表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第1章 伝説の始まり
31/120

31.【幕間】音速のインパルス

【インパルス】


俺は父が眠る病室にいた。


「父さん…。

母さん…。」


俺は、前の世界で天涯孤独だった。

生まれてすぐ捨てられたのだ。

前の世界では、

親とは憎しみの対象でしかなかった。


よくテレビでみる結婚する際の永遠の愛…。

信じられないね、そんな口約束。

契約書に優るものはない。

俺はこの頃から、そう思っていた。


愛情を受け育てられなかった子はどう育つか。

当然、人によって異なる。

俺の場合は、いたずらをして、

注目を集めることだった。


こんなことできるんだぞ。

俺って、凄いだろう?って感じでだ。


ただ、どうにか親を見返したい。

俺は何とかバイトで得た収入で、

有名高校に進学した。


でも、周りには変なプライドが邪魔をして、

苦学生だなんて知られたくなかった。

苦しいのを誤魔化すために、

何度もふざけ、周りを困らせたものだ。


この頃、学級委員長にはよく叱られたものだ。


そして、転生した。

ある年齢になって、

転生したことを思い出した時には、

父親しかいなかった。


父さんに聞いてみたことがある。

「父さん、何で母さんはいないの?」


父は答えた。

「お前と俺を守って亡くなったんだ。

母さんは、いつもお前のことを愛していたよ。」


俺は勝手に嘘だと決めつけた。

きっと、父と俺が嫌で離れていったのだろう。

よくある話しだ。


まぁ、それならそれで構わない。

俺は父さんがいれば幸せだ。

だってそうだろう?

前の世界では誰もいなかった。

今は、一人いる。

俺にはそれだけで十分だ。


そして、あの戦いで真実を知る。


魔王は言った。

「あらっ?

親子3人揃うなんてね。

まぁ、いいわ。

それでは始めましょうか。

魔王とあなたたちとの饗宴をね。」


「へっ?

親子3人!?」


確かに、絵で見た母親の面影がある。

そして、急に理解した。

母親は亡くなった後、

魔王に体を奪われたのだと。


俺は魔王が召喚した悪魔と闘う。

だめだ、今のままでは勝てない!


能力の裏技を使うしかない。

だだ、一度、試しに使った時は、

死ぬ思いをした。

今は、そんなことを言っている場合ではない!

今、使わずに、いつ使うんだ!


「能力 宣誓と誓約!

我、敵を滅ぼす者となる。

我をそのために音速にさせたもう。」


俺は音速と化す。

音速の一撃など、止められるはずがない。

俺は、絶対の自信を持って、一撃を放つ。

しかし、その一撃すら、魔王には及ばなかった。


俺は、能力のリバウンドにより、

体に深刻なダメージを受け、

動くことが困難になった。


そして、父が母を救う。

俺は見ていることしかできなかった。


その時の起きた奇跡は、

なぜ起きたのか分からない。


魔王ラクリアであった体に、

母が戻ってきた。


俺は母のぬくもりを知る。

その愛の大きさを知る。

そして、母より授かる。


「あなたの音速の一撃は、

魔王すら驚嘆させていました。

何も与えることのできなかった母だけど、

最後に魔王であったものの特権で、

称号を授けましょう。」


俺は音速の称号を手に入れた。


試してみる。

前は、能力のリバウンドで、

全身から血が出た。


しかし、今はそれがない。

称号の影響だろうか。

俺は、この力を使いこなせるようになった。


「母さん。

俺は母さんからもらった

この音速の称号、

大事に使わせていただきます。」


「父さん、

俺は父さんから教わった全てで、

生きていきます。

だから、目が覚めた時、

立派な姿になった俺を見て、

笑って下さいね。」


そして、父をカインに任す。

きっと、カインなら、父を助けてくれる。

俺は病室を後にした。


鏡を見ると、

少しだけ大人びた顔になった気がする。


町役場に行く。

たくさんの人が溢れていた。

今、この街は活気がある。

いいことだ。


そこに奴隷から解放された、

俺が一番最初に購入したエルフがいた。


そうだっ!!

俺は美人エルフを秘書にしたかったんだ!!

ドタバタして後回しになってた。

ぜひ、秘書になってもらいたい!

俺はエルフに思いを伝えた。


「すいません、俺と(秘書として、)一緒にいて下さい!」


「えっ、ごめんなさい。」

(カイン様より、受付係を頼まれてるの。)


周りの人たち。

「おい、インパルスが

速攻で告白して、速攻でフラれたぞ!」


「なんて、速さだ!

まるで、音速だ!」


「こら、人の不幸を笑うんじゃない!

だが、見事な速さだ!

音速のインパルスと讃えようぜ!」


「それ、いいなー!」


周りの人たちは、

爆笑していた。



そして、インパルスは、

音速のインパルスとして認知された。



音速のインパルス列伝

1頁目より、抜粋。

「○月△日 インパルス、エルフにフラれる。」



次回、『32.【幕間】ある兵士の思い 』へつづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ