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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第2章 破滅円舞曲
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41.アテナとの出会い①

「皆さん、本日はよくお集まりいただきました。

短い時間ではございますが、

わが国、ジャパンの料理の数々を楽しんで下さい。

そして、本夜会の中盤には夜空に咲く華、

花火を用意しております。

存分にお楽しみ下さい。」


会場内から、ザワザワと声があがる。

「花火?」

「花火とは、いったい何だろう。」


そう、この世界には、

花火は存在していない。


そのため、今日この場にいる人たちは、

新たな歴史の1ページの目撃者となるのだ。


俺は、花火に絶対の自信を持っている。

日本人なら、誰でもそうだろう。

会場だけでなく、

国民が声を失うほどの衝撃と、

歓声が湧き起こるのが、

今から楽しみだ。


さて、この夜会には、

大小様々な国の代表や有力貴族が参加している。

そのため、立食パーティー形式にして、

多くの来賓と会話できるようにした。


まぁ、各国の思惑としては、

砂糖や塩など、この国を産地としている商品を目的に

貿易を開始したいのだろう。


俺には、次から次へと、

来賓者たちが、おべっかを並べた挨拶に来る。


まぁ、実際の詳細な交渉は外交官の仕事となるので、

互いに良好な関係を築くことが目的だ。

ただ、あわよくば棚からぼた餅を望んでくる者もいるので油断はできない。


ちなみにだが、宗教国家であるゾルダクス国、軍事国家ドルーン国、そして袂を分かつことにした母国のフィーナ国からは、来賓は来なかった。


まぁ、この国を認めて使者を寄越すなど、

絶対に出来ないだろう。


フィーナ国は、独立など承認しないだろうし、ゾルダクスは、自らの宗派に入らない限り、国としては認められない。

ドルーン国は、動乱の後なので余裕はないのだろう。


そういえば、クレアが話していた獣人国もいない。

フィーナ国に王子を留学させるほど、親人派だったはずだが、気になるところだ。


クレアがタイミングを見計らって話し掛けてきた。

「カイン様、そろそろ花火の時間ですよ。」


俺は、時刻を見る。

「もう、そんな時間か。

それでは、俺は、ウルティアと…。」 


逃げ出そうとするカイン。

そして、インパルスとセレンが同時に声を出す。


「「逃げるのは、ダメです!」」


インパルスとエレナに同時に否定された。

お前ら、こんな時だけ、息が合いすぎだろう!


俺は、ウルティアと花火が見たかった。

だが、この夜会には、

ウルティアは呼ばなかったのだ。


ウルティアは美人だ。

なので、変な虫がついたら嫌なのだ。


それに、一度、こういった国の催し物に参加してしまえば、次からも参加を望まれるだろう。


自分勝手かもしれないが、

辞退してもらった。


そして、ジャックは、

武闘大会の罰で、

禁酒させたため、参加していない。


だが、どうやら別の場所で飲んでるようだ。

まぁ、ジャックが酒を辞めるなんて、

ムリか…。


そんな事情があり、

俺の傍には、インパルスとエレナとクレアがいる。

そういえば、セレンを見かけないな。


「それでは、皆さん、

夜空に咲く華をお楽しみ下さい。」


一発の花火が打ち上がり、

見事な大輪を咲かせた。


それを合図に、どんどん打ち上がる。


花火は魔導砲の応用だ。

つまり、打ちたい放題!


時間的には、15分間とした。

そのため、盛大にとことん打ち上げてやる!


会場内から割れんばかりの歓声が聞こえる。

「なんと、美しい。」

「なんと神秘的なのだ!」


きっと国中の皆も、

この花火を見ているだろう。


家族で見るもの。

恋人と見るもの。

友人と見るもの。


気のせいかも知れないが、

国民の幸せそうな声が聞こえる気がする。


願わくば、来年も再来年も、

こうして平和な時が続けばいい。


夜空に咲く華、花火。

見た者は、生涯わすれることはないだろう。


さぁ、フィナーレだ。

一斉に打ち上げるぞ。


夜空に華が咲き乱れる。

まさに圧巻だ。

会場内の全員が夜空を見上げ、

そして、花畑となった夜空を見続けた。



そこに一人の女性が会場内に入ってきた。

しかし、誰もが上を見上げていたため、

気付かない。


俺も何故か気づけなかった。

本来なら、あり得ないことだ。


会場の人々が視線を元の位置に戻す。

それと、同時に拍手喝采の嵐だ。

俺が予想した以上に、

皆は大満足だったらしい。


その時、異変が起こった。

入り口にいる人たちから、

声を失ったのだ。


そして、その姿を見たものは、

声を失う。


赤い髪、

赤い瞳、

赤いドレス。

その圧倒的な存在感。


その全てに目を奪われる存在。


その女性は長い髪をなびかせて、

俺の方へ歩いてくる。


そして、俺の前で立ち止まった。


「初めまして、カイン王よ。

私の名は、天翔院アテナ。

クロノスナンバー12だ。

こちらでの呼び名は、

アテナ・ローマネリオンという。

ローマネリオン公国で女王をやっている者だよ。」


凛と響く声だ。

遠くにいる人にも聞こえる声だろう。


俺は、目を奪われ、

声を失っていた。

そして、俺は、直感した。

この女性は、この先、

最大の障壁になるのだろうと。



これが、終生のライバル。


カイン・レオンハルトと、

アテナ・ローマネリオンの出会いとなった。



次回、『42.アテナとの出会い② 』へつづく。

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