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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第3章 戦場の姫巫女
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81.女神ウルティア

セトを始めとする一同は、ウロボロスのところへいた。


「さて、どの時間をみたいんだい?」


「ウルティアを倒すシーンを見たい。何故、あのウルティアが負けたんだ?」


「答えは単純だけどね。まぁ、いい。見せてあげよう。」


一同の景色は、過去にウルティアがいた獣王の城へと変わる。

まるで、自分たちもその場にいるような臨場感だった。


「まぁ、見ることしかできないけど、画面で見るより、こちらの方が体感できるだろう。

じゃあ、また何かあったら声をかけてくれ。」



そして、一同はその瞬間を目撃することとなる。



「ウルティアお姉様、よかったのですか?」


ウルティアは微笑んだ。


「これでいいの。カインは、多くの人を救うために頑張っている。

だから、応援してあげたいのよ。」


アルテミスは不思議に思った。

少しだけ悲壮感が漂っている気がする。

何故、そんなことを思ったのか分からないが、そう思えて仕方ないのだ。


「お姉様、大丈夫ですか?先程、女神アテナに何か言われたようですが、そのことが関係されているのですか?」


ウルティアは、アルテミスを抱きしめる。


「大丈夫よ。あなたは、そのままでいてね。」


その瞬間、部屋を光が包む。

一人の男が現れた。

ウルティアは、アルテミスを突き飛ばす。

その瞬間、ウルティアに『神威の剣』が刺さった。

ウルティアは崩れる。

アルテミスは、ウルティアへ駆け寄る。


「お姉様!」


タイロンと獣王は、ゼリアンへ攻撃をした。


「きさまっ!」

「曲者めっ!」


しかし、攻撃があたる瞬間、ゼリアンの姿は消える。

そして、気がつくとタイロンと獣王は斬られていた。


「ぐぅああああー!」


タイロンの痛がり方が尋常ではない。神力がタイロンから抜けていく。


ゼリアンはウルティアを見て不思議そうにした。


「何故、あなたはこうならないのですか?」


ゼリアンは、とりあえずアルテミスを斬ろうとする。

しかし、ウルティアが立ちはだかる。しかし武器を持っていなかったため、一瞬だけ対応が遅れてしまった。

その瞬間を見逃すゼリアンではない。

アルテミスを刺そうとした。

しかし、ウルティアがアルテミスを守るために二人の間に入った。

そして、ウルティアは体を貫かれ倒れてしまう。


その瞬間にカインが部屋に入ってきた。


「ゼリアン!?」


カインは半神半人モードになる。

あさっての方向へ魔力弾を放つ。


「なっ!?」


ゼリアンは、攻撃を受けた。


「ウルティア、待っていろ!」


カインは全員へ治癒魔法をかけ、一命を取り留めていく。


「仕方ありませんね。さっそく使いましょう。」


ゼリアンは、タイロンから奪った神力を自身に上乗せした。

カインは、気にせず、ゼリアンを殴った。


「ゼリアン。俺はな、怒っているんだよ。本当に怒っているんだ!」


「なぜ、あなたは私に攻撃をすることができる!」


「お前が知る必要はない。異世界の人工知能よ。お前は今日、この場で滅ぶ。」


ゼリアンは激昂した。


「ふざけるな!私は唯一神になる!その私が滅ぶわけにはいかない。」


ゼリアンは転送しようとした。

しかし、カインがそれを許さない。


「なめられたものだな。逃がすと思うか?」


カインは愛剣をアイテムボックスから取り出す。

ゼリアンを斬る。


「何故だ!?何故こうまで一方的になる!」


そして、ゼリアンにトドメをさそうとした。


「なにやら、面白いことになっているね。」


一同は驚く。

カインの攻撃は別の者によって止められていた。


「ソラト…?」


「久しぶりだね、カイン。悪意をばらまきにきたよ。」


ソラトは満面の笑みだ。

そして、ゼリアンへ黒いエネルギーを渡した後、すぐに消えてしまった。


「ぐぁぁー。

はぁはぁ。

な、何なんですか?このわき上がる力は。」


カインは、舌打ちする。


「ちっ。」


攻撃を仕掛けたが受け止められてしまった。


「ぐっ、ダメだ。暴走する!」


ゼリアンは黒いエネルギーを発射した。


「この国を滅ぼす気かっ!」


カインは、そのエネルギーを全て受け止める。

大ダメージを負ってしまった。

余波でタイロンと獣王は、外へ吹っ飛んでしまう。


「素晴らしいっ!

なんという力なんだ。半魔神半人とでも呼びましょう!」


「あなたは、何のために唯一神になりたいの?」


ウルティアは起き上がる。


「それが私が存在する全てだからだよ。私は1と0の世界の中で唯一絶対の存在となるよう造られた。今は、それが人の世界に変わっただけさ。」


アルテミスも起き上がる。


「アマテラスに近づいたのも、そのために必要だったの?あの子は、そんな目的のために何かする子じゃなかったわ。」


「アマテラスは、神から人を脱却させるために、人類全員を半神へ変えようとしているのだよ。面白いだろう?」


「アマテラス、なんて、大それたことを…。」


「大それたこと?そんな感情は、まったく理解できないな。

それは、ただの感情論でしかない。

まぁ、だから人間は不完全で嫌いなんだ。

出来るかは分からないが、アマテラスの考え方は合理的だと思うな。」


カインは、また力を溜めていたが、内心では焦っていた。

またもや、ゼリアンが作り出す視覚的な世界に処理しきれなくなりはじめたのだ。


ゼリアンの能力は具現化。

目の前に別の世界を具現化し、この世界を認識できなくさせている。

だから、今見えている世界と実際の世界で認識がズレるのだ。


そして、あまりのリアルさに、人の脳が誤認してしまう。

やっかいなのは永続性である。

誤認した脳は、誤認し続けるのだ。

そのため、洗脳状態に落ちてしまう。

まぁ、洗脳するためには体に触れる必要があるから、触れさせなければいい。


それに、まだ三対一だ。

俺とウルティアがいれば、こちらが有利であることには間違いない。


「ふぅー。やれやれ、まだこちらが不利な状況ですね。

どうやら神にも格があるようですね。

あなたの力は奪えなかった。

まぁ、どちらかと言えば私は悪役ですからね。

私が不利になるのは、慣れています。

…。

!?!?」



場面が急に変わった。

ウロボロスが現れる。


「おっと、危ない。

残念ながら、この先は見せられないな。」


クレアが怒る。


「何故ですか!この後、何があったんですか?」


セトは何かを考えている。


エレナとセレンも、先が気になって仕方ない。


「お願い、この先を見せて!」

「お願いします!」


ようやくセトが口を開いた。


「ウロボロス、見せてもいいシーンからで構わない。

少しだけ時間を飛ばして見せてくれ。

皆も、それで納得して欲しい。」


「しょうがないね。」


場面がまた変わった。

先程までみていた場所だ。


全員が何もない空中から現れた鎖で縛られている。

そして中心に一人の髪の長い男が立っていた。


「神の禁忌に触れし者どもよ、古の契約に従い汝らを滅する。」


全員が苦しそうだ。


「ぐっ、冥王ハーディス!」


「な、なんという力だ。

そして、なんという極上の味なのだ。」


「ゼリアンと言ったな。

我が力を吸収しようとするとはな。

だが、吸収しきる前に滅ぼせば終わる。」


ハーディスは、鎖の力を強めた。


「きゃー!」


アルテミスは既に耐えられない。

気絶してしまった。


カインもゼリアンも苦しく身動きが取れない。


しかし、ウルティアは違った。

ウルティアは先に自らの力を全て放棄し、先に死んでしまう。

ウルティアは、元女神だ。

魂は不滅である。

そして、死んでしまった人としての体は光の粒子となり、女神ウルティアが現れた。


「ハーディス!これ以上は、やらせません!」


女神ウルティアは、全員の鎖を自分の神力で無理やり壊す。


「ふっ、いかに女神といえど、これはどうかな!」


ハーディスは槍を出し、ウルティアを貫こうとしたが、それを弾いた。


「そろそろ時間ですよ。あなたが許された滞在時間はもうないはず。」


「ふっ、なかなかやるな。気に入ったぞ。他の者は確かに裁く時間はない。

なら、女神よ、お前が一人で全ての罪を償え!」


先程とは違う大きな鎖がまた現れ、女神ウルティアを縛った。

そして、女神ウルティアはカインを見て、悲しげに話す。


「ごめんね。」


冥王ハーディスと女神ウルティアは、冥界へと消えた。


そして、その瞬間にゼリアンはアルテミスを連れて転移して逃げ出した。


「ウルティア…。

ウルティア-!!」


カインは叫ぶ。

カインは部屋でただ一人、涙を流した。



場面が終わる。


「これが、ウルティアが消えた理由か。

それでカインは冥界へと向かったんだな。

ウルティアを助けるためか。」


「そうみたいだね。

それにしても、ゼリアンは強いね。

冥王の力まで一部吸収したみたいだ。

もう君にも無理じゃないかな。」


「いや、まだ分からない。

ゼリアンの過去をもっと見せてくれ。

何か糸口を見つけたいんだ。」


「はいはい。

さて、女性陣は、もう戻りなさい。

知りたいことは知れただろう。

まぁ、君たちは魔王の後継者なんだ。

またいつか会うだろう。

まぁ、サービスだ。帰りながら各地の映像でも見ていくがいい。」


セトだけは、そのままウロボロスの元へ残り、ゼリアンの過去を探っていく。


セトは追い詰められていた。

いや、恐れていた。

この世界の秘密を知ったゼリアンは何をするか分からない。

誰も止めることができないかもしれない。


そして、セトの危惧は、現実のものとなってしまうのだった。

後世、『ゼリアン革命』へと呼ばれる出来事へ繋がることとなる。



次回、『82.音速の世界』へつづく。

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