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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第1章 伝説の始まり
25/120

25.地方領主・聖騎士連合軍との戦い 海戦編

3ヶ月後、地方領主軍と教会の聖騎士が、

この島へ勧告をしてきた。


地方領主軍の主張はこうだ。

「イーストランドは、

重要な国の資源である。

もともと自治権は我々にある島だ。

即刻、我が軍を島内に入れるように。

また砂糖・塩の生産をするため、

全島民の労働を強制する。

三日以内に応じなければ、

10000の兵をもって、

強制的に排除する。」


自治権の事実はない。

一方的な主張であり、拒否の手紙を出した。


教会の主張はこうだ。

「多くの奴隷が、この島に連れ去られた。

犯罪者の奴隷となっているとは、

いったい何事なのか。

その人数は、もはや、神の許容を超えている。

聖騎士をもって、悪の根源を駆逐する。」


奴隷をこの島に連れてきた事実はある。

でも、全員を解放済だ。

ほとんどの奴隷は、

自らの意思で永住してくれている。

残りの少数は、故郷に帰途しているので、言いがかりだ。

でも、手紙の返信先が分からない。

相手は、返信を求めていないのだ。

とりあえず、教会の本部へ手紙を出した。

まぁ、時間的に見れないだろうけど。


そして、三日後、

勧告どおり、攻撃を仕掛けてきた。


北風に乗って、北方より小型船100。

1隻に50名程度乗っているので、

約5000人の兵士だ。

橋には5000の兵が、進んでくる。


敵は二方面作戦を展開してきた。


まず、俺たちは橋の上と橋の周りに霧を発生させた。


魔石を各ポイントに取り付ける。

魔石同士は、魔力を伝道させる糸をつけており、

敵が中腹に差し掛かったところで、

魔力を流し、霧を発生させる。

実に単純だ。


だが、この世界では初となるため、

すぐに気づけないだろう。

特殊な糸が必要となるが、

魔力が電導できることは発見されていないのだ。

実は島の各建物も、この方式を採用している。

地球での電線みたいなものだ。

ただし、全て地中に埋めているため、

景色はよい。


霧を発生させた目的だが、

船との連絡を分断することと、

先に船を叩くために、

歩兵の進軍速度を遅らすことだ。

そうなると、船は連携しようと、

速度を落とすだろう。


これからの作戦に、

船の速度を落とすことは重要となる。


「よしっ、上手くいっているようだ。

当初の予定どおり、

先に船を叩くぞ!

魔導船発進!」


俺はトランシーバーに話しかけた。

元いた世界に戻り、買ってきたのだ。

魔石による電話やトランシーバーは、

今のところ開発できていない。

なので、買ってきました…。

うん、仕方ない。


この時代の戦争は、

情報が著しく遅いし、情報が大ざっぱだ。

基本的な戦の場合、旗信号にて、情報共有している。

そのため、情報速度の迅速化および詳細性により、

不利な状況を打開し、

相手を圧倒するつもりだ。


そう、こちらの兵士は1000人しかいない。

兵力差が10倍あるのだ。

人だけ集めれば、もっと増やせるが、

ジャックとグランと話した結果、

少数精鋭で行くこととした。


なので、兵士は貴重だ。

これからのことを考えると、

一人も死なせたくない。


そうこうしてる内に島の影から、

巨大な船が5隻、出てきた。

もちろん味方の船だ。


この船は、実に特徴的だ。

まず、帆がない。

どうやって動くかというと、

魔石によって動いてる。

街で使っている魔石を使った動力炉の小型版を積んでいるのだ。


橋は島の動力炉から使用し、

船は自らの動力炉を使用している。


そして、船のエネルギーが少なくなった場合、

島の港や海面などの各ポイントでエネルギーの補充ができるようにしている。

まぁ、海面での補給は、

エネルギー供給のための導線を伸ばし、海に浮きを付けて行うスタイルなので、

いつか弱点になるだろう。

バレないようにしなければならない。


まぁ、この島にいる限り、

無尽蔵に動き続ける船と霧発生装置なのだ。


敵の小型船の兵士は驚いている。

それはそうだろう。

自分たちの乗る船の5倍はあるのだ。

そして、風でしか動かないはずの船が、

帆がないため、風以外で動いているのは、

見たことも聞いたこともないはずのため、

衝撃を受けているに違いない。


それに、大型船と小型船では、

船同士を接続できなければ、

弓による攻撃も高低差がありすぎて、

圧倒的に不利になる。

これも驚愕させるだろう。


ただ、俺たちは弓による攻撃をしない。

何故なら、

新兵器があるからだ。


「よしっ、魔導砲用意!

島と魔導船の両面から放つぞ!

敵の帆に向かって、放てっ!」


魔導砲…。

思いつきで、

雷・火・風の魔石を組み合わせたら、

できた代物だ。

魔力による大砲と思って欲しい。


相手の攻撃手段は弓しかない。

攻撃範囲は短くなる。

それに比べて、こちらは大砲だ。

超長距離攻撃である。


この時代には脅威だろう。

エネルギー使用料が激しいので、

島の周り限定の兵器だけどね。


島と魔導船の二方面から、

炎の球が襲いかかる。

島からの魔導砲は、右側から。

魔導船からは、後ろからだ。


慌てて、逃げだそうとするが、

左側の海は海流が激しく、

思うようにスピードが出ない。


敵は、左・後・右の逃げ道を失った。

そうなると、前に進むしかなくなる。

自然と、次のような陣形となる。

あとは、前に少数となって、

順に進む船だけの対処だ。


〈敵船との位置関係〉


船     島

↓     島

 船   ←島

船船船→  カイン

      島

      島

橋橋橋橋橋橋島

      島


本来は、守りを捨てて攻めてくるのだから、

対処が大変だ。

だが、今回は実に簡単に対処できる。

最初の数隻だけ、

魔導砲で船を大破させれば、

その船により、身動きが取れなくてなるからだ。


そして、身動きが取れなくなった船を、

殲滅していけばいい。


「先頭の船に、島の魔導砲より、

一斉発射!

外すなよっ!」


よしっ!

着弾確認!


ん?

もしかして旗艦だったのか?

ずいぶん周りが混乱してるな。


あれっ?

相手の司令官は、

知将タイプだったはず…。

情報とズレがあるけど、

相手の予想外のことが起こったのかもしれない。

少なくとも、こちらの戦力は徹底的に情報を隠蔽したため、虚を突いていたはずだ。


「敵は混乱している。

引き続き、掃討せよっ!」


その後、

敵の船は、わずか20分で全滅した。


海に投げ出された敵に

捕虜となるよう勧告し、

5000人が捕虜となった。

よしっ、死傷者なし!


さぁ、次は橋の敵だ!

俺は、島の司令部より、

橋の上に向かった。



【敵船の司令官】


「相手は、ただの犯罪者くずれだ。

今回の戦いは、戦いにすらならん、

一方的なものになるぞ!」


なんとも楽な戦いなのか。

相手は、船すらない。

憂慮すべきば、

地上戦のみだな。


念のため、事前に海軍の情報を調査したが、

皆無だった。

そして、相手には時間的猶予もないため、

この情報は信用できるだろう。


本当は、念には念を入れて調査したいのだが、

今回ばかりは事情が事情だけに、

時間的猶予がない。

とりあえず、部下を鼓舞しなくては。


「そうですな!

恐るるに足らずです!」

周りの者が艦長の発言に同意している。

私の発言に鼓舞されたようだ。


「よしっ、全隻でるぞ!」


あたりは、静かな海面となっている。


やはり思った通り、島から船は出てこないな。

楽に上陸できるぞ!

ようやく、少し安心できた。

今から仮に船が出てきたとしても、

もう上陸阻止はできない。


上陸してしまえば、

こちらは圧倒的な兵数だ。

すぐに決着が着くだろう。


そこに慌てた声で兵士が近寄る。


「急報!急報!

橋の付近に霧が発生し、

旗信号による連絡が取れません!」


敵は、橋に仕掛けをしてきたか。

そうなると、歩兵が橋を攻略し、

そこを見計らって上陸するのが得策か。


「よしっ、全隻速度を落とせ!

歩兵に合わせ、進軍速度を落とすぞ。」


部下にそう指示を出し、

船の速度を落とさせた。


「急報!急報!」


「島の影から、巨大船です!」


巨大船だと!?

何を言っている!


えぇい、意味が分からん!

自分の目で見て確かめてやる!


「どっちの方向だ!?」


そして、目の当たりにした。


「なっ、なんという巨大な船だ!」


しかも、早い!!

通常の船より、倍の速度はあるぞ!

ん?

帆がない?

な、なんなのだあの船は!?


くっ、こちらは速度を落としてしまった以上、

すぐに速度があがらん!


ドゴーン!

「な、何が起こっている!?

報告せよ!」


「分かりません!

敵の船と島から何かが飛んできて、

味方の船が大破していきます!」


な、なんだと!?


当たりを見回すと、

左側と後方を集中的に攻撃してるようだ。

あまりの遠くからの攻撃に、

こちらからは何もできない。


「やむを得ん!

右に旋回し、回避するぞ!」


「急報!

海が荒れて、速度が出ません!」


何回、急報すれば気が済むのだ!

しかし、何故だ!

ここは海流が荒れるポイントではなかったはずだ!


ん?あんなとこに小島などあったか?

まさか、あれで海流が変わってしまったのか…。


「ええい!

仕方あるまい!

全隻、前に突っ込むぞ!」


逃げ道がないのだから、

仕方あるまい。

活路は前しかないのだ。

罠ごと食いやぶるしか手段がなくなってしまった。


しまった!

私の指示に周りがついてきていない!

我が船が一番前に来てしまった!


ドゴーン!

バキバキ。


「我が旗艦が燃えている…」


「司令官、脱出を!

この船は、もう燃えて、持ちません!

退避を!」


ぐっ、脱出艇も燃えてしまっている。

海に飛び込むしかない!!


私はやむを得す、

海へ飛び込んだ。


「私は悪い夢でも見ているのか!?」


司令部が崩壊したことにより、

他の船は混乱し、

船同士が邪魔して身動きがとれなくなっている。


そして、わずかな時間で全隻が大破した。


敵からの降伏勧告だ。

ここにいたら、全員溺れ死ぬだろう。

ヘタしたら海の魔獣に襲われてしまう。

やむを得ん。


「降伏を受託する。

私が責任者で、全ての責は私にある。

部下の扱いに考慮されたい!」


私はこの後、

味方陣地に戻っても敗北責任を取って自刃することとなるだろう。

私が、生きて戻らない限り、

他の誰かにその責がいってしまうのだ。


私は、武人として誇り高い死がなくなったことを、

心から後悔した。


そして、この時の私は、敵の司令官と会い、

更なる驚愕を与えられることとなるとは、

夢にも思っていないのだった。



次回、『26.地方領主・聖騎士連合軍との戦い 地上戦編 』へつづく

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