スキル〉
『ブロック破壊I』(1)
〈称号〉
『名前無し』
【性別】♀
【Lv】1
【種族】ゾンビ
【系統】アンデッド
【ランク】C+
〈基礎能力〉
【生命力】20
【スタミナ】20
【魔力】5
【攻撃力】5
【防御力】5
【視力】1
【速度】10
【本能】9
【知性】1
【SC】1/1
〈スキル〉
『ブロック破壊I』(1)
〈称号〉
『名前無し』
【性別】♂
【Lv】1
【種族】ゾンビ
【系統】アンデッド
【ランク】C+
〈基礎能力〉
【生命力】20
【スタミナ】20
【魔力】5
【攻撃力】5
【防御力】5
【視力】1
【速度】10
【本能】9
【知性】1
【SC】1/1
〈スキル〉
『ブロック破壊I』(1)
〈称号〉
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うん。こんなもんか。
ちなみに、こんなスキルがある理由は、この世界のブロックという物は通常は何をしても傷付くことが無いかららしい。
試したことは無いが、普通の地面のように見えている土ブロックでも、掘ろうとするとどれだけ頑張っても傷一つつくことがないらしい。例外は、リアクター関連のアイテムかスキルを使った時のみで、だからこそ外の世界から見たらダンジョンリアクターを奪うことが重要なんだろう。
もっとも、ブロックが存在するのは基本的に地下深くかダンジョンだけなので、無いと絶望的に困るって訳でもないらしいけどね。
ということで、ちょっと実験。
まず、皆で第1層へ向かう。
ゾンビ(♀)&ゾンビ(♂)が中々動かなかったが、アグラスが促して連れてきてくれた。
ということで、適当な壁にむき出しになっている土を、手で掘ってみる。すると、今までは手に土がつくようなことは無かったのに、今回は土の塊が取れた。
「おお!三檎!掘れたぞ!」
「あう…うん!」
「ア゛ァァァ」
「…………」
「…………?」
「よし、ちょっと掘ってみるから手伝ってくれ」
「うん!」
「ア゛ァァァ」
「…………」
「…………?」
皆で土を掘っていく。多分ここの土の量は13ブロックくらいかな?
……………………馬鹿みたいに時間が掛かるな。
手だからか、それとも単純に掘る量が多すぎるのか、どちらにせよ、こんなにチンタラやっていられないな…………
掘った土もステータスタブレットの中に入る訳じゃないから結構かさばるし。
「ええい!やめだ。どいてくれ。俺が掘る」
皆をどかしてオブジェクトセレクターを使って掘る。しかし、掘りかけのブロックはブロックと認識されないみたいで、掘れたのは傷をつけていない普通のブロックのみだった。
「マジか…………ちょっと考え直さないといけないな」
「あう」
これで掘るのが早くなると思ったんだが、残念だ。
まあでも、それならそれで別のことに応用すればいいだけだ。
とりあえず、今は今まで通りの採掘だな。
ということで、掘ってきた。
その間、ゾンビたちには第1層のテレポーター付近の土ブロックを適当に崩してもらっていた。
ということで、成果発表。
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『鉱石ブロック:鉄』(10RE/個)
284個(2840RE)
計2840RE
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うん。とりあえず今はこれでいいや。
で、次は、リアクタールームから北方向へまっすぐにある程度の大きさの通路を掘る。
この通路はどんどん伸ばして、通路沿いに新しい部屋を作っていく予定だ。
で、早速その通路沿いにある程度の大きさの部屋を作る。面積で言うと100平方メートルくらい。
で、そこに先ほどゾンビたちに崩してもらった土の山を運んでもらう。
大変そうだったが、不満一つ言わずに従ってくれたので、本当に助かった。
「ありがとう。じゃあ、次は俺も手伝うから、こうやって土をならしてくれ」
「あう!」
「ア゛ァァァ」
「…………ア゛」
「…………ア゛?」
「三檎もやってくれるのか?別に休んでても良いんだぞ?」
「うーあー!!」
「そうか。じゃあ頼む」
別に三檎に頼んだつもりはなかったのだが、三檎があまりにもやる気たっぷりなので、やらせて困ることも無いので一緒に作業を頼んだ。
まず、あらかじめ1ブロック分掘り下げてあった部分に運んでもらった土を敷き詰め、足を使ってならしていく。ゾンビの体は腐っている部分があるのでちょっと心配だが、この部屋の用途を考えると、少しくらい腐った肉が混じっていた方が良いような気もするので、構わず続ける。ちなみに、関係ないブロックを傷つけてしまうと面倒なので、今は全員『ブロック破壊I』のスキルは外してある。
全部敷き詰め終えて、完了。
これで、部屋の準備は整った。
さて、次にすることは、アイテム生成だ。
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『ブロック粉砕機』
【コスト】50000
『ブロック切断機』
【コスト】50000
『ブロック生成機』
【コスト】50000
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「あ、無理だこれ」
「あう」
予想以上に高コストだった。
まあ、これはあれば便利くらいだったからまあいいか。
じゃあ、こっちだな。
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『ジャガイモの種』×20
【コスト】10×20
『ニンジンの種』×20
【コスト】10×20
『大根の種』×20
【コスト】10×20
『大豆』×20
【コスト】10×20
計800
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さて、もうわかっただろうか?
そう。俺が作ったのは、畑だ。
【収支】+1256RE
【所持】2063RE
アグラスの本能の値の計算が合っていないので、5→6へ修正しました。
(2017/11/23)