表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第1章 伝説の始まり
33/120

33.建国宣言

さて、戦後処理の会談を始めるとするか。


こちらは、俺とジャックとインパルスが出席する。

地方領主連合軍は、今回、戦いに参加した地方領主7名全員だ。


会談場所は、どの会議室がよいだろうか。

まぁ、せっかくの天気だし、

見晴らしのいい場所にしよう。

俺は42階にある会議室を使用することとした。


まぁ、なんというか、

この建物で働く人がまだ少ないから、

どの階でもいいのだが、

まぁ、せっかくだし使うことにしよう。


受付のレスティアにそう案内するよう伝える。

インパルスが連れてきたエルフの女性だが、

とても気が利く子で重宝している。


俺たちは、先に会議室で待つこととした。


しばらくすると、

地方領主7名が到着する。


あれ?

足が震えてるぞ!?

「緊張されているのですか?

どうぞ、飲み物でもお飲み下さい。」


地方領主たちはおそるおそる飲み物を飲む。

そして、窓を見て思わず声を出した。

「なんという景色なのでしょうか。」


あっ、会見に緊張していたのではなく、

高いところに緊張していたのか。

そういえば、エレベーターも外を見れるようにしてあるんだった。

初めてだし、緊張もするだろう。


まぁ、時間は有限だし、

さっさと戦後処理をしよう。


地方領主たちが、お茶を飲み、

少し落ち着きを取り戻した頃に話しかけてきた。


「失礼しました。

それでは、代表の方をお呼び下さい。」

うやうやしく、一礼をする地方領主。


「これは失礼しました。

私が代表の、カイン・レオンハルトです。」


領主のうち2名が驚きのあまり目を大きく開けたのを俺は見逃さなかった。


「そこのお二人は、

いかがされたのですか?」


俺は尋ねてみる。


地方領主の2人は、

申し訳なさそうに答えた。


「失礼しました。

私の名前はドレイクと申します。

お気に障られたなら、ご容赦ください。

今回、私が海将をさせていただきました。

その、戦いへの事前準備や戦い方を見て、

想像した容姿とあまりにも違っていたので、

驚いてしまったわけです。」


「私も失礼しました。

ボロディンと申します。

陸将を務めさせていただきました。

私も同様です。

もしくは、龍が指導者なのかと思いました。

あなたは、龍が変幻した姿なのでしょうか?」


そういうことか。

俺の容姿、普通だしな…。

歴戦の猛将のような雰囲気もないし、

驚いたのだろう。

まぁ、いい。


それにしても、ドレイクとボロディン…。

俺でも知っている有名人だ。

フィーナ国を代表する歴戦の将だ。


「私は、普通のヒューマンですよ。

さて、この後に教会の方と聖騎士の方も来られますが、

あなた方に先に来ていただいたのは理由があります。

いったい、何故このようにムチャな理由で戦いをしかけたきたのですか?」


そう。

ずっと疑問だった。

俺の想定した敵戦力と違いすぎる。

あまりに脆かったのだ。

ドレイクとボロディンがいるなら、

なおさらの疑問だ。


それに、暴走してくるなら、

地方領主1名なら分かる。

しかし、地方領主7名からなる地方領主連合だ。

明らかにおかしい。


地方領主の一人がバツの悪そうな顔で話す。


「本当に申し訳ないと思いますが、

我々には、他に道がなかったのです。

今、我々は新国王陛下より、巨額の税・美女を求められております。

支払うことができなかった西方の領主の一人は既に死刑となりました。

そして、あろうことに国王軍がその領主が治めた土地で略奪行為を行ったのです。」


他の地方領主も話す。

「今回、我々は時間的猶予もなく、

士気も低いものでした。

国への税を払える状況ではなかったため、

やむを得ず略奪行為をするしかなかったのです。」


新国王というの、あの時の皇太子殿下!?

おかしい。

彼は、そんなことをするようには見えなかった。

マリーナが魔王となったことが影響しているのかもしない。


とりあえず、俺は、その情報を伏せることにした。


コンコン。

「カイン様、教会の枢機卿と、聖騎士エレナ様がお見えです。」


事前に聞いてはいたが、

やはり早いな。

枢機卿は、エレナに伝書鳩を飛ばし、

その後すぐに徹夜でこちらに向かったのだろう。

目の下のクマが物語っている。


「ようこそ。

イーストランドへ。」

俺は丁重に出迎えた。


「初めまして。

中央教会の枢機卿を勤めております、

パウロと申します。

このたび、クロノス神さまから、

カイン様をクロノス神さまの代行者とするようご神託を授かりました。

教会としては、そのご神託を受け、

今後は全面的にカイン様を支持してまいります。」


驚く領主たち。


「分かりました。

聖騎士エレナ様から、

事前にお話しを伺っております。

このたびのイーストランド侵攻は、

今後の協力しだいで不問とします。」


パウロ枢機卿は、うやうやしく礼をする。

「すべて、クロノス神さまとカイン様の思うがままに。」


まぁ、そうは言っても、

教会に何か指示する気はない。

ただ、見守っていてくれれば、

それでいいのだ。


「さて、聖騎士の件は、これで終わりです。

次は、地方領主たちの番です。

誠意ある賠償内容を聞かせて下さい。

っといいたいところですが、

事情は聞かせていただきました。

今回の件は、不問とします。」


驚く地方領主たち。


それはそうだろう。

金・土地・女・命、どれを指定されても拒否できない現状なのだ。


まぁ、命以外にもう搾り取ることができない状況だし、命をもらっても仕方がない。


なら、さっさとお帰りしてもらおう。

あっ、税の優遇だけして欲しいな。


「ただし、今後、この島からの品物についてほ、

通行税と関税を優遇してください。」


0ではなく、優遇。

かなり甘い賠償だろう。


しばらく地方領主たちは黙っていた。

そして、ドレイクが口を開く。


「それは、10000人の敵兵士を、

無条件で故郷へ帰らせていただけるということでしょうか?」


俺は答える。

「はい、その通りです。」


続いてボロディンが口を開く。

「またその兵で、襲ってくるかもしれないんですよ?」


俺は答える。

「何度やっても結果は同じですし、問題ありませんよ。

今回、こちらの損害は0ですしね。

船の破損もありませんでした。

それに時間が経てば経つほど、

こちらが有利になっていくので気にしませんよ。」


そうなのだ。

この島は資源が潤沢で、

どんどん産業が発展してる。


一方、地方領主たちは、

多額の税にむしり取られる一方だ。


自然と結果は見えているだろう。


それに、こちらから賠償金を不要としたことで、対外的に軍事力だけでなく、経済力についてもアピールできるはずだ。


地方領主の一人は、

立って発言をしようとする。

しかし、立ったまま何も言わない。

怒ったのだろうか。

いや、これから話すことに緊張しているようだ。


しばらくして、口を開いた。


「カイン様、お願いがあります。

もはや、この島は、

土地・人・主権があり、

一つの国としての条件を揃えております。

そして、ここには第3者である教会の方がおり、

今日の会合を国との会合と記録することができます。」


男は、そこで一息つく。

これから話すことに相当の覚悟が必要なのだろう。


「カイン様、お願いがあります。

フィーナ国から独立し、

建国して私の領地を庇護していただけないでしょうか?」


他の領主は、あまりのことに立ち上がる。


「モンテロー伯爵!

貴殿、フィーナ国を裏切るのか!?」


「仕方がないでしょう!

もはや、フィーナ国は終わっております。

私は、領民を守る必要がある!

ならば、私の自尊心より、

領民を優先し、領民を守っていただきたいのだ!」


他の領主たちは複雑だ。

頭では分かっているのだろう。

だが、心が許さない。


国か…。

俺はインパルスとジャックを見る。


正直、俺は反対だ。

独立を行うには、それ相応の準備が必要となる。

それに、国とするには住民の意見が大事だ。


俺が否定的なのに気づいたのだろう。

インパルスから発言する。


「土地・人・主権があり、

加えて軍事力があります。

これから先のフィーナ国との関係を考えれば、

住民にとってもメリットが大きく、

独立して建国することに賛成です。」


続いてジャックだ。


「今の状況では、フィーナ国がこの島に要求を言える条件が整いすぎている。

そして、こちらはその要求を拒否する条件が少なすぎだ。

それを考えれば、独立して建国することによって、

住人の利権が守られるのは間違いない。」


2人は独立と建国に賛成派か。

俺としては、もし独立して建国するにしても、

今は時期尚早な気がする。

ただし、建国するとしたら、

今のタイミングはベストではないものの、

ベターではないだろうか。


ジャックは続けて発言した。


「何より、これを見てくれ。

住民の全員が独立と建国に賛成してるんだ。」


たくさんの束ねた紙の束を、

ジャックは俺に差し出した。


住民の嘆願書だ。


「昨日、街の顔役と相談してな。

一人一人、署名してもらったんだ。

一人の住民として、

代表して発言する。


カイン・レオンハルト様。

この地に建国し、俺たちを導いて欲しい!」


俺は嘆願書を眺める。

みんなの思いは伝わった。

覚悟を決めるのは、俺の方か…。


皆の思いを汲み取り、

形にするのが俺の役目なのかもしれない。

覚悟を決めるしかないか。


俺は席を立ち、全員を見渡した後に発言する。

 

「カイン・レオンハルトの名において、

ここに宣言する。

イーストランドは、

フィーナ国より独立し、

ここに建国する!」


!?!?!?


建国を宣言した瞬間、

目の前の世界が白黒になった。


全員、動かない。

いや、俺以外、時が止まっているのか?


目の前に小学生ぐらいの男の子が現れた。


「初めまして。

僕の名前はウロボロス。

クロノス神の天敵さ。」


不敵な笑みを浮かべる神がそこにはいた。



次回、『34.民主主義の祖 』へつづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ