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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第2章 破滅円舞曲
51/120

51.神界での戦い

【神界】


「クロノス!

これは、どういうことだ!」


ユニコーンはクロノスに向かって、

怒鳴った。


「さすが、ユニコーンだね。

他の神達は、眠りについているというのに、

対したものだ。」


クロノスは、ひょうきんに答える。


「そんなことを言っているのではない!

早く他の神たちを元に戻せ!」


神界には、他の界とをつなぐ扉がある。

そこから声が聞こえる。


天使達の軍勢と

悪魔達の軍勢が争っている。


「もちろん、断るよ。

僕の願いは、まだ成就されていない。」


ユニコーンは、

神力をため始めた。


「もう一度いう。

元に戻せっ!」


クロノスの雰囲気が変わる。


「なぁ、ユニコーン。

君は何度、この終わりなき運命を見てきた?

私は、もう忘れてしまうほど見てきたよ。」


「終わりなき運命?

何を言っている。」


「理解できないか…。

もう当時の生き残っている神も少ないし、

君も知らないのも、ムリはないかもしれない。」


その時、神界の外で大きな力の衝突を感じた。

ユニコーンは、驚く。


「まさか!?

天使長と悪魔長が衝突したのか?

ぐっ、時間がない!

クロノス、覚悟!」


「ユニコーン、君は神が同列だという与太話を信じていたね。

実際は、違うよ。

君の攻撃は、僕には効かない。」


ユニコーンは気にせず、

角に力を集中させ放つ。

角から神力を含んだ光の稲妻が放たれた。

そして、稲妻はクロノスへ直撃する。


ユニコーンは、驚く。


「何故だ!

何故、効かない!?」


クロノスは答える。


「これが格の違いだよ。

ユニコーン、

君も永き眠りにつくがよい。」


クロノスの手をかざすと、

ユニコーンの周りに時計のようなものが、

無数あらわれる。

ユニコーンは、抵抗する。

しかし、身動きが取れない。

そして、神力がどんどん削られていく。


「抵抗できないだと!?

ぐっ、仕方ない。」


ユニコーンは、全力でクロノスの攻撃を防御し、そのまま逃げ出した。


「さすが、ユニコーン。

あそこから逃げ出せるとは。

私の力も弱まっているらしいな。

もはや、時間はないか…。」


クロノスは、神界の扉を開く。

あたりには、天使達と悪魔達が溢れていた。

聖なる神たちは眠っているのだ。

悪魔達にとっては、攻撃するチャンスだったのだろう。

天使達は、神がいなくなり、慌てて守りにやってきた。


クロノス神は、その光景を見て、

笑みを浮かべる。



【ユニコーン】


まさか、ここまで力の差があるとは…。

神力の流出が止まらない。

いったん、どこかで神力を溜めて、

再起を図るしかないか。


ユニコーンは、傷つきながら神界を駆けていた。

そこにミカエルとルシフェルと遭遇する。


ミカエルは驚く。


「ユニコーン様、いかがされたのですか?」


ユニコーンは、事情を話す。

二人は、蒼白な顔をして、

話を聞いていた。


その時、大きな力の消滅を感じた。

ユニコーンは、驚く。


「まさか、天使長と悪魔長が滅んだのか?」


ルシフェルは羽根を広げた。


「ミカエルは、ユニコーン様の手当てを。

俺はクロノス神さまのところへ行く!」


ミカエルは、ユニコーンに話す。

「ここは、危険です。

いったん人間界へ戻り、神力を回復させましょう。」


この時の判断をミカエルは後悔することとなる。

この時の判断ミスは、もう永遠に取り戻すことはできなくなるほどの失敗だった。



【ルシフェル】


ルシフェルは、両軍勢へ辿り着き、

そして、驚く。

全員がボロボロなのだ。

しかし、その中央にいる存在に驚いた。


「クロノス神さま!

いったいどういうことですか!」


「やぁ、ルシフェル君。

見ての通りだよ。」


近くにサタナキアがいた。

「クロノス神が両軍を攻撃したんだよ。」


驚くルシフェル。


「あなたという神は、

何を望んでいらっしゃるのですか?」


「そんなのは、決まっている。

でも、内緒さっ。」


クロノス神は、おちゃらけて答えた。


ルシフェルは、怒りが止まらない。

全力で攻撃を仕掛けた。

「うぉー!」


クロノス神は、余裕で受け止める。

「その程度かい?」


ルシフェルは、攻撃しながら思う。

許せない!

よくも皆を!

なんとしても、クロノス神を倒したい!


ルシフェルの羽根がわずかに黒く染まり出す。


クロノス神は、その羽根を見て笑みを浮かべながら話す。

まるで挑発行為をするかのように。

「君は、弱いなぁ。

そんな弱いなら、

この後、ミカエルを殺しに行く僕を止められないね。」


その瞬間、ルシフェルの羽根が一気に黒く染まった。


堕天。


その瞬間、ルシフェルを中心に光の爆発が起こる。

天使と悪魔達は、巻き込まれ倒れていく。


「やはり、天使というものは脆い存在だね。

まさか君ほどの天使が堕天してくれるとはね。

そして、期待以上だよ、ルシフェルくん。」


クロノスは、笑みを浮かべる。

ルシフェルが堕天した瞬間、

神界・天界・魔界・霊界・現世の全てが、

力あるものの堕天による爆発のため、不安定となった。


「この時より、

人は自立の道を歩み始める。

さぁ、神話よ、終われっ!

そして、人よ、歴史を歩むがよい!

流星群!」


クロノス神は、各界を繋ぐ橋に、

攻撃を仕掛けていく。


そして、橋の崩壊が始まっていく。

しかし、魔界の橋は防がれている。


「クロノスの思い通りには、

させないよ。」


ルシフェルであったものは、

悪魔の姿をしている。

ルシフェルが橋の崩壊を止めたのだ。


「この姿…。

もう、ルシフェルとは名乗れないね。

これからは、ルシファーと名乗ろう。

あなたを止めるためだけに堕天してまで手に入れた力だ。

止めてみせる!」


クロノスは笑った。


「驚いた。

君は堕天したにも関わらず、

天使の心を持っているのかい?」


「あいにくプライドが高いものでね。」


ルシファーは、クロノスへ攻撃を始めようとした。


「なかなか、全てが思い通りにはいかないものだ。

まぁ、後は彼に任せるとしよう。

最優先すべき事項は達成できた。」


クロノスは、転移で神界への扉内へ戻り、

扉を閉じた。


ルシファーは、その姿を苦々しく見ることしかできなかった。

気持ちにひと区切りつけて、サタナキアを呼ぶ。


「悪魔長が滅んだ今、

私が長を引き継ぐ。

お前は、私の部下として働け。」


サタナキアは、

深々と頭を下げる。


「それほどの力をお持ちなのです。

異存などあるはずがありません。

ただ、残念なのはカイン様にお会いできないことですが。」


ルシファーは、頷く。

「そうだな。

だが、この身になって気づいたことがある。

また、カイン様とはお会いできることになるさ。」


「???

そのお言葉を信じて、その時を楽しみに待ちましょう。

とりあえず、今はこの戦いを収拾させるべきです。

どうしますか?

天使達を滅ぼしますか?」


「おいおい、俺は心は天使に近いんだそ。

さっさと停戦して、魔界へ行くぞ。

この件で言うことをきかない奴は、俺が滅ぼす。」


「いえ、あなた様の決められたことに従わないものなどいないでしょう。

堕天使ルシファー様、

これより私達は、あなたの傘下に入ります。」


「俺は、悪魔使いが荒いぞ。

よろしく頼む。」


ルシファーは思う。


ミカエル、すまない。

俺は別の道を行くよ。

悪魔達を統率し、俺は裏から人間たちを守ろう。



【ミカエル】


何故だろう。

何故か、突然、涙が出てくる。


ふとルシフェルが話しかけてくれた気がした。


そして悟ってしまった。

ルシフェルは堕天したのだと。


堕天した者は、二度と天使にはなれない。

これは、いにしえからの掟だ。


もう二度と、一緒に歩むことのできなくなってしまった、双子の片割れ。


でも、ルシフェルを信じたい。

道は違えど、一緒に人間界を守ってくれると。


まずは、ユニコーン様を救うことからだ。

ミカエルとユニコーンは、カインの元へ向かった。



次回、『52.ジャパン炎上 』へつづく

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