死ンデレラ
ここはとある国。女癖が悪くて有名な王子がいました。
今日は舞踏会の日、魔女が墓地を訪れました。
魔女はお墓の前に立つと呪文を唱えました。すると土の中から棺が現れ蓋が中から開き少女がでてきます。
その姿は既に綺麗なドレスを身にまとい大変美しい姿だった。
「あれ、わたしなんで?」
「あなたは不幸な死をした。だからこれは私からのプレゼント。今日だけでも楽しみなさい。お城で舞踏会があるわ、行ってきなさい」
「私がいいんですか?嬉しいです!」
「ただ1つ注意して、魔法は12時に解けるから。それまでに戻ってきなさい。王子の前で死体にはなりたくないでしょ」
「わかりました。ありがとうございます!」
お城に着きました。ここまでは魔女が出してくれた馬車で来ました。
中に入るととても煌びやかで生きてる時にずっと想像しかできなかった世界が目の前にひろがっているのです。
大広間に入るとたくさんの人がすでに踊っていました。綺麗なドレスを身に纏ってる人が多くつい自分のドレスと見比べてしまいます。
勇気を出してダンスしている場に降ります。
「なんと美しいお人だ!」
すぐに一人の男性が話しかけてきました。見たことがある顔でした。その方はこの国の王子でした。
「一緒に踊ってはくれませんか?」
「は、はい」
夢ようです。まさか王子様と踊る事が出来るとは思いませんでした。
ダンスはあまり上手くないですが優しく王子様がリードしてくれます。
楽しいひと時でした。時間を忘れ踊り続けました。気づいてないようですが周りで踊っていた人たちは踊るのをやめ皆この2人のダンスに魅入っていました。
ふと、時計を見ます。なんという事でしょう。もう12時まであまり時間がありません。
「王子様ごめんなさい。帰らなければなりません。楽しい時間をありがとうございました」
「待って、今日はもう帰らずに僕の部屋で一緒に過ごさないか?」
「嬉しいお誘いですが私はどうしても帰らなければならないのです」
そう言って駆け出します。王子様は追いかけてきました。
階段に来た時足を取られこけてしまいます。そして立ち上がろうとした時王子様に追いつかれました。
「足も痛いだろう?だから今日は泊まりなよ」
腕を掴まれ王子の部屋へと連れて行かれます。なんと言っても話してはもらえませんでした。
あれよあれよと部屋へと連れ込まれます。部屋にある時計を見るともう12時直前でした。亡骸をみせるわけにはいきません。
「お願いです!離してください!帰らなければいけないのです!」
手を振りほどこうと必死にもがきました。しかし男性の力には敵いません。
「安心しろ。最初は怖いかもしれないがすぐ慣れる。私に任せておけ」
「嫌です!お願いです!離して!」
「ええい!この国の王子である我とできるのだぞ!なぜ嫌がる!」
そう言って王子は床に押し倒そうとします。その瞬間、時計の針が12を指します。
力なく倒れました。
「おい、どうしたんだ。おい!」
「どうしましたか?さっきから騒がしいようですが?」
部屋の扉が開きメイドが入ってくる。そこでメイドが見たのは倒れてる女性、それに覆い被さるようになっている王子。女性の方は顔は青ざめ目は見開きどう見ても生きている人がする表情ではなかった。
メイドが咄嗟に叫んだ。その声を聞き近くにいたメイドと兵士が寄ってくる。
「王子、これは?」
「ち、違う!僕じゃない!」
この騒ぎを誰かが王に伝えこの場に王が現れる。
「父さん!聞いてくれ!僕じゃないんだ!」
「お前は黙っていろ。最初に見たもの。話を聞かせてくれ」
「はい、12時前なんですが王子の部屋から女性が騒ぐ声がしたんです。ですが急に女性の声が聞こえなくなり不安になって部屋に入ってみるとそそこの女性に覆い被さるように王子が」
「なるほどな」
「父さん僕の話も聞いてくれ!この女性が急に死んだんだ。ぼくのせいじゃない!」
「さっきまでその女性は元気に踊っていたのだろう。そんな人が急に死ぬと思うのか?そこの兵士、王子を私の部屋まで連れてこい」
部屋から王子と兵士は居なくなりメイドたちだけとなった。
「私が彼女のご遺族を探して届けます。あなたたちは普段の業務に戻って」
最初に入ってきたメイドが他のメイドを戻らせ少女の亡骸を持ち上げた。
王子はこの事件をもとに失脚。両親から絶縁を言われ城から追い出された。その後どうなったか誰も知らない。
この後貴族の息子が王子となり舞踏会で運命の人と出会うのはまた別の話。
「ん?あれ、私死んだはずじゃ?」
なぜかまた目が開きます。するとすぐ近くに見たことのある女性の顔がありました。メイドさんの格好をしています。
「数時間振りね」
「あなたは、魔女さん?メイドさん?」
「どっちもよ。ごめんなさいね、貴女の命を利用するような真似して。なんとしてもこの形であの王子を貶めたかったの。お詫びと言ってはなんだけど貴女を生き返らせたは。厳密には少し違うけどね」
「いえ、別に怒ってません。感謝したいくらいです。こんな経験できませんでしたしね。でもこれからどうしましょう。2度死んだ身、町に出ればとんだ騒ぎになるでしょう。家には帰りたくないですし」
言っててあれですが2度も死んだ人なんているのでしょうか?1度でさえ無理だというのにすごい特別な人になった気分です。
「そうね、じゃあ私の家に来る?魔女という身、町に出れないのは一緒よ」
「魔女さんが良いのならお願いします。」
「決定ね。これからよろしくね」
「はい。不束者ですがよろしくお願いします」
これから少女と魔女は二人で手を取り合い幸せな人生をすごす。
この物語はここでおしまい。
題名からわかるとおりシンデレラのパロディです。twitter上で友人向けに書いてたのをせっかくだから投稿したって感じです。初投稿です。
その為とても短いです。ごめんなさい。
魔女の過去の話(王子に復讐した理由)とか少女の家庭事情とかも考えてはいますが構成上いらないかと思って書いてません。魔女の過去の話はいつか書くかも。
あとこれは百合に入りますか?