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帝都のいけにえ ネアゲ・オブ・タクシーリョウキン リメイク前

俺とアリサがカフェでコーヒーとケーキを食っていた時のことだ。

しょっぱい物を食べた食後と言う事もあってか、手にするフォークは想像以上に早く動いていた。

そのため、まぁ、10分は持つだろうと思っていたケーキの壁が、わずか5分で崩れ去ったのは悲しい事だった。

食い終わって、さて、お勘定を済ませて、とっとと事務所に帰ろうか~と、話していた時のことだった。

「ふぇぇぇ~おかしいですぅ~……」

と、何か間抜けな、しかし泣き出しそうな声が聞こえて来た。

何だろうと思い、そちらに目をやると、

和服を着た、明らかに田舎者の女と、

洋服を着た、丸々と太ったタクシードライバーがいた。

一方は何か文句を言っているようで、もう一方はうんざりとした様子だった

ふむ。トラブルの(にお)いだ。

「いやいや。ね、嬢ちゃん。此処までタクシーでやって来たんだ。1円なんかじゃとてもじゃないけど、足りないよ。3円と90銭。ちゃんと出してくれないと、ね?僕だって、見るからに田舎者のお嬢ちゃんにこんな事を言うのはさ、気がね?うん。引けるんだよ」

そういう太った男の言葉に和服女は

「で、でも~……」

見るからに泣き出しそうだった。

あの和服女には悪いけど、面倒事は御免だと、歩き出そうとしていたら

「……主よ、何処へ行くのじゃ?」

アリサに、袖をつかまれた

「何処って……家にかえ……」

「よもや『家に帰る』などと言わんじゃろうな?」

「……ぅ……何で駄目なんだよ……お前だって、面倒事は嫌いだろ?」

予想外の静止に驚きつつも、聞く。

コイツは気まぐれだが、意味のない事をしようとはしないはずだからだ。

「何故か?じゃと?……フン、たわけ。あの女が背負っている背嚢に記された紋が見えぬのか?」

「紋って……!?あの五芒星、まさか晴明紋!?」

「そうじゃ。……田舎娘が洒落や道楽であの紋を(えが)いている背嚢など、背負うまい。まぁ、もっとも、今では陰陽寮が廃止されて過去の人となったがな。……それに、名も知れぬ分家と言う可能性もある。本家の娘がこんな所にいる訳ないからの。しかし、じゃ。分家だとしても、その陰陽道は本物。長年培われてきた陰陽道はなかなかの物じゃ。此処は一つ、あやつに恩を売っておくのが得策と言えるぞ?」

(……成程。確かに悪くない話だ。自分達は陰陽師に滅される立場にあるけど、こんな真昼間から滅しにかかってくるわけない。……大体、あの状態で俺達がどういうやつか判断できるとは思えない……此処はいっそ、滅される前に恩を売っておくのが吉か……)

悪くない話だと考え、にやりとアリサとともに笑うと、彼女を助けるために歩いて行く。

道を横断して、いよいよ相手たちが近づいてきた。

「だ、大体、まだ江宮様のお家の前じゃないじゃないですか~」

「いやいや、お嬢ちゃん。少なくとも江宮様のお(いえ)に行くまでには10円はかかりますよ?……こう言っては何ですが~とてもじゃないですけど、お嬢ちゃんにそれだけのお金を支払う事が出来るとは思えませんし~」

「うぅ~……でもぉ~……」

と、何やら話が長引いている所へ、俺が颯爽と切り込んでいく。

「通りすがりの真壁というものだが、お嬢さん?どうかされたのかな?」

帽子のつばを掴み、やや斜めからのキメ顔で訊ねる。これで掴みは完璧だ。

一瞬、それまで喋っていた男と、和服女が黙り、そして、後ろでアリサが堪え切れなかったのか、噴き出すように爆笑する。

……確かに柄じゃない事をしたけど、そんなに笑わなくても……

「へ……ぁえ、と、はい!!助けに来てくれたんですね!!」

何が起こったのか、少し時間がかかったようだが、状況を飲み込めた和服女は顔を輝かせる。

「ぁ?なんだテメェ?」

対する男は、先程までの(へつら)う様な表情を崩し、(いぶか)しげな顔で見てくる。

「……『僕』が聞くところによると、どうやらタクシーの料金の事で、揉めているようだね?」

気を取り直して、質問する。大方、田舎者がタクシー代をぼられているだけだろうが。

「えぇ!!そうです!!私、東京駅から乗って来たんですけど、此処までで3円90銭もかかるって言われて……」

その言葉に、確信する。やはり、ぼられているだけだ。

「ほぅ?此処までで3円90銭もかかる、と。そうおっしゃったんですね?」

再度確認するようにして、タクシー運転手にプレッシャーをかける。

ソレに対して、タクシー運転手は顔を青くして

「いや……ぁああ。そう言ったさ。それがどうかしたか?」

男は最初こそ弱気だったが、途中から急に威勢良く喋り出した

……どうやら俺も相当舐められているようだ。此処は一つ、理論武装して完全論破してやるか……?

帽子をかぶり直しながら、ふつふつと湧き上がる怒りの感情を抑えて、口元を吊り上げた。

=============================================================

あの時、俺は魔里亜さんたちと別れて、カフェで昼食でも食べて帰ろうかとしていた時のことだった。

行こうと思っていたカフェの店前で、何か大きな笑い声と口論している声が聞こえてきた。

何事だと思い、駆けよってみると、見知れた顔がそこには二人いた。

「ど、どうしたんですか?」

近くで爆笑していたアリサに話しかける。

「ひ、ひゃははは、いや?た、ただ、あそこでうら若い乙女(いなかもの)がカモられていたのを助けにいっているだけじゃが?く、ふ。くふふははははぁ♪」

……ぁあ。なんとなくだけど、理解した。

多分、真壁が、あの太ったタクシードライバーに運賃を誤魔化して払わせられかけていたあの和服女性を助けに行ったところで、口論になったんだな……というか、和服の人、何か慌てふためいてるけど、大丈夫なのか……?

「じゃ、じゃぁ、止めないと……」

「ふふッ♪いや?よいよい……ククッ♪暫くほっておこうではないか……く、ふふふ、ふ♪」

「……はぁ、もう。……いってきます!!」

その反応に、宙を仰いで溜息をつき、そして走り出す

二人を、止めるために


どうも、岡部です。

はい。ようやく、3人が顔を合せました。

と、言ってもまだ、お互い落ち着いて話してないですけどね。

次回から、ようやくまともになると思います。

……まともになるなる詐欺にならないように、努力します……

……つか、真壁とアリサ。お前らまだ劇中で化け物だってこと、江宮とかにばれてないのかよ……まぁ、これまでに出たキャラで何人かは気付いてますけどね。

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