22.この世界での街づくり
一度は、消えてしまったデータ。
めげずに、もう一度投稿!
俺の中に黄龍リュクレオンが住んでいる。
さっきまでは感じなかったが、
圧倒的な存在感。
圧倒的な力の差を感じる。
これが、龍と人の差…。
そういえば、
龍力を貸してくれるって言ってたな。
ウィズ、龍力について教えてくれっ。
『報告:知識にないことです。
分かりません。』
「なんじゃ、龍力のことを知らんのか?
人にとって魔力のようなものじゃ。
龍なら龍力。
精霊なら、精霊力。
神なら、神力じゃな。
どれっ、試してみるといい。」
俺の中から、黄龍リュクレオンは話しかけてきた。
龍力?
確かに試しておきたい。
正直、悪い予感しかしないからだ…。
攻撃魔法で試すのは、
危ないだろう。
ウィズ、龍力を使った時に力加減はできそうか?
『報告:初回のみ、できません。』
まぁ、初めて使うしな。
そうなると、空に向かって放つか…。
いや、それはそれでつまらないか。
ウィズ、土魔法のホームクリエイトは使えるかな?
街まで土魔法で道を整備してみたいんだ。
街まで距離もある。
これなら、途中で途切れたところから、力の調整をしつつ、道路工事していけばいいだろう。
『報告:使えます。
ただし、ジャックの土魔法では、
途中の小川なども埋められてしまいます。』
『提案:私が補助をして、
途中の小川などは、
橋を錬金していくことを勧めます。』
よしっ、そうしよう!
『土魔法ホームクリエイト!』
『錬金。』
俺の中から、龍力が溢れ出す。
やばいっ!
使ってる途中から分かる!
威力が大きすぎる!!!
気軽に使うべきではなかったかもしれない。
龍力と魔力が放出された。
ゴゴゴゴ。
ザクザク。
ゴゴゴゴ…。
遥か彼方まで道路整備がされていく音が聞こえる…。
まだ聞こえる。
いやっ、まだ聞こえるよ!
やばくないか!?
俺は街まで慌てて向かった。
幸い、街のはずれを
道路整備されていたようで、
人を巻き込んだ様子はない。
ん!?
海の方に人だかりができているぞ!
「坊主、何をしたんだ!?」
ジャックは、
驚いた顔でこっちにきた。
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもあるものか!
あれを見てみろ!」
海まで続く整備された道…
海から伸びる整備された鉄の橋。
鉄の橋に至っては、
神話に出てきそうな華麗な装飾がされている。
ウ、ウィズ…、
ど、どこまで続いたんだ?
あの装飾はなんなんだ??
『報告:向こうの陸地まで橋は伸びております。
更に龍力があまり向こうの陸地まで、
道の整備をしようとしたため、
龍力を費やすために、
錬金で装飾をしました。
それでも、龍力が余ったため、
途中の中継点として、
小島を作っております。』
…。
……。
なんじゃそりゃー!!
街は街ても、他の陸地の街までかい!
皆に何と説明すれば、良いのか…。
ダメだ、誤魔化して言おう。
「えっと、向こうの陸地まで、
橋は続いています。
方法は、秘密です。」
にこっ。
お願い、誤魔化されて下さい!
「なーるほどね。
って、そんな笑顔で誤魔化されんぞ!」
ですよねー!!
そう思ったら、ウルティアがやってきた。
「カイン-、
グランさんのところで、
料理を教え終わったよー。
試食してみて!」
ナイス、ウルティア!!
「それは楽しみだ!
皆さん、試食に行きませんか?」
「なんだ、なんだ?」
「試食?」
「いってみようぜ!」
よしっ、誤魔化された!
「さぁ、行きましょう!」
グランさんの酒場に着いた。
懐かしい料理の匂いがする。
醤油や、味噌、マヨネーズを使った料理だ。
試食してみる。
「うん、美味しい!
さすが、ウルティアだよ!
グランさんも、
お疲れさまでした。」
苦笑するグラン。
「私も食べましたけど、
この調味料は、素晴らしいですな。
全ての風味が増している。」
「これから、農業に力をいれていくので、
もっとバリエーションが増えますよ!」
ふと周囲を見ると、
上々だ。
いや、想像以上に喜ばれてるぞ!?
「なんだ、この料理!
旨すぎるぞ!」
「幸せだー。生けてて、よかった!」
うん、試食させてみてよかった!
それにしても、
ジャックは、よく食べるなぁ。
「ジャックさん、
美味しいですか?」
「おう!
特にこのわさび醤油はいいな。
刺身と酒の相性が良くて、
酒が進むぞ!」
あまり手間がかかっていない料理だ…。
「それは、よかったです。
では、明日は魔石を取りに、
部下の方達と狩りをお願いしますね!」
「おうよ、任せておけ!
さて、坊主!
そろそろ、橋のこと、教えな!」
うっ、誤魔化されなかったか…。
俺はジャックとグランさんにだけ、
秘密にするようにと釘を刺し、
話すことにした。
やはり、今後の島の防衛を中心に担ってく2人には話すべきだろう。
翌日、ジャックは部下を引き連れて、
魔石を取りに行く。
グランには、橋の調査をお願いすることにした。
俺は、昨日の荒れ地に行く。
よしっ!
昨日の失敗を振り返ろう!
失敗1
初めての龍力だから、
加減ができなかった。
これは、ウィズが加減を覚えてくれたから、大丈夫だ。
失敗2
自分の想像を超えることをしてしまった。
これは、最初のイメージを固めれば問題ないだろう。
よしっ!
失敗を振り返り、もう繰り返さない!
俺はできる子だ!
さて、整理された土地に、
イメージの街を作っていく。
この作業、どれだけ大変か分かるだろう。
でも、俺は違う。
何故ならウィズの自動モードがある!
頭に思い描くだけで、
街の作成なんて簡単さ!
ウィズ、というわけで、
自動モードで、街の作成をお願いしてもいいかい?
『了解:作業を開始します。
全自動モード。』
俺は、しばらく寝るなー。
ZZZ。
ZZZ。
そして、カインは居眠りを開始した。
んぁー、よく寝た。
昨日は、ウルティアと夜更かししたからなぁ。
よく寝ることは、
いいことだ。
さてさて、
どこまで進んだかな?
『作物促進を使用し、成長させます。』
『作物の成長を確認。』
おっ、なんか、凄いことをしてるぞ。
ウィズ、自動モード終わりだ。
『報告:自動モード、解除します。』
うん、農地に水田を作り、
作物を成長させたのかー。
凄いじゃないか、ウィ…
なんじやこりゃー!!!
よく見ると街が出来上がっている。
たしかに、思い描いたのは、
ヨーロッパの街並みだよ!
出来上がったのは、
現代のヨーロッパの街並みだ。
いや、確かにちょっとは想像したかもしれない。
けど、本当にちょっとだよ!
うん、やべっ。
自信なくなったきた…。
『報告:中央に町役場の地下に、
動力炉があります。
雷を付与した魔石を入れることで、
動力炉と家電が連結します。
ぜひ、やってみて下さい。』
へっ?
家電??
ってか、なんかウィズに人間味が出てる気がする。
「面白そうだったんでな。
我も口を出して作ったぞ!
ついでに、ウィズの能力も上げておいたぞ。」
黄龍リュクレオンが、
声をかけてきた。
『報告:ウィズは、レベルがあがりました。
テレテレッテレ-。』
いや、何その効果音!
いったい何が起こったの!?
そこに遠くから、
ジャックとその部下たちがやってくるのが見えた。
「今日は俺が坊主を驚かしてやるぞ!
すっごい量の魔石を取ってき…
…。
なんじゃこりゃー!!!」
またもや、開いた口が塞がらなくなるジャックたち。
遠くから、グランがやってくるのが見えた。
「おーい、差し入れを持ってきたぞ!
今日のは、昨日よりも美味しくて、
みんなびっくりす…
…。
なんなんですか、これはー!!!」
開いた口の塞がらなくなるグラン。
『報告:グランの持つ魔石の半分で、この街の動力1年分となります。
ぜひ、動力炉に雷の付与を行った魔石を投入しみて下さい。』
「とりあえず、ジャックさん、
魔石を半分もらえますか?」
俺は魔石をジャックから受け取り、
雷を付与していく。
そして、ジャックたちに、
ウィズに作ってもらった簡単な地図を渡し、
商業エリアにある酒場に向かってもらった。
俺は町役場の地下に向かい、
動力炉に魔石を入れていく。
『報告:動力炉を動かします。』
その瞬間、
町が光輝き出した。
魔方陣が発動したようだ。
光が収まると、
結界内の中にいるのを感じる。
帰りは、行きに動かなかったエレベーターを使ってみた。
うん、現代だね。
外に出ると、
街灯に灯りが灯されていた。
この世界での夜は、
個人の魔法でライトか、
ろうそくによって、
明るくしている。
全自動での街灯など、まず考えられないだろう。
ジャックとグランのいる酒場に着いた。
うん、クーラーが心地よい。
冷蔵庫には、冷たいお酒などの飲み物が用意されていた。
『報告:来ると未来予測を行い、作っておきました。
麦も作りましたので、ビールもあります。』
ウィズ、なんて気がきくんだ!
お嫁さんにしたいくらいだぜ!
愛してるぞ!
ここまでくると、
もう細かいことは、
どうでもよくなった。
そんな時は冷たい飲み物に、
美味しい料理だ!
みんな同じ気持ちなんだろう。
その夜の宴会は、
やけ酒する者が多く、
潰れるものも多かった。
ここに、魔道科学都市が誕生したのだった。
◇◇◇
【ウィズ】
この気持ちはなんだろう。
黄龍リュクレオンに、
力を分けてもらい、
主人格と、完全に別物になったのは分かる。
ウィズは戸惑っていた。
主人格の副人格として生まれ、
今は別物として存在している。
自分も主人格なのだ。
分からない。
何故こんなに自分が迷っているのか、
自分がどうしたいのか分からない。
「ん?
なんか、迷っているのか?」
黄龍リュクレオンが話しかけてきた。
ありのままを話す。
「ふむっ。
お主、そのままでは、
永遠に答えは出んぞ。」
そんなの嫌だ。
自分が何のために存在してるのか、
意味がなくなってしまう。
「ふむっ、お主はなかなかの強欲さじゃな。
では、こうしよう。
お主は、精霊になれっ!」
その瞬間、ウィズの世界が変わった。
ウィズは、精霊となった。
ウィズは、強欲の華の種を手に入れた。
次回、『23.街の発展 』へつづく。