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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第1章 伝説の始まり
24/120

24.ジャックの正体

町役場の一室で、

カイン・ジャック・インパルス・グランは、

今後のことについて話し合っていた。


「まず、どの産業に力を入れて、

金を稼ぐかが重要ですね。」


カインが司会となって、

議論を深めていく。


今後の主な役割としては、

ジャックが戦闘力を活かし、武官。

インパルスが異世界の文明知識を活かし、文官。

グランが料理で相手の胃袋を掴むことから、外交官を基本の役割とすることにした。


ただし、島の力は、そこまで強くないため、

適宜、互いに補っていくことにしている。


グランの料理で相手の胃袋を掴む。

そう、グランの料理は本当に美味いのだ。

奴隷たちを解放する際、

多くの者が故郷に帰ろうと考えただろう。

しかし、グランの料理が奴隷たちの胃袋を掴み、

ほとんど永住させてしまったと、

俺は分析している。


食からの外交。

うん、重要だ。


っというのは、建前で、

本当は、最終決定者をグランにお願いしたかったのだ。

だが、絶対に嫌だと固辞されてしまい、

せめて中枢にいてほしくて、

外交官になってもらった。

説得は大変だったが…。


「じゃあ、まずは酒造業に力を入れていくということで。」


もちろん、ジャックの意見だ。

まぁ、儲かればどの産業でも構わないので

いいだろう。


『報告:ジャックから、能力使用を検知しました。

たぶん、時空系ですね。』


ん??

ウィズ、声が機械的な声から、女性の声に変わってるぞ!?

どうしたんだ?


『報告:黄龍リュクレオンの助力により、

精霊となりました。

それにより、主人格から切り離され、

新しく人格が出来上がってます。

女性人格がベースです。』


へっ!?

精霊??


「わっはっはっ。

どうじゃ、凄いじゃろ。」


黄龍リュクレオンが話しかけてくる。


いやっ、確かに凄いけど!

って、ジャックが能力使用!?


あれっ?

心なしか強くなってるぞ…。


そう思った矢先、

ジャックから口を開いた。


「酒も捨てがたいが、

防衛が優先だな。

少なくとも船が欲しい。」


???

あれっ、さっきまで1に酒、2に酒、

3に酒のつまみと豪語していたのに…。

どういうことだ?


「ジャックさん、

いったい何があったのですか?

何で、この一瞬で、

少し強くなってるんですか?」


苦笑いするジャック。


「なんて、説明すべきか…。

まぁ、今さらか。

時空転移してきたんだ。

3ヶ月後からな。」


はいっ!?

時空転移!?


インパルスがジャックに質問する。

「どういうことですか?

そんな能力、聞いたこともありませんよ。」


答えるジャック。

「そりゃあ、

クロノスナンバーの特殊能力だかな。

能力は秘密にしていた。

誰も知らないのは当然さ。」


「「へっ!?」」


驚く俺とインパルス。

俺はジャックに質問した。


「冗談ですよね!?

だって、明らかに年齢ちがいますよ!

クロノスナンバーは、

全員、俺たちと同じ年齢のはずです!」


ジャックは、バツの悪そうな顔をして説明し始めた。

「俺の能力はな、

闘神といって、

闘えば闘うほど強くなるっていう、

能力なのさ。」


全然、納得できない。

おかしいぞ。


「それだと、

時空転移の能力とは違うような…。」


「あぁ、もちろん続きがある。

もし、自分が死んで負けそうになったら、

勝てるようにどうすればいいか?

そう、記憶・経験を持って過去に戻り、

やり直せばいい。

過ごした時間も体に上書きされるため、

年齢も加算されてしまうがな。

まぁ、戻った地点より前に死ぬと、

それまでの能力だが、

強力だろう?」


なるほど…

この年齢差の分だけ、

何度もやり直して強くなったのか。

そして、前回の死ぬ時までに、

もう一度死ぬと、それまで…。


確かに強力な能力だ。


ただ、まぁ、なんというか、

そもそもなんだが、

「もっと早く言って下さいよ!」


ずっと、苦笑していたグラン。

「てっきり、もうご存じかと。」


「いやいや、

分かるわけないじゃないですか!?

それに、向こうの世界の知識、

まるっきりないじゃないですか!」


「いえ、ずっと名前でなく

ナンバー名で話してたので…。

ちなみにジャックは、

記憶喪失なんです。」


ん?

ナンバー名!?

ジャック…


『報告:トランプの11ですよ。』


「あっ!?

11…。

ジャック…。

クロノスナンバー11のことだったのか!?」


俺とインパルスは、

驚きっぱなしだ。


もしかして、

グランさんも!?


そう思ったら、

インパルスが先に口を開いた。

「もしかして、

父さんも!?」


「それはないよ、インパルス。

少なくとも、俺は実年齢のままさ。」


実年齢…。

あっ!?


「っていうことは、

ジャックさんの生年月日は、

俺たちと同じ!?

インパルス!

戸籍に書くぞ!」


何をしたいか察知してくれたらしい。

「おう!」


「つまり、ジャックさんは俺らと同じ年齢!

未成年じゃないですか。

これで、しばらくもう飲めませんね!

黙ってた罰です!」


笑い合う俺とインパルス。


「いやっ、ちょっと待って!

俺は、過ごした時間的には、

体も心ももう大人なんだよっ!」


必死に説得するジャック。

苦笑し続けるグラン。


結局、生年月日不明で

登録することにした。


「ところで、何故、

記憶喪失なんですか?」


「それにはな、深いわけがある…。」


ジャックは、真剣な顔をした。


俺は思わず、つばを飲み込む。

ごくり。


グランが先に口を開いた。

「酒に酔って、

頭を打っただけです。

それで、本名まで忘れてしまったので、

普段からあだ名を名乗るようにしたんですよ。」


「はいっ、ジャックさん、

しばらくお酒は禁止です。

やっぱり、生年月日を登録しましょう!」


「か、勘弁してくれっ!

酒は俺にとっての血なんだ。

命そのものなんだ!

なければ、それだけで死んでしまう!」


また、必死に生年月日を不明にするよう

説得が始まった。


「本題に戻りましょう。

ジャックさんは、

3ヶ月後に死にかけて、

こっちへ戻ってきたんですね?

一体、何が起こったのですか?」


真面目な顔で話し始めるジャック。


「それがな、3ヶ月後に、

地方領主軍と教会の聖騎士の連合軍が、

戦争を仕掛けてくる。

まぁ、そこは圧勝だったんだかな。

その夜だ、俺たちは、

勝利の美酒に酔いしれて、

飲みまくった!

そこを敵が襲ってきて、

バッサリさ!

卑怯な相手だろう?」


「あんたは、アホですかー!

闘えなくなるまで、酔いつぶれるって、

何やってるんですか!!!」


絶叫するインパルス。


「やはり、酒は禁止ですね!」

断言する俺。


「ま、まて!

地方領主軍と聖騎士の連合軍は、

結局、市街戦までなって、

死傷者を出してしまったんだ。

次は、完璧に倒して、

死傷者を減らそう!

そのためには、船が必要なんだ!

なっ、いい情報だろう!?」


グランは、苦笑しながら話した。

「やれやれっ、お前というやつは。」


応戦するジャック。

「やれやれって言ってるが、

お前もやられたぞ!」


「「2人とも酒は当面禁止です!!」」


「「それだけは、やめてくれっ!」」



一つ分かったことがある。

ジャックの正体だ。


ジャックは、ただの酔っぱらい大馬鹿ヤロウだ!



【グラン】


ジャック…

それほどの相手だったのか。


昔からあいつはそうだ。

歴史を変えると予定外のことが起こる。

だから、途中まで知っている通りに、

進んだ方が対処しやすい。


そんな時に、あいつはいつも決まって、

酒の話しをして、誤魔化す。


しかも、あいつをバッサリだと!?

一撃…。

そこまでの相手となると、

魔王しか考えられん。


ジャックのことだから、

二度目は大丈夫だと思うが、

もしあいつが死にかけたら、

その時は…。


グランは胸の内にしまい、

そして、決心をしたのだった。



次回、『25.地方領主・聖騎士連合軍との戦い 海戦編 』へつづく。

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