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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第2章 破滅円舞曲
36/120

36.建国祭

「さて、第1回の閣僚会議となりますが、

これからの方針を決めていきましょう。

まず、私が重要と思っていることは、

憲法と法律を整え…」


ジャックが、

俺の言葉を遮った。


「カイン!

それよりも、もっと重要なことがある!

建国祭をしよう!」


「はいっ?」


インパルスが話しにのってきた。


「そうですね。

この世界には潤いが少ないと思いますし、

国民を楽しませることは重要でしょう。

それに、内外に国を樹立したことをアピールするきっかけとなります。」

(どさくさにまぎれて、

祭りでテンションあがった、

あのエルフの子をもう一度、口説くんだ。

いっひっひっ。)


さらに、ジャックが話しをかぶせてきた。


「そう!

そして、他国の使者を呼び、

国力をアピールする!

こんなに重要なことはないだろう。」

(どさくさにまぎれて、

パーティーを開けば、お酒が飲み放題だ!

うわっはっはっ。)


ため息をつくカイン。


「2人とも、顔に出てますよ。

はぁ。」


さらにもう一押しとして、

インパルスが話してきた。


「ついでに国名の『ジャパン』が広まれば、

まだ出会っていないクロノスナンバーが現れる可能性がありますよ。」


なるほどな。

確かにそうかも知れない。


転生者は、今までの傾向からして、

日本人しかいない。

仮に日本人しかいないのだとしたら、

国名をジャパンにしたことで気づくだろう。

ここに転生者がいるということを。


そして、仲間になってもらえれば、

これほど、ありがたいことはない。


それに、もしかしたら魔王となったマリーナを元に戻せる能力を持つクロノスナンバーがいるかもしれない。


ジャックとインパルスの言うとおり、

重要事項と言われれば、そんな気もする。

まぁ、他にもやるべき事は多々あるのだから、

並行してやっていけばいいだろう。


何より戦った貴族連合の地方領主5名と、

裏で盟約を早々に結ぶ必要がある。


会談の場では、

互いが邪魔をして詳細の話しを詰めることができなかったが、

こちらの庇護に入ることとなった。


ただし、ドレイクとボロディンだけは、

別だ。

彼らは領主よりも騎士と言った方が正しいのだろう。

最後まで主である国王についていくそうだ。

ただ、他の領主たちのことは秘密にしておいてくれるらしい。

念のため、インパルスの能力『宣誓と誓約』を使い行動を縛っているので間違いはない。


それにしても、祭りか。

花火大会とかしたいな…。


ウルティアと2人で見れるかな?

最近、デートらしいことをしてないし、

できれば、そうしたい。

いや、そうしよう。

そう!

花火デートだ!!


「「顔に出てるぞ!」」


2人に、突っ込まれた。

だらしない顔をしていたらしい。

ごめんなさい。


そして、全員のよこしまな考えは、

声に出す前から、互いに却下したのだった。


ウルティアと花火を見たかった…。

まぁ、こっそり逃げだしてやる!

そうなると、俺は重要な役職からは、

外れるべきか。


「それじゃあ、イベント実行委員長は、

インパルスにお願いしたい!

他にも建国祭を盛り上げるための、

色々な企画も、よろしく頼む!

あっ、花火大会の準備は俺に任せてくれっ。」


それに合わせてジャックも自分の役割を決める。

「武闘大会を開こう!

強く、どこにも仕えていない強者がいれば、

スカウトできるからな。

優勝賞品は、1年間のただ酒券にしてくれっ!」


あっ、ジャックは自分で出て優勝する気だな。


「あなた方は、アホですか!

やってもいいですけど、

最終決定者は、私ですからね!」


インパルスは、髪を掻きむしりながら、

建国祭の企画を思案していくのだった。


とりあえず、色々な国の大使を呼んだ方がいいだろう。

対外的に独立したことをアピールしなければならない。

片っ端から、近隣諸国の大使を招待するか。

俺は、建国祭への招待状を作成し、

案内を出したのだった。



そして、建国祭、当日。

俺の開会宣言にて、

祭りはスタートした。


「皆、建国祭だ!

おおいに楽しんでくれっ!」


街には多くの人で溢れかえっている。

初めて、訪れた人達は、

この街の技術力に驚き、

立ちすくんでいる。


この世界の一般的な祭りは、

皆で食事を持ち寄って、

飲み食いするレベルだ。


俺たちは、思いっきり踏み外すことにした!


説明するには、

まず、この国のお金の事情について、

話そう。


通貨は、各国が加入する商業連合に、

我が国ジャパンも加入し、

そのままゴールド(G)を使用することとした。


まぁ、新たに通貨を作ってもよかったが、

旅人のことを考えると、

統一通貨を使用した方が良いと判断したのだ。


ただし、これはインパルスと意見が割れている。

新たに通貨を作成した方が後々の都合がいいのだ。

国が作った通貨の方が経済対策をしやすい。

経済が停滞すれば、

国が新たに作った通貨で、

自国民から品物の購入を行い、

経済を潤わすことができる。


まぁ、需要と供給のバランスが大事だし、

供給が多すぎれば、

自国通貨が暴落してしまうのだが。


金額単位で購入する時代から、

重量単位で購入する恐れがあるので、

その施策には注意が必要だ。


俺たちは、間違ってもそんな経済対策はしないが、将来の政治家が何をするか分からない。

この世界では、前例がないことだから、

やってしまうかもしれないからだ。


俺は自国で通貨を作ると、

そこに雇用が生まれ、

通貨を作る際の売買が発生する。

さらに両替業務による雇用なども発生するだろう。

俺はメリットの方が大きいだろうと判断した。

ようは、愚かな経済対策をしないように、

法で縛ればいいのだ。


だが、ここはインパルスの意見を採用し、

統一通貨を選択することとした。

決め手は、これから他国から自国民が増えてくることを考えると、移住のしやすさをインパルスが強調したことだ。

今は国民を増やすことが重要なのだから、

確かにその通りだろう。



そして、問題は税だ。


この世界、一般市民の税は2つある。

人頭税と土地税だ。

人頭税は、単純に一人あたりに対する税のため、最も平等な税と言えるだろう。

地球での住民税みたいなものだ。

しかし、この時代の人頭税は、低所得者に負担が大きすぎる。

金額が平等すぎるのだ。


そして、土地税。

今で言う固定資産税みたいなものだ。

これは実施しないと、

一人の裕福な人が広大な土地を取得してしまうため、制限をかける意味で必要となる。


そのため、俺たちは人頭税・土地税・関税・所得税・法人税・消費税を、

段階的に導入していくことにした。


しかし、税の仕組みが複雑になるため、

この世界にアラビア数字の導入と、

会計制度の導入、税務署などの設置が必要となる。

また、学校なども必要となるだろう。


お金を数える道具、

コインカウンターか、

そろばんの導入も必要となるかもしれない。


まだ資金力に余裕があるため、

当面の間はかなり税率の低い人頭税と土地税、一般的な税率の関税だけとした。


いつ税制改正を行うか、

見極める必要があるだろうが、

少なくとも国家が安定した後になるだろう。


それまでは、国の事業で、税に変わる収益元を作っていかなければならない。


国営による産業だが、税改正と同時に民営化することがベターだろう。


さて、建国祭の話に戻ろう。

我が国ジャパンは、各種調味料から、製造物までかなり品質が良く、値段も安い。


そして、建国祭の間は、関税を0とすることとした。

当然、今のうちに商品を買いたいと言って、人が押し寄せることとなる。

自国の商品は売れる。

これだけで、祭りとしては盛り上がるだろう。


この間、屋台などの売買も可能とし、

日本の朝市と、お祭りの屋台が混ざったような風景となった。


その他にも盛り上がるために、

各種イベントを行う。

しかし、各種イベントの中で、

武術大会と弁論大会だけは系統が異なる。

この2つは、主に人材の登用をメインとしている。

そのため、景品は豪華にするとともに、入賞者にな我が国ジャパンへの魅力的な雇用契約にて登用できるようにした。


まぁ、魅力的な雇用契約といっても、人それぞれなので、個別面談で決めていくこととなるだろう。


さて、俺は、インパルスに幾つかのイベントの審査委員長にさせられてしまった。

色々な場所に顔を出さなければならない。


「なんか、たくさん話したような気がするな。

とりあえず、ウルティアと一緒に色々な場所に行くか!」


俺は、ウルティアと2人で街を見て回ることにした。



【???】


一人の若い女性が、お供を一人連れて、

ジャパンの街を歩いている。

誰もが目を奪われるほど、

きれいな長い赤い髪をたなびかせている。

スラッとした女性だ。


腰には、一昔前までは西方の小国であった大国の紋章が刻まれた剣を帯同している。


「なんだ、この街は?

まるで、地球のヨーロッパと日本が混ざったような街だな。」


供に連れている従者が返事をする。


「昔、アテナ様がおっしゃられていた、

地球というところの街ですね。

あの頃のお話しをされていた幼いアテナ様は、

今と違って、目がキラキラとして可愛いらしかった。」


アテナは従者を見た。

「さすがだな、グラウクス。

よく覚えている。

我が賢者殿は、素晴らしい記憶力の持ち主だ。

無駄なことを覚えている知識も含めてな。」


グラウクスは、気にしないで話す。


「それにしても、フィーナ国とは違い、

ここは栄えてますな。

それに、昔、我々がフィーナ国の森に隠れ住んでいた時とは、大違いです。」


アテナは話す。

「数年前まで住んでいた森の隠れ家だな?

いつか、また行ってみたいものだ。」


そして、二人は祭りの喧騒の中へ去っていった。


次回、『37.武闘大会 前編 』へつづく。

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