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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第1章 伝説の始まり
27/120

27.聖騎士となった学級委員長は、色欲まみれ?

「インパルス!

クロノスナンバーだ!

油断するなよ!」


「(カイン、

ワイはもうムリや。

逃げたしたい…。)」


ん?

急に日本語!?

逃げたしたいなんて、どうしたんだ!?

まさか、もう敵の能力にかかったのか!


「(あいつは、ワイの天敵!

学級委員長やっ!!)」


「はいっ?」


意味、分からん!

学級委員長!?


「(そやっ、あいつは、学級委員長!

ワイの天敵、

清宮 恵令奈や!)」


インパルスは、

目を大きくして、

かっと言い放つ。


「(えっ!?

日本語!?

って、その話し方!

藤堂一くん!?)」


それに反応したのは、

聖騎士の女性だ。


「(ぎゃー!

人違いや!

学級委員長なんて、

知り合いにおらへん!)」


「(その話し方!

やっぱり藤堂一くんでしょ!

あなたって人は何をやってるの!!)」


「(知らへん!

ただの人違いや!)」


「(分かったわ!

どうせ藤堂一くんのことだから、

エルフの奴隷が欲しいとか、

変なこと言ってるんでしょ!)」


「(ぐはっ!)」

インパルスは、心のダメージを40負った。


「(そして、エルフを秘書にしたいって、

騒いでるんだわ。)」


「(ぐはっ。)」

インパルスは心のダメージを50負った。

もはや、虫の息になった。


「(ぐっ。もう年貢の納め時か!

しゃーない!

壮大な計画を教えたる!

ワイは、

エルフの秘書が欲しいんだー!!!)」


「(やっぱり!

なんて卑猥なのかしら。

そのよこしまな考え!

ここで成敗してあげるわ!)」


そのやりとりを見ていた俺。

うん、マジでどうでもいい会話だよ!


相手の特徴をよく見る。

なるほど、学級委員長にいそうな、

真面目そうなタイプだ。


服はどちらかと言うと軽装だ。

足から首までしっかりと服を着ている。

地肌を、出していないから、

この世界では珍しい。

まぁ、清純そうなのが、なんとも印象に残る女の子だ。


あー、インパルスって、

こういう女子が苦手だったのか…。


「(インパルス、

この子は苦手なんだろう?

俺が相手をするから、

他をお願いしてもいいか?)」


「(ほんまか、カイン!?

お願いするで!

あの子の相手よりか、

聖騎士99人を相手にする方が、

よっぽど楽やで!

ちなみにバスト99の隠れボインや!)」


物凄い形相でインパルスを睨みつけるエレナ。

恥ずかしさと怒りのあまり、顔が真っ赤だ。

「(藤堂一、しばきます!)」


「(あっ、うん、インパルス、

向こうを頼むや。

えっと、清宮恵令奈さん?

いやっ、エレナ!

俺が相手だ!)」


俺は、エレナと向かい合う。


インパルスは、

聖騎士の群れへと突っ込んだ。


ゲームのごとく、無双してる。

大丈夫そうだな。


見ると、インパルスが敵を

どんどん吹き飛ばしていた。


「(あなたが諸悪の根源ね!

いいわ、まずあなたの性根を

たたき折ってあげる!)

能力 言霊!

剣よ、羽根のように軽くなって!」


『報告:剣撃の速度があがりました。

言霊とは、思いを物にぶつけることで、

能力が上がるようです。』


うん!?

それって、何でもアリなんじゃないか!?

でも、怖い気がしないな…。

何でだろう。

まぁ、いっか。


「(こらっ、危ないぞ。)」

俺は剣をあっさりはじけ飛ばした。


「(えっ!?

何が起こったの!?)」


あれっ?

この子、

俺の動きが見えてなかった?


「(もう一度!

能力 言霊!

瞬足!)」


あれっ?

瞬足という割には、遅いぞ!?

俺はもっと早く動いた。


「(そ、そんな!?

の、能力 言霊!

相手の全耐久性を下げて!)」


バチン。

俺の中には龍がいる。

人間向けの言霊なんて、

軽くはじき返した。


「(そ、そんな!?)」


はじかれた言霊は、

エレナに戻り刻まれた。

エレナの全耐久性が下がった。


俺は素早くエレナの両手を掴み、

身動きを取れなくする。


あっ、恐くない原因わかった。

ステータスに差がありすぎるんだ。

だから、いくら能力でブーストをかけても、

まるっきり相手にならないんだな。


「(まず、誤解を解きたいんだが、

俺たちは奴隷を、すぐに解放して、

自由を与えてるぞ!

今、島に住んでるのは、

自ら永住を決めた人たちだ!

それに見ろ!

この闘いで、まだ死人は出てないぞ!)」


俺はエレナの顔をのぞき込むように

話した。


「(か、顔が近いから!

お、お願い、放してっ!)」


振りほどこうとするエレナ。


「(ダメだ!

俺はお前を、はなさない!)」


「(な、何を言ってるの!?)」


顔を真っ赤にさせている。

どうやら、恋愛の耐久性が下がっているようだ。


俺は、信じてもらうために、

真剣な目を見てもらおうと、

顔を背けるエレナのあごを掴み、

正面に振り向かせた。


「(えっ、

な、何をするの!?)」


あごくいってやつを喰らったエレナは、

心臓がドクドクいっている。


エレナは、

乙女な部分の耐久性も下がっているようだ。


その時、魔力に満ちた、

一陣の風が吹いた。


女性が立っている。


「ねえ、

殺し合いはしないのかしら?」


一瞬、戦場は、

静寂に包まれた。


「お前は…。

魔王!?

いや、魔王の分身か?」


カインは、魔王の分身であることを見抜いた。

本体はジャックとグランが向かっている方向にいる。


「よく分かりましたね。

私は色欲の魔王、ラクリアよ。

戦争って聞いて観戦していたのに、

誰も死んでないから、

面白くないのよ。

それで、まだ戦ってそうなとこにきたんだけど…。

男女が盛ってるだけなのよね。」


魔王の姿を見る。

下着のような服だ…。

なんか、めっちゃエロいぞ!

さすが色欲の魔王!


「盛ってなどいません!」

エレナは、必死で弁解した。


魔王は、ジーッとエレナを見つめた。

「なんか、このエロエロボディの子から、

色欲の匂いがする…。」


「きゃー!

何よそれ!

そんな、呼び名やめて!

私、そんな変な匂いさせてません!!」


俺は魔王に見つめられるエレナを見て、

思わず胸に抱き寄せて、

魔王から顔を隠してやった。


そこにインパルスが戻ってきた。

聖騎士との闘いは、

一方的な闘いで幕を閉じたらしい。

聖騎士たちは、全員、気絶をしている。


「なぁ、これ、どういう状況?」


エレナはインパルスに向かっていう。

「色欲の魔王、ラクリアよ!

急に現れたの!」


インパルスは、驚いた。

「いや、この人のこともだけど、

何でお前ら、抱き合ってるの!?」


またもや、顔が真っ赤になるエレナ。

「う、うるさい!

わ、私にも何がなんだか分からないわよ!」


キョトンとするインパルス。

「もしかして…。

学級委員長、カインに恋した?」


慌てふためくエレナ。

「ば、ばか言わないでよ!

な、なんで私が戦場で恋をしなきゃいけないのよ!」


「うーん、

やっぱり、エロエロボディから、

色欲の匂いがするわ。」


「エロエロボディ?

あー、学級委員長のこと?

って、学級委員長、

実はそっち系だったの!?」


何故か魔王ラクリアとインパルスは、

仲が良さそうだ。


「そんなことありません!

私は聖騎士であり、クロノスナンバー2ですよ!

そんな色欲なんて、

あるわけないじゃないですか。」


ってか、この子、

さっきから胸が俺に当たるんだよなぁ。

俺はエレナの胸のことを考えている。

いや、違うことを考えよう。

えーっと、空は青いなぁ…。


「そんなに言うなら、

色欲の種をあげるわ。

よっぽどの色欲がない限り、

人には植えても、私が何かしない限りは、

何も起こらないから、

すぐ分かりますよ。

えいっ。」


魔王ラクリアは、

色欲の種をエレナに放り投げた。


俺は違うことを考えることに集中しすぎて、

回避が遅れた。

やべっ!

何かエレナに向かってくる。


慌てて、俺はエレナをお姫様抱っこして避けた。


「きゃーっ!

放して!」


ジタバタするエレナ。

避けた種は霧散した。


「!?

まさか、当たらなくても色欲の種を吸収したの!?

あなた、ちょっと人間にしておくのが、

もったいないほど、色欲まみれかも。」


「えっ!?

えっ!?

何それ!?」


色欲の魔王ラクリアは、

ジッとエレナの変化を見てみる。


「種がすぐに発芽して、

芽が出て、苗木になってる…。

普通は発芽には魔王の力が必要なのに。

まさか自力で育てるなんて…。」


魔王ラクリアは、驚愕している。


「学級委員長は、

魔王すら驚かす色欲の女だったのか。」

インパルスは呟いた。


「聖騎士は色欲まみれだったのか。」

俺も思わず呟いた。


「エロエロボディは、

私すらも驚愕する色欲の持ち主ね!」


魔王ラクリアは、

エレナを色欲の持ち主と認めた。


「やめてー!!

そんな変なイメージつけないで。」


必死に修正をしようとしているところが

また可愛い。

ちょっとツンデレなのかもしれない。


「確かにそうか。」

まだお姫様抱っこのままのカインとエレナ。


「なんだろう。

この人から、いい匂いがする、

体がムズムズしてくる…。」


エレナは、もじもじ、始めた。


「じー。

学級委員長…。

やっぱり色欲まみれだね。」


インパルスが、もじもじするエレナにつっこんだ。


「魔王の私が保証するわ!

ちなみに色欲の苗木は、

理性をしっかり保たないと、

すぐに発情するわよ。」


「何よそれ!

早く取り除いて!」

エレナは、心から叫んだのだった。


「あなたの場合、ムリね。

だって、魂とのリンクが凄すぎて、

取り外せないわ。」


「一つ聞いていいか?

この子が色欲まみれなのは分かった。

だが、色欲の苗木?

それは一体何なんだ?

何故、こんなにもエレナのステータスが上がっているんだ?」


俺は別の意味で驚いていた。

先ほどと差がありすぎるのだ。


闘う前は、インパルスと同じぐらいだったと思うが、

今ではインパルスを圧倒している。


「いいわ、教えてあげる。

色欲とは、肉欲とも呼ばれ、

性的な欲求を意味するわ。

その欲を力に換えるのが、

魔王の因子ね。

種から発芽し芽が出る。

芽が出たら、苗木となる。

苗木となったら、華が咲くのよ。

たいていは人工的に咲かせるから、

ステータスはあまりあがらないんだけど、

この子は自然に成長させてるから、

より強くなってるのよ。」


なるほど。

「つまり、強くなるだけ、

その欲求が強いってことか…。」


もはや、泣き出しそうなエレナ。

「私、そんなに色欲ないもん!」


俺は頭をぽんぽんする。

「大丈夫だよ。

魔王と俺らには考えに差がある可能性がある。」


それは、そうだろう。

魔王の因子ということは、

この子は魔王になれるということだ。

俺には、そうは見えない。


エレナは、ぼーっとカインを見つめた。

その顔は、うっとりとしている。


「いや、カイン。

学級委員長の表情をみてみっ。

その顔は、色欲にまみれているぞ!」


世の中には言っていいことと、

悪いことがある。


インパルスは、恋する乙女の地雷を踏んだ。

エレナは無言で、俺の腕から降りる。


「あんたなんか、

どっかに吹っ飛べ-!!」


インパルスは、言霊がのせられた一撃に、

吹っ飛んだ。


「そ、そんなバカな-!!」


インパルスの声は遠くに木霊していった。


「さて、私は本体に戻るわね。

面白いものも見れたし、満足したわ。」


「俺らとは、

闘わないのか?」


「私の因子をその子は持っているのよ。

ある意味、娘と同じね。

まぁ、他にも理由はあるけど、

戦う気はしないわ。

まぁ、あちらさんは別みたいだけど。」


そう言って、魔王ラクリアは姿を消した。


「えっと、エレナ。

俺と一緒に来ないか?」


「私を捕虜にして、

何をする気?」


あっ、この子、変な想像してる…。

俺は苦笑しながら、

客人として、もてなすことを約束したのだった。



【魔王ラクリア】


あの子、本当に面白い素材だったわ。

これから闘う前に会えてよかった。


正直、この体はボロボロだった。

全盛期の一割も力は出ないであろう。

ただ、これから闘う相手は、

逃げ出すことをこの体が許さない。


まぁ、これで万が一、

滅ぼされたとしても、

自分の因子をもつあの子がいれば、

長い年月はかかるだろうが、復活はできる。


きっと、あの子は、

遠い未来に、

色欲の華を咲かせるだろうから。


そうすれば、復活は早まるはずだ。


さて、元Sランクの冒険者たちと闘うとするか。

この体にとっては、

懐かしい相手だろう。

同じ仲間であり、

妻であった体だ。

そして、この体が滅ぼされたがっている相手でもある。


おそらくだが、

先ほどのインパルスという少年は、

この体の子供なのだろう。


戦う気がしなかったもう一つの理由がそれだ。


さて、相手が見えてきた。

せっかくだ。

魔王との饗宴を、楽しんでもらいましょうか。


魔王ラクリアは、妖艶な顔で微笑んだ。



次回、『28.グランの闘い 』へつづく。

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