第4話 やはり馬車代をケチったのが痛かったか。
初めてのクエストだけど、なんとかなるよね。
そう思ってたさっきの自分を殴りたい。
「て、撤退だー!!」
街を出て間もなくオレたちはUターンすることになった。
「くっ! まさか村にたどり着く前にまた戻ることになるなんて……!」
「道中にもモンスターはいますからねぇ。そう考えるとここに来る前は運がよかったんですね」
一匹だと問題はなかった。しかし敵は複数だったのだ。野犬ウルフに囲まれてしまっては手の出しようがない。そうしてオレたちはむざむざと中央都市に戻ってきたのだ。
「むむむ……やはり馬車代をケチったのが痛かったか」
「装備代もですよ。なんですか太刀だけだなんて。生身で挑むつもりだったんですか?」
「だ、だって金かかるじゃねぇか。それにほら、敵の攻撃を上手く避けりゃ――」
「こんなところでケチってどうするんですか。お金は使うためにあるんです。そして使った人にはお金が舞い込むのです。ケチっていたら何も始まりませんよ」
「……ごもっとも。ちゃんとお前に従うよ。まず何をすればいい?」
「装備もですけど、まずは仲間からですかね」
「そうなると、酒場か」
「あ、あとその鉄くずは売ってもっと良い物買いましょうね。酒場のあと武器屋、です」
そして酒場へとカムバック。マスターは再び現れたオレに目を丸くしていたが、事情を話すと大声で笑い飛ばした。
「笑うな。こっちは真剣なんだ」
「くくく、すまないすまない。そういうことなら協力は惜しまないよ。ほら、これが今手元にあるリストだ」
懐から羊皮紙のリストを手渡される。そこには何人かの名前と金額が書かれていた。そしてカウンターをはさんでマスターの話が始まった。
「おすすめはこいつだ。Aランク冒険者クラウディオ・クロウ。なんといってもAランクだし、そして雇用金も破格の5000シリルと――」
「却下。こいつらにする。ウイロウとチャボ」
「Dランクを二人……? なんでだよ?」
「安いから」
「そんな理由でいいのかよ!?」
「いいんだよ。じゃ、こいつら呼んでてくれよなー」
マスターに別れを告げて酒場を出る。
「あえて何も言いませんでしたけど、本当にいいんですか?」
「いいのいいの。敵の注目が分散してくれればそれだけでずっと戦いやすいし」
「だから前線二人を雇ったわけですか……タケルさんがそれでいいならかまいませんけど」
「さてと、次は装備だな。ここは失敗したくないし、ちゃんとお前の意見も聞かせてくれよ?」
「その代わりちゃんと従ってくださいよ?」
「わかってるって」
「ウイロウです」
「チャボです」
冴えない二人の自己紹介が終わったところで、オレたちは再びエド村へ向けて出発した。
「馬車は使わないんですか?」
「節約できるところは節約すべきだろう。徒歩でいいよ徒歩で」
「……そうですか」
何か言いたそうなシャルの視線を浴びながら先を進む。途中、何度かモンスターと遭遇する場面もあったが、雇った二人がタゲを取ってくれたこともあって楽に攻略することができた。仲間が増えるだけでもこうも違うものかと感心するところだった。
「しかし太刀の買い取り価格が買った値の半額以下ってどういうことだ? 買ってからまだ一、二回しか使ってないというのに」
「商売ってそういうものですよ。高く売って安く買う。あとはタケルさんの交渉能力が低かったせいもあるでしょうねぇ」
「ち、そういうところはとことん苦手なんだよな。やっぱそこは得意なシャルに任せて――」
「お金取りますよ?」
「やっぱやめる」
「ふふふ。そうこうしているうちにほら、見えてきましたよ」
シャルが遠くを指さす。
ようやく目的地に着いたのだ。
【今回の収支】
・雇用金(二人分) -200シリル
・装備品 -1,500シリル
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合計 -1,700シリル
目標マデあと 3,998,300シリル