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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第2章 破滅円舞曲
53/120

53.狭間の中で

【ウィズ】


ここが精霊の里?

大きな森の中に、

圧倒的な存在感を放つ大きな樹木がある。


その下に精霊達は住んでいた。


「ようこそ、ウィズ様。」

「こちらへどうぞ、ウィズ様」


精霊達がウィズを案内してくれる。

そして、圧倒的な精霊力を持つ者と会った。


「初めまして。

私は精霊王アリエル。

事情は把握しています。

時間がありません。

こちらへ来なさい。」


精霊王アリエルは、ウィズの手をとった。


「見えるかしら?

今、何故か霊界と現世の垣根が不安定になっています。

今ならカイン様をお救いできるかもしれません。」


ウィズの表情は明るくなる。


「どうすればいいのですか?」


精霊王アリエルは、話す。


「私と貴方の精霊力を併せて使い、

一時的に霊界から現世へ戻るための橋を作ります。

カイン様の魂は、霊界にいるのでしょう。

あとは、現世へ戻るためのきっかけがあれば、

戻れるはずです。」


ウィズは考える。

「きっかけは、どうすれば良いのですか?

そして、同じようにグランさんも助けられるのでしょうか?」


「きっかけは、人それぞれなので、

何とも言えません。

グラン様も、きっかけがあれば戻れるかもしれません。

現世にいる私達は、戻るための道しか作れませんよ。」


悩む必要はない。

カインが復活するためには、

この作業は必要なのだ。

だが、気になる。


「他の霊も蘇りませんか?」


「まだ生きていた頃の体があれば、

戻れるかもしれませんね。

その体のないものは、

すぐに霊界へ戻らされます。」


もしかしたら、復活させてはマズい人がいるかもしれない。

でも、カインが優先だ。


「精霊王アリエルさま、

一緒にお願いします。」


精霊王アリエルとウィズは、

現世と霊界への橋を作り始めた。


ウィズは気づいていない。

精霊である自分が強欲の種を保持していることを。

そして、目の前の精霊王こそ、

強欲の魔王であることを。


生きていた頃の体がない魂は、霊界へ戻る。

では、生きていた頃に体がなかった魂はどうであろうか。


サタナキアは弁論大会の時に魔王を説明するさいに言った。

「実態である体を持ちません。」


精霊王アリエルは、

この出来事により、

他の魔王を甦らせることに成功することとなる。


そして、ウィズは強欲の魔王の後継者となった。



【カイン】


「……ン」

「…イン」

「カイン」


誰かが話しかけてくる。


「ダメだ。

何も考えられない…。

俺はもう疲れてしまったよ…」


「カイン、いつまで寝てるつもりだい?

君はまだ何もしていないじゃないか。

夢は寝て見るものじゃない。

夢は起きて見るものだろう?

さぁ、手を取りたまえ。」


夢か幻かは分からない。

だが、手を伸ばさずにはいられない。


「そう。

それでいい。

誰もが小さい時、空を見上げて手を伸ばしただろう?

あれと同じさ。

君は、ただ純粋に求めるものに手を伸ばせばいい。

今の君は力が足りない。

だから、今だけは僕が力を貸そう。」


カインは、光の中に包まれた。



次回、『54.天翔院アテナ』へつづく。

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