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ようこそ、異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語  作者: 蒼井 Luke
第1章 伝説の始まり
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1.プロローグ

初作品です。暖かい目で見守って下さい。

【???】


目を開けると、そこは見慣れない部屋だった。

ぼんやりとしか見えないものの、真っ白な部屋だ。窓も扉もない。学校の教室ぐらいの大きさだ。

俺は何故か一人で、その部屋にポツンと立っていた。


頭が、ぼーっとしている。

ダメだ。

こういう状況が分からない時こそ、冷静に物事を考えてみなきゃいけない。

まずは、状況を整理しよう。


俺の名前は、『朝霧海斗』。

大学3年生の男性だ。

容姿は普通。頭の良さも普通。

特に何事もなく、いわゆる普通の人生を歩んできた。


恋人?学生の本分は勉強なのだから、いるわけがない。

いや、決して強がりなんかじゃない。作ろうとしなかっただけだ。

…ということにしておいて欲しい。(ぐすっ。)


よしっ、自分自身のことに関する記憶には、特段の問題はない。


次は状況整理だ。

たしか一人でカラオケに行ってて、突然、部屋が光り始めたんだ。


あれ?

そこから記憶がないぞ。


つまり、この部屋はカラオケ部屋か、それとも別の部屋かのどちらかになる。

カラオケ部屋なら、俺の五感がおかしくなっているし、別の部屋なら俺の常識を超えた状況となっている。


もし、後者であるのならば、よくある話しとして転移または転生ものだろう。

自分の姿は、鏡がないので見れない。

だが、長年、付き合った体なのだ。

なんとなく分かる。

今のところ、日本で過ごしたままの体だ。


そんなことを考えていると、声が聞こえてきた。

話しかけてきた人物を見るが、ぼんやりと人型であることぐらいしか判別できない。

俺の感覚からすると、突然、現れたように感じた。


「朝霧海斗くん、目を覚ましたのかな?」


!?

俺の名前を知っている?

一体、何者なんだ!?


この時点で、ようやく声が出ないことに気づいた。

それだけではなく、立ったまま体も動かない。


「突然だけど、ぱんぱかぱ~ん。

君は13番目の転生者となりました!

おめでとう!

そして、ようこそ異世界『オルヴィス』へ!」


ダメだ、頭が上手く回らない。

何を言ってるんだ?

13番目??

転生者!?

異世界!?


人数は、まぁいい。

同じような状況の者が他にも12人いるのだろう。

だが、この部屋には他の人は見当たらない。

俺が目覚めるのが遅かったか、別の部屋のどちらかなのだろう。

そして、『転生』と『異世界』か。

思い込みは厳禁だが、その二つの単語で、ある程度の状況が分かってくる。

この神によって、異世界転生をさせられているのだ。


「突然だし、びっくりだよね!

本当は別の12人の転生者を異世界へ呼ぶつもりだったんだけど、うっかり間違えちゃった!

てへっ!」


ん?思考を読んだ!?


「って、間違えただって!?」


自分でも驚いたが、声が出せるようになった。

それと同時に体も動かせるようになる。

まず、自分の体を触って感触を確かめる。間違いなく日本で過ごした自分の体だ。

そして、念のため頬をつねってみる。

痛い…。

どうやら、夢ではないらしい。


「うわっ、凄い!

もう声を出せて体も動かせるんだ。

他の転生者は、転生か能力付与の影響かは分からないけど、しゃべれなかった者が多かったからね。

そう、思考を読めるよ。

だって、僕は神だもん。」


そういって、自慢気に話す人物をよくみると、ぼんやりとしていた体がはっきりと見えてきた。

そこには、絵画の世界にしか存在しないような男性が立っていた。

正直、イケメンすぎて、眩しい…。


「照れるなぁ。

さて、改めまして、朝霧海斗くん。

僕の名前は『クロノス』。

時の神と呼ばれる神様だよ!」


キリッとして、ドヤ顔をしている。

だが、キリッとできていない。何故ならどことなく、適当そうな雰囲気を出しているからだ。

よく見ると、無造作ヘアでもなく髪の毛は寝癖がある。

いったい、どんな神さまなんだか。


俺は思わず、唾を飲み、落ち着きを取り戻した。


「失礼しました。

先ほど間違えたとおっしゃられていましたが、

何があったのでしょうか?」


急にそわそわし始めるクロノス神。

顔をあさっての方向を向けて話し始める。


「それがさぁ、僕もうっかりしてて…。

本来は君の近くにいた他の人を転生させるつもりだったんだけどね。

近くで、たまたま君が歌を歌ってたんだけど、おもいっきり音程を外しちゃったでしょ?

つい、ずっこけて、座標指定先が変わってしまったんだよね。

つまり、ずっこけたその拍子に君が転生者になってしまったんだ。

でも、大丈夫!

改めて当初予定してた人達は、しっかり転生させたから!

さすがだね、僕!」


いや、自分を褒めるとこじゃないから!

あー、それで間違えたって言ったのか。

どうやら、俺は予定外の者だったらしい。

それにしても間違えるなんて、抜けてるな…。

決して俺の歌声に問題があるわけではない。

人と神では感性が違うだけだ。

うん、間違いない。

って、マズい!思考を読めるんだった。

気を付けよう。


クロノスを見てみる。

あまり気にしていないようだ。

よかった。

神を怒らせると何があるか分からないから、穏便に事を済ませる方がいいに決まっている。

よしっ、思考を切り替えよう。


それにしても、神か…。

そう考えると緊張してくる。


「さ、さようでござりまするか。

では、私は用済みかと思いますです。

元の世界に戻して下さい。」


自分でも思う。ひどい日本語だ。

でも仕方ないだろう。

神と話したことがある人なら、分かるかも知れないが、かなり緊張してしまう。


まぁ、なんというか、いまだに自分が置かれてる立場も分からないのに神様と会話なんて、普通はムリ!

個人的には、マシな方だと思うことにしよう。


「あっはっはっ。

ひっどい日本語だねー!

あっ、それと、ごめん。

この部屋まで来たら、もう元の世界に戻せないんだ。

朝霧海斗くんがいた事実はなかったことにしちゃってるから、元の世界へ戻すと、つじつまが合わなくなるんだよね。

というわけで、もう戻せません。

どんまいっ!」


なんだろ、このモヤモヤ。

だんだんイライラしてきた。

えーい、色々と言いたいことはあるけど、諦めが肝心か。


「分かりました。

ちなみに何で転生者を集めたんですか?

それと、間違えたお詫びに転生先でチート能力をくださいませんか?」


おっ、うまく 話せた。

それに間違えたのだから、それぐらい主張しても許されるだろう。


「転生者を集めたのはね、

正直、最近は暇をもてあましててさぁ。

科学しか知らない人を剣と魔法の世界に連れてったら、どうなるんだろうって思ったのがきっかけ。

それとね、チート能力なんだけどね、すっごいよ!

向こうに行ったら、重宝されまくりな能力を取り揃えたんだ!」


???

理由は暇だったからなんとなくってこと?なんだか、怪しい。まぁ、余計な詮索は無用か。

穏便に事をすまそう。

それにしても、神様がそこまで話すのなら、チート能力は凄そうだ!

なんか、ようやくテンションあがってきた!!

うん、年甲斐もなく、わくわくしてきたぞ!!


「でも、12個までしか用意してなくて、余計に増えた君の分はないんだ、ごめんね。」


…。

……。


「えっ………?」


そして、部屋が輝き出す。


「あっ、時間みたい。

せめて、生まれは良いとこにしてあげるから許してねー。

あと、魔物や魔王がいる世界だから上手く生き延びなよー。

じゃねー。」


おいっ!

もう我慢できん!!

なんじゃ、そりゃ!!!

この、○×△□(大人の都合により自粛させていただきます。)


そして、俺は光の渦の中で気を失った…。




オルヴィス暦1789年。


その年のある晩、12個の流星が一斉にフィーナ国の上空を流れた日、

同じ日、同じ時間に13人の子供が一斉に産声をあげた。


ある者は、王都フィーナ城で。

ある者は、公爵家で。

ある者は、市中で。

ある者は、森で。

ある者は、…

ある者は、…


そしてその日、

各地の教会は、神より、神託を受ける。


「クロノス神の加護を受けし12人の子を、

クロノスナンバーとして現世に使わす。」


教会は神託を受け、クロノス神の加護を持つ者らの保護を赤子のうちに行おうとする。

しかし、特定できないため、すぐに保護することは叶わなかった。


また、オルヴィスの世界では古くからの慣習がある。

生まれながらの能力を確認するために、生まれた時にステータス確認をすることだ。


教会の神託をまだ知らない人々らは、子供たちのステータス欄に『クロノス神の加護』と、英雄となるに相応しい個々の能力を確認すると、歓喜した。

人々は、その子らをクロノスナンバーと呼び讃え、いつか魔王を打倒し、平和を訪れさせてくれることを期待するのだった…。


しかし、子供らの親は危惧する。

教会がクロノス神の加護を持つ赤子を探し始め、最初にその存在が分かった赤子は、教会に保護された。

だが、いつの時代でも同じように、フィーナ国では王家と貴族が争っていたのだ。

教会だけでなく、政争のために王家や貴族に、子供たちを政争の道具にされかねないと親たちは危惧したのだ。

クロノスナンバーと呼ばれる子たちの何名かは、親の手によってクロノスナンバーであること事態を秘匿されていくこととなる。


それから、時は経ち、クロノスナンバーたちは18才となった。


ここから、異世界『オルヴィス』で、フィーナ国より始まる伝説と語り継がれる時代の物語は始まることとなる。



次回、『1.始まりとステータス』へつづく

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