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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第2章 破滅円舞曲
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49.魔人の力

【カイン】


「君は、カイン君だね。

いや、今はカイン首相か。

久しぶりだな。」


魔人となった国王が、

話しかけてきた。

髪色は、金色から灰色に変わっている。


「その節、お世話になりました。

ところで、マリーナはどちらに?」


「あぁ、マリーナ様から伺っているよ。

君はマリーナ様と婚姻を結ぶために、

ここまで来たんだね。」


俺は驚く。


「何をおっしゃっているのですか?

婚姻??」


「君が憎いよ。

今すぐ殺したい。

いや、殺さずにはいられない。」


魔力が増大していくのを感じる。

しかし、いったいどういうことだ?

婚姻?

国王は、自我もおかしくなっているのだろうか。


近くで、兄であるグスタフ・レオンハルトは、

部下にレオンハルト公爵に回復魔法を使用するよう指示をした。


「おっと、そうはさせないよ。」


一瞬で、フィーナリオン王は回復魔法士たちの所へ行き、

自らの手で切り裂く。


そして、死んだはずの回復魔法士は、

骨となって、立ち上がる。


よく見ると、先に倒されていた兵士たちも、

骸骨となって立ち上がっていた。


『報告:西の塔で魔王を感知。

恐らくマリーナかと。』


クレアも同じタイミングで気づいたようだ。


「カイン様、恐らくマリーナ様は、

西の塔にいらっしゃいます。

お迎えにあがります。」


クレアが向かうのは、

当初の予定通りだ。


「頼む。

道中が心配だ。

サタナキア、クレアに着いて行き、

道中の敵を倒せ!」


「かしこまりました。」


クレアとサタナキアは、

西の塔にいるであろうマリーナの元へ向かった。


「イグニールは、そこのバカどもを守ってくれ。

ルシフェルとミカエルは、俺とこの男の戦いを邪魔されないように、

周りの骸骨共の相手を頼む!」


「「「かしこまりました!」」」


ルシフェルは、追加で話しかけてきた。

「この骸骨共ですが、

魔力の供給源を倒さない限り、

永遠に蘇り続けます。

供給源は、恐らく…。」


俺は答える。

「国王か…。」


国王は、じれたようだ。

「そろそろ、いいかな?

カイン君。

私は君を圧倒してみせよう!」


フィーナリオンの右手が光り、

光線が向かってきた。


俺は紙一重でかわす。

光線は、簡単に後ろの壁を突き破っていく。


しかし、光線は収まらないで、

そのまま俺に向かってくる。


なんとかかわしたものの、

後ろを見ると、

避けた光線が王都を横一列に切り裂いた。


「君が避けるから、

無実の人が傷ついてしまったではないか。」


「ぬかせっ!」


俺は以前から使っている愛刀のハヤブサに魔力を込めた。


「くらえっ!」


俺はフィーナリオンの胴体をあっさり切り裂いてしまう。


???


「避けるまでもないよ。」


俺はフィーナリオン国王の右手に、頭を掴まれた。

見ると切り裂いた所は、

既に傷が見あたらない。

一瞬で回復したのだろう。


「あなたは、いったい何者なんですか?」


俺は思わず声をあげてしまった。


「気づいているんだろう。

私は既に人を超えた存在。

魔人だよ。

そして、私は人々の怨嗟の大きさによって、

より強くなる。」


国王は、背に翼を生やした。

そして、先ほど穴の開いた場所から、

俺ごと飛び、王都の上空へと向かう。


王都は、とこどころで火の手があがっている。

先ほどの光線の影響か、阿鼻叫喚となっていた。


「見るがいい。

この素晴らしき王都を。

怨嗟に満ちて、私に相応しいだろう。」


そして、俺は王都の上空から、

郊外の地面へ投げられた。

あっという間に地面が近づく。


くっ、防御結界!

??

発動しない!?


俺は防御できず、

地面へ衝突した。


大きなクレーターが出来上がっている。

既にボロボロだ。


国王も地面に降り立つ。


「マズいの。

儂も出る!」


黄龍リュクレオンが王都に顕在化する。


「ほう、聖龍様ではないですか。

見事な力ですね。

だが、私の力は更に上へいきます。

怨嗟よ、もっと私に集まれっ!」


国王の力は更にあがっていく。


国王と黄龍リュクレオンは、

王都の上空へ飛び立った。


「龍の息吹!」

「怨嗟の嵐!」


二つのエネルギーは衝突し、

上空で大きな光の球ができあがる。


爆発の煙が広がった。

爆発の影響なのか、

黄龍リュクレオンは遠くの山まで、

吹き飛ばされていくのが見えた。


俺は上空にいる国王に向けて、

極大魔法を放つ。


「くらえっ!

サンダーテンペスト!」


王都上空に雷の嵐が起きる。

そして、国王一人へめがけて、命中した。

いや、全て右手にエネルギーを吸収し、

光の玉を作り出した。


「よい力だ。

使わせてもらうぞ!」


倍の力で俺に雷が落ちる。

避けられない。


そして、国王は、暗雲を作り出す。

そのまま、光の玉を暗雲に放り投げた。


魔素が含まれた暗雲が国中に広がる。

そして、国王は魔素に声を乗せた。


「我が名は、フィリックス・フィーナリオン。

第27代フィーナ国の王なり。

国民よ、我が力に恐怖せよ!

そして、ひれ伏すがよい。」


国中とジャパンに雷が吹き荒れ、落ちた。


そして、国中から怨嗟の力が国王に集まっていく。

国王は、更に強くなった。


もはや、俺の力でどうにかできるレベルを超えているのかもしれない。


俺は覚悟した。


ウィズ、頼みがある。

黄龍リュクレオンのように顕在化できるか?


『報告:可能です。』


そうか。

なら、ウルティアの所へ行き、

ウルティアを助けてくれっ。


『嫌です。

主人格、いえカインと共におります。』


ウィズにしか頼めないんだ。

頼むよ。

必ずまた迎えに行くから。


『…。

……。

必ずですよ…。』


あぁ、約束だ。


ウィズは、顕在化した。


「もともと、俺の人格だよな?

なんで、こんなに綺麗なんだ?」


「私は精霊となっています。

純粋な存在なので、淀みがないから綺麗に見えるんですよ。

あなたの頼みです。

ウルティアのもとへ行きます。」


「あぁ、約束だ。」


ウィズは、そのまま姿を消した。


俺の中には、ツヴァイだけとなる。


『やれやれ、俺は付き合うからな。

俺とお前の二人分の魂があれば足りるだろう。』


俺はツヴァイに感謝する。


すまんな。

じゃあ、やるとするか。


俺たちは、自らの魂を魔力に変える。

以前、この魔法を使った時は、神力を使用した。

だが、今はない。

だから自らの魂を使うしかないのだ。


王都の上空に、水でできたレンズを作る。


「フィリックス・フィーナリオン!

もう、お終いにしろっ!

光よ、集まれ!

サンレーザー!!」


本来、王国中を照らす太陽からの光が上空で屈折される。

王国中から、太陽の光が消えた。

ただ一カ所、いや一点を除いて。


そして、フィリックス・フィーナリオンに、

光の柱が舞い降りた。


グリードと違って次元へ吹き飛ばす能力などないはずだ。

そして、あの時より能力が向上されている。

数倍の威力だ。


俺たちの魂が、霧散していく。


しかし、国王を倒すまで、

まだ意識を手放すわけにはいかない。


光の柱を受け止める国王。

地面まで追いやられるものの、

結界で受け止めているようだ。


そして、姿を変えていく。

もはや、人の原型をとどめていない。


「見事だっ。

見事としかいえない。

だが、まだ終わりはせんよ。」


国王は、光の柱を上空へ弾き返した。


「勝てなかったのか…。」


ゆっくりと、国王が近づいてくる。

もはや体に力が入らない。


俺たちは意識を手放した。



【ウィズ】


急がなくては。


ウィズは、カインより離れて、

ある場所へ慌てて向かっていた。


カインに言われたウルティアのもとではない。

精霊王がいる場所へだ。


間違いなくカインは、

魂を使って攻撃するつもりだろう。


やり方については、

神級アイテム『魂の簒奪』を解析するうえで、カインも知ってしまっている。


ウルティアは、グランを助けられなかった。

そうなると、魂の力を使ってしまった者の助け方は他の者に聞くしかない。


可能性があるのは、精霊王だ。


カインにウルティアのもとへ行くと話したが、嘘をついてしまった。


でも、もともとカインも、

生まれる前から嘘つきなのだ。


おあいこだろう。


ウィズは、カインのために、

独自に動き出した。



次回、『50.嫉妬vs憤怒 』へつづく。



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