出会い3 プロの域
11月23日 京都のユースホステルにて
木下重幸 土屋くんは、京都は初めて?
真司 中学校の修学旅行で来ただけ。
木下重幸 じゃあ、清水寺、金閣寺なんかは見ているんだね。
真司 その二つは覚えていますね。
木下重幸 折角京都に来たんだから、
明日は観光はするの?
真司 そのつもりです。
木下さんは京都詳しいんですか?
木下重幸 京都は、歴史ある街だから
大好きだよ。
年に2、3度くるかもしれないね。
真司 住んでいるのは、どちらなんですか?
木下重幸 長野県の諏訪湖はわかる?
真司 なんとなく聞いたことがあります。
木下重幸 諏訪湖畔の旅館で調理人をやっているんだ。
真司 日本料理ですか?
木下重幸 基本は日本料理かな。
洋食を出すことあるけどね。
真司 カフェでバイトをしていて、
サンドイッチくらいはやっと作れるように
なったんですけど。
旅館の調理人といったら、技術がすごそうですね。
木下重幸 どうだろうね。
まだ10年、修行の身かな。
真司 でももうプロですよね。
木下重幸 プロって表現は難しいな。
仕事をやって、お客様に喜んでもらって
それに見合うお金をもらったら、
プロだからね。
仕事で生計を立てられたらプロと認識しているけどね。
真司 でも、料理人はプロの域とかありそうな気が
していたので。
木下重幸 そうだね。
そんな見方をすると、難しいね。
真司 野球選手とか、サッカー選手なんかは、
プロとアマチュアの差がわかりやすいよね。
木下重幸 俺も就職した時から生計を立てて
いたけど、プロとは呼べなかったけどね。
真司 給料でも生計を立てるって言えるのかな?
木下重幸 土屋くんは、なんか難しいことばかり、
次々と考えるね。
自分でお店をやって、料理を作って
生計を立てられれば、それはプロだね。
料理を作らなくても、お店をやって
成功すれば、経営のプロ。
真司 そうか、料理が下手でも自分のお店を
もって生計を立てられればプロっていうのか。
木下重幸 そうだね、俺みたいに雇われ料理人は
いつからプロの域に入ったんだろうね。
真司 サラリーマンだと、プロの営業マンなって
ことも言われるよね。
その境目がなにかわかればいいんですね。
木下重幸 なんか、高校生と話している気がしないな。
大人として、いい答えをだして
あげたいけど、この話はちょっと難しいね。
真司 ごめんなさい。
でも、以前も新幹線の中で出会った大学生に
プロフェッショナルの意味を言われたことがあるんだ。
木下重幸 その大学生はなんて言ってたの?
真司 プロフェッショナルは期待に応える、だって。
木下重幸 期待に応えるか、的を得ている感じもするね。
真司 でも、木下さんと話して、プロの意味が
難しいことがわかってきた。
木下重幸 俺も勉強になったよ、
プロってことを少し考えてみようかな。
そうすると料理人として、料理を作る
意味がわかるかもしれないからね。
真司 すみません。ありがとうございました。
木下重幸 そうだ、京都のオススメの観光地を
教えていなかったね。
真司 お願いします。明日どこに行くか決めていないので。
木下重幸 龍安寺というお寺にいってみたら、
いいかもしれないよ。
真司 龍安寺。何があるんですか?
木下重幸 それは行ってからのお楽しみ。
とても落ち着くお寺だよ。
ここからだと、歩いて20分くらいで
行けるから。
真司 じゃあ、まず最初にそこに行ってみます。
(つづく)