11. vs.クロノスナンバー9 ①
「さぁて、どんどんレベルを上げるぞっ!」
俺は魔獣がいる草原にきていた。
チート能力がある俺には怖いものなんて何もない。
ウィズ、狩りにお勧めの刀はあるかい?
『解:ハヤブサをお勧めします。』
「OK!
召喚!ハヤブサ!」
おっ、軽いぞ!
なになに刀自身に能力ある。
能力:瞬斬
めちゃめちゃチート武器きたー!!
これを装備しよう。
「おっ、魔獣の群れを発見したぞ!」
ライオン型の魔獣が群れている。
なになに?
キャットライオン?
可愛い名前だなぁ。
さくっと、瞬殺した。
見た目も可愛いけど、基本魔獣だからね。
『提案:魔石と死骸については、アイテムボックスに入れることを提案します。
なお、アイテムボックス内は時間が止まっているため、死骸が腐ることはありません。』
おっ、それは便利だ。
換金とかも出来るのかもしれない。
俺は提案を受け入れることにした。
魔石は、後々、役に立つかもしれない。
今度は前方から、こちらに向かってくる別の魔獣を発見した。
なになに?
ドックウルフ??
目がつぶらだ。
さくっと、瞬殺した。
その後も、狩りを続け、魔獣を圧倒した。
途中、ゴブリンが大量に現れたが、
どうも怯えている。
可哀想に、本能で俺に怯えたんだな。
まぁ、チート能力を持った俺が相手だから、仕方ないか。
俺は、あまりの魔獣狩りの容易さに、
うぬぼれている。
それにしても、どうも同じ方向から魔獣が来る気がするぞ。
ウィズ、分かるかい?
『解:不明です。通常、より強い存在がいることにより、魔獣や魔物が逃げ出すことがあります。』
ってことは、強い何かがいるってこと?
一気にレベルがあげられるかも。
行ってみよう!
まぁ、俺なら楽勝だろう。
…。
……。
やけに静かだ。
静かすぎる…。
赤い池がある…。
いや、よくみると魔獣の死骸があちこちに転がっている。
魔獣の血で池となったようだ…。
魔獣の死骸は1000体以上はいるかもしれない。
ん?
あそこに人が立っている??
あっ、こっちを向いた。
『警告:逃亡して下さい。』
『警告:逃亡して下さい。』
『警告:逃亡して下さい。』
『報告:防御シールドを展開します。』
あれ?
何が起こったんだ??
時間がゆっくり感じる…
えっ?
俺の左腕が宙を舞っている??
『報告:防御シールドを切り裂かれました。』
『報告:再生を使用し、左腕を完治します。』
一瞬の出来事だった。
今、俺の左腕は完治している。
でも受けた痛みが消えるわけではない。
「ぐっ、ぐわぁぁぁぁ!!」
目の前に優男が立っている。
黒髪で長身だ。
飄々とし、常に、ニコニコと笑っている。
なんだ、こいつは。
冷や汗が止まらない!
ダメだ、こいつはヤバい!
ヤバい!
本当にヤバい!
逃げ出すしかない!
ウィズ、転移だ!
『拒否:発動と同時に切られ、絶命します。』
なんだと!?!?
そんなわけあるか、俺はチートの権化だぞ!!
男は話しかけてきた。
「あれっ?
何か能力使うつもりじゃなかったの??
なぁんだ、切ってあげようと思ったのに。」
男は不思議そうにしている。
???
なんなんだ、子供がおもちやと遊ぶ時のように無邪気な声で話してきたぞ!!!
スパン!
右足が体から離れた。
『報告:再生を使用し、右足を完治します。』
「うっ、うわぁぁぁぁ!!」
一瞬の出来事だ。
なんだ、何が起こっている!?!?
俺は痛みと恐怖で涙が止まらない。
こ、怖い!怖い!怖い !怖い!怖い!怖い!怖い! 怖い!怖い!怖い!怖い!怖い! 怖い!怖い! 怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!
『報告:恐怖耐性を獲得しました。』
違う、そんな報告は今はいらない!
早く逃げ出すぞ!!!
ここにいたくないんだ!
「あれっ、動けないの?
つまんないの。
ウゴケナイナラ…、
シンジャエ!」
『強制:自動オートに切り替えます。』
キィン!
刀と剣がぶつかり合う。
「???
あれっ?
雰囲気かわった!?
なんか、いい感じかも。
じゃあ、次はもっと早く動 く よ ー」
声が、立っていた位置に置き去りにされる。
キィン!キィン!
吹っ飛ぶ俺。
すかさず何十本の短刀が俺に向かってきた。
『報告:雷帝憑依を使用します。』
空中で雷帝憑依を唱えた。
俺に雷が落ちた。
そして、俺は雷を纏い雷と化した。
降り注ぐ短刀をひたすらなぎ払う。
『報告:魔道の極みを使用します。』
広域殲滅魔法ギガフレアを、収束して、男に放った。
あたり一面を焼け野原にする魔法を、人間一人分に収束して放ったのだ。
本来であれば、人の体など、欠片も残さない威力だろう。
しかし、ギガフレアが当たったと思った瞬間、消えてしまう。
『報告:相手の能力判明。
次元関与と断定します。
現在確認された効果は、次元切り・次元跳躍・次元指定』
次元切りにより、俺の防御シールドは切り裂かれた。
次元跳躍により、一瞬で俺の周りに短刀が出現した。
次元指定により、ギガフレアは別次元へ指定されたことにより存在していられなくなった。
男は突然、止まって俺に話し掛けてきた。
「ねぇねぇ、君の名前おしえてくれるかな?
僕の名前はグリード。
クロノスナンバー9だよ。
こんなに楽しいのは久しぶりだよ!
もっともっと死合いしよう!
あー、興奮して、たっちゃいそう。」
『提案:時間稼ぎのため、会話を提案します。
平行して相手の能力の対抗策をシミュレーションします。』
くっ、分かった。
苦しいが、やるしかない。
「俺の名前は、カイン・レオンハルトだ。
お前は、何者なんだ??」
恐怖耐性を取得したからか、会話はできるぐらいまで精神は回復している。
「んー、なんかね、君を殺すよう言われてきたんだよね。
強い相手と闘える機会をくれるって約束してたから、君を紹介してくれたんじゃないかなー。
強い相手でよかったよ。
でなきゃ怒り狂って、皆殺しにしてたもん。」
「誰に紹介されたんだ?」
「弱いやつには興味ないから、忘れちゃった。
ルッコラ?みたいな名前-。」
「ルッソニー宰相?」
「そうそう、それー。」
会話が続かない…。
たぶん、ただのヒューマンのはずなのに、
別次元の生き物と話しているようだ。
ウィズ、まだ対策ができないのか?
『 』
ウィズ?
どうしたんだ、ウィズ?
「君さぁ。
なんか変だよねー。
凄い能力もってそうなのに、
まったく使いこなせてないよね。
変なの-。
まぁ、いいや。
あぁ、でも青い果実って、
何でこんなに美味しそうなんだろう。
だめだ、もう我慢できない、
ねぇ、カインくん、俺と しよっ。」
剣がキラリと光った。
ヤバい!
こいつは、本当にヤバい!
死ぬ!
『報告:能力を統合し多重次元を使用できるようになりました。防御シールドと同時に展開して下さい。』
『報告:オーバーヒートにより、ウィズの機能は一時休止します。』
ウィズ、さっきのは返事をしなかったんじゃなくて、返事ができないくらい追い込まれたのか!
多重次元!?
何か分からんが、
ウィズ、信じてるぞ!
多重次元発動!
防御シールド展開!
ガキン!
防御シールドが剣を受け止めた。
「あれ?
なんか、色んな次元が干渉してる?
切れないなんて、初めてだ!
あー、なんて今日は楽しい日なんだ。
んー、見た感じ100個の違う次元が干渉してるってとこかな?
じゃあ、100通り試そう!」
ガキン、ガキン、ガガガガ…。
シールドがどんどん削られていく。
マズい、このままでは
防御シールドが破られるのは時間の問題だ!
どうすればいい!
そしこうしてるうちに、
防御シールドは砕け散った…。
そう、時間稼ぎとしての役目をはたして。
「うおーーーーー!!!」
ジャックが現れ、グリードを吹っ飛ばした。
グリードは、遠くまでゴロゴロ転がっている。
完全に油断して、くらってしまったようだ。
助かった…。
次回、『12. vs.クロノスナンバー9 ② 』へつづく。