17.元いた世界でのお買い物
「よし、異世界に転移して、
金になりそうなものを買ってくる!」
午前、インパルスと決めた事だ。
善は急げだ。
ウィズ、異世界転移の能力について、
詳細を教えてくれ!
『報告:異世界転移の能力とは、
201×年の地球の日本へ転移します。
対象者は、使用者のみ。
ただし、無生物であればアイテムボックスに入れることで、相互に持ち込み可能です。
なお、滞在時間は1時間です。また、一度使用すると、しばらく使用不可となります。』
なるほど、俺しか転移できないのか。
色々と制限あるみたいだな。
まぁ、しょうがないか。
とりあえず、向こうでの金がない…。
資金になりそうなものを持っていって、
換金するしかないか。
う~ん、何がいいかなぁ。
こっちの剣とか鎧とかは
マニアに売れるかな?
よしっ、とりあえず行ってみよう!
ウルティアは、心配そうに話しかけてきた。
「あの、
ご利用は計画的にね。」
どこかの会社のCMみたいだ。
「大丈夫!」
インパルスと話してたら、
俺のエロへの欲求が止まらなくなった!
本をすぐ買って、読みたい!!
アドレナリン全開だ!
「能力 異世界転移!」
俺の周りの地面から、魔方陣が出現し、
俺を中心に、周りの空間に光の文字が包み込む。
淡い光が全身を包み込み…
そして 、俺は、
元いた世界へ飛んだっ!!!
◇◇◇
どさっ。
バサバサバサ。
ずどーん。
いててててっ。
どこだ、ここ?
ウィズ、現在の位置を教えてくれ。
『報告:秋葉原の○△□公園です。』
あっ、あの公園かぁ。
あたりには誰もいない。
よく考えると、
人がいるとこでなくて、よかった。
突然、人が現れたら、大騒ぎになるもんな。
『報告:当初、秋葉原駅前に転移しかけましたので、
急遽、人通りのないところへ転送位置を修正しました。』
マジか!?
秋葉原駅前なんて、危なかった。
大騒ぎになるところだったじゃないか。
よくやったぞ、ウィズ!
『提案:今の姿は、目立ちます。
よって、幻影の能力を使い、
前世の姿に戻ることを勧めます。』
確かに、明らかにこの姿は、
日本には浮いてしまうだろう。
よろしく頼む!
俺は元の22才の姿になった。
よく考えると、俺のいた存在はクロノス神に消されてるんだよなぁ。
家に行ってみたい気もするが、
今回は時間がない。
あきらめるか。
「よしっ、とりあえず骨董品を買取りしてくれる店に行って、日本円に替えよう!」
うわっ、大通りは凄い人混みだなぁ。
店頭のディスプレイを見ると、
今日は日曜日か。
混んでるはずだ。
大通りを歩いていると、
一人の外国人がメイドに勧誘されている。
いやっ、外国人が、
自らメイド喫茶のシステムを聞いているようだ。
外国人と目があった。
俺に近づいてくる。
って、遠くからでも分かるほどの、
凄い美形だそ!
あれっ、もしかして!?!?
美形の男は話しかけてきた。
「朝霧海斗くん!?
どうしてここに!?
あ-、ふむふむ。
異世界転移の能力でこっちに来たのかー。」
!?!?!?
「く、クロノス神さま!?!?
な、何故こちらに???」
クロノス神は、思わず声をかけてしまったのだろう。
バツの悪そうな顔で話し始めた。
「ほらっ、そのー…
異文化調査?みたいな。」
いやいや、異文化調査って何だよ!
そもそも、神さまたちは、
ウルティアへの神力を与えた件で、
神力がなくなってるんじゃなかったのか!?
「そこはほら、
僕は他の神と格が違うから。」
さらっと、凄いことを言う。
一人だけ神力つかえるんかい!
「ところで、提案!
ウルティアに僕がここにいることを
黙っておいて欲しいんだ。
その代わり、君のお手伝いをしてあげるよ。」
また心を読まれた…。
ってか、他の神には内緒にしてるってこと?
バレたら、マズいってことか。
「そこは、察して!」
うん、そうみたい。
「では、手伝っていただくことを条件に、
ウルティアには秘密としましょう。」
ホッとした顔をしている。
「えーっと、ここにきた目的は…
ふむふむ、なるほどね。
朝霧海斗くんがやろうとしてることじゃ、
全然お金に換金できなくない?
しょうがないなぁ。
えいっ!」
景色が変わる。
どこかの山奥だ。
『報告:瞬間移動を確認。
瞬間移動を取得しました。』
「ウィズくん。
この位置覚えておいてね。」
クロノス神、俺のウィズとまで話せるの!?
『報告:了解しました。』
「そだよー。
僕は神!
なんでも、アリなのさ。」
ふんぞり返るクロノス神。
あいかわらずだなぁ。
「さて、やることをやろう。
ここで行うのは、錬金。」
左手を地面に置き、
クロノス神から魔方陣が浮かびあがる。
「錬金!金剛石!」
魔方陣が光、土が金剛石に変わった。
「ここの土は、鉱石に錬金しやすい土なんだ。
金剛石だけじゃなく、色々な鉱石が可能だよ。
さて、やってみて!」
ウィズ、今の錬金は出来るか?
『報告:既に能力を有しています。可能です。』
「よしっ、錬金!」
金剛石ができた。
ダイヤモンドだ。
もしかして、これも行けるか!?
「錬金!」
金鉱石ができた。
金塊だ。
それじゃあ、これも!
「錬金!」
大理石ができた。
家の素材になる。
それじゃあ…。
20分、錬金しまくった結果、
たくさんの金剛石、金鉱石、大理石を取得した。
「さて、それじゃあ、次は僕の行きつけの換金屋ね!
ウィズ、これから行くとこも覚えておいてね。
転移!」
行きつけ!?
もしや、よく地球に来てるのか!?
って、それはムシするんかい!
「ついたよー。
ここは、僕の行きつけ!」
そこには、怪しい男がカウンターで
座っている。
「これはこれは。
ようこそ、おいでいただきました。
本日はどのようなご用件で??」
見るからに怪しい…。
「大丈夫、ちゃんと商業登録してある換金屋だから!
ほらっ、普通は換金時に身分証明書が必要でしょ?
ここは、それがいらないんだ。
あっ、そうそう。
今日はこの金剛石を換金したいんだ。
出来たて、ほやほやだよ~。」
確かに物を売る時には身分証明書が必要だった…。
盗品の可能性があるからだ。
今の俺には身分証明書がないから、ありがたい。
「って!
思いっきりアウトじゃないですか!!」
ん?
微かに神力を感じるような…。
ウィズ、鑑定して特別な何かがないか調べてくれっ!
『報告:職業を確認。
クロノス神のフォローのために、
地球での帳尻あわせに動く残念な人。』
…。
……。
怪しい人、
いや、残念な人、ごめんなさい。
なんか、色々な事情があるんですね…。
君に幸あれっ!
びしっ!
「量が多いですね。
5分少々お待ち下さい。」
5分で終わるんだ!
凄いなぁ…。
「お待たせしました。
全部で12億4701万6000円でいかがでしょうか?」
はいっ???
数字を聞き間違えたかな?
「いつもより、少なくない?
まぁ、いいや。
それで、お願いねー。
即決、現金でお願いします。」
残念な人は、顔を引きつっている。
きっと、いつもこうなんだろう。
現金で受け取ると、
そのまま全額俺にくれた…。
そして、クロノス神の転移で、
会った場所に戻ってきた。
って、マズくないか!?
突然、人が消えて戻ってきたんだそ!?
俺は慌てて、周りを振り返る。
「大丈夫!
転移と合わせて時間を巻き戻したから、
誰も転移したなんて、気づかないよ。」
さすがクロノス神!
まじ、凄い…。
会った瞬間まで時が戻った。
「ありがとうございます。
助かりました!
それでは、時間がないので、
さっそく買い物に行きます。」
そういえば、クロノス神はメイド喫茶に、
興味を持ってそうだったな…。
「そういえば、お勧めのメイド喫茶は、
○△という店ですよー。」
「そうなんだ。
行ってみるよー。」
そして、俺はクロノス神と離れた。
ってか、向こうの世界で、
錬金して金を稼げば、
それでよくないか!?
『報告:クロノス神より、伝言を受けております。
需要と供給に問題が生じるため、禁止しますとのことです。』
ウィズ、いつの間に伝言機能を持ったんだ…。
まぁ、深く考えるのはやめて、
買い物いくか。
~その後のクロノス神~
「すっごい、楽しいーー!
いい店を教えてもらったなぁ。
今度、朝霧海斗くんに何かお礼しなきゃ!」
どうやら、とっても満足したようだ。
~その後のカイン~
とりあえず、本屋だ!
時間があまりない!
ショッピングセンターに行こう!
「○△ショッピングセンターへ転移!」
転移先は、もちろん人がいないとこだ。
本屋に着いた。
どれも至高の一品だ。
選ぶ時間がもったいない。
えーい、面倒くさい!
「すいません、ここからここまで!」
エロ本コーナーの店員、驚く。
あっ、マンガも欲しいんだ。
途中のは、続きが気になるから、完結したので。
「すいません、完結してるマンガも全部!」
やべっ、少女マンガもカテゴリーに入ってしまう。
『提案:私の知識向上のために、専門書の購入を提案します。』
それは、大事だなぁ。
「専門書も、ここからここまで!」
街づくりのゲーム攻略本も忘れず買った。
続いて、食料品売り場。
料理の基本、砂糖、塩、酢、醤油、味噌…。
ええぃ、めんどい!
調味料系、その他色々と全部買おう!
「すいませーん。
ここから、ここまで!」
続いて、植物コーナー。
稲、売ってるな。
よしっ、食べれる系は全部、買おう!
「すいません、食べれる植物、全部!」
文房具も欲しい。
「すいません!
全部!」
その日は、○△ショッピングセンターにとっては、
奇跡の一日であり、七不思議の一つとして語り継がれる日となる。
売り上げは、過去と未来におい、最高となり、日本全店で1位を記録した。
常に下位のランキングだったので奇跡と思えても不思議ではない。
ただし、不思議が残る。
買ったのは個人だ。おそらく石油王ではないかとささやかれる。
そして、大量に買った物をどうやって持って帰ったのか、誰も姿を見ていなく、誰にも分からなかった。
次回、『18.この世界での儲け方 』へつづく。