彼らについて俺が知っている2、3の表向きな事柄。 リメイク前
一つ、超致命的なミスをしていた事をお詫びしなければなりません。
2話での沙耶の喋り口調がため口に戻っていなかったという点です。
彼女はあくまで、朋和の母親代わりなので、敬語は基本外でのお仕事モード(朋和の秘書も兼ねているので、どうしても食事会などが断わり切れなかったときだけは付いていく)以外、朝の貴族ごっこしか使いません。
彼女のキャラクター像がはっきりしていない時にぼんやりと書いてしまったためこのようなお見苦しいミスを犯してしまいました。
今後はこのような事がないように気をつけていこうと思います。
……第2話ミス多すぎるだろ……
本気で一旦2話全部書き直そうかな……
「あれ?今日真壁事務所にいないのかな……」
雑居ビルを見上げながら呟くのは、江宮朋和だ。
ここは帝都の入り組んだ裏路地を抜けた先にある、小さな雑居ビル。
(珍しいな……)
彼の探偵事務所は此処にある。
彼の事務所の専門は摩訶不思議や、身の危険が伴う仕事である。どちらにせよ、ものすごく胡散臭い。
(アイツがいるときは何時もカーテンが閉まってるからな……久しぶりに仕事でも入ったのかな?……それとも)
と、朋和は事務所を見上げながら思う。
この事務所は3階建ての煉瓦建築となっており、
1階は漢方薬局
2階は質屋
そして3階に真壁の事務所はある。
しかし、残念ながら今はいないようだ。
諦めて、出直そうとしていると……
「あら、朋ちゃんじゃない。おひさ~♪」
間延びした様な、のほほんとした声をかけられた。
振り返ってみるとそこには
「あ、ラルカスさん。お久しぶりです」
そこには、西洋人で1階の漢方薬店を営んでいる、柔和な表情に緑の目、さらには大きな胸が特徴の店主、ラルカス=マリアがいた。
もっとも、彼女自身は魔里亜と名乗っているが。
「んもぅ、魔里亜でいいって言っているでしょう?それに、此処にきて、私の店に顔も出さないで帰るつもり?」
腕を組みながら、少し怒ったように言う。
「はは……すみません」
少し、まずかったかなと思い、頭に手をやり、苦笑いして下げる。
と、
彼女の胸元を開けっ広げに露出させた豊満な胸が視界をかすめた。
「……ッ!?」
ちょうど目線が惜しげもなく露出させたソレの位置になったのだ。
つい、朋和は頬を赤くして、見とれてしまう
「……あら?……ふふふ……」
すると、彼女は悪戯に眼を光らせる。
それは、獲物を前にした獅子のような――
――いや。違う。それは、玩具を前にした、子供のような。
にんまりと、ご満悦な。しかしどこか遊んでいるような。
だが、思っていたのとは違う。いや。これでは無いと、いったところか……?
まぁ、なんにせよ。だ。
そんな表情の変化は胸を凝視している自分が気づくはずもないわけだが。
「それにしても、こんなに胸が大きいと、肩が凝っちゃうわねぇ~……」
そう言いながら、組んでいた腕を、大げさに上げて胸をさらに強調する。
更に肩を揉むと見せかけて、胸を片方、寄せ上げるのだ。
「!?」
朋和は、目の前で起こる現象を、生唾を飲み込み、食い入るように見ていると……
「あんさん、そこらでやめておきんさい」
上から、声がかかって来た。
「ふぇあ!?」
醜態をさらしている最中に声をかけられ、声の主を探そうと、顔を上げながら随分と情けない声を上げると、
「そうそう。幾ら多感な時期だってちょっと見過ぎよ」
二マニマ笑いながら、魔里亜が言ってきた。
「こっこれは……その……だ、大体、そんな恰好をしてるのが……」
「そうっですよっと」
先程静止した声の主が、突然上から降って来た。
その影は、丸い、ボールのようなもので、空から女性が降ってきたわけでは、決してなかった。
「ぁうあ!?」
「あんさん驚き過ぎでんがな……」
又もや情けない声を上げると、呆れたように溜息をつかれる。
声の主は、2階で質屋を営んでいる背の低い、蛙の様な顔と口にある二つの出来物が特徴的な、蝦蟇口銭入だ。
「魔里亜はんも、たいがいにしときんさい。そんな恰好して。そのうち、ホンマに襲われるかも解らんで」
「いえ♪大丈夫よ。朋ちゃんは、私を襲ったりしないわよね~」
「ぁ……ぅいえ~ッと……」
言葉を濁していると
「むりしなさんな。それが男の性ッちゅうもんや」
むぅ。諭されてしまった。
「……しかし、何度も言うようにやで、ちょいと過激すぎるんちゃいます?」
銭入が言う。
それはもっともの事で、
彼女の恰好は
コルセットをつけ、元からギターのようだったくびれを更に強調し、白い肩を惜しげもなく露出させ、胸元が大きく開いたドレスにマントをつけるという、何んともまぁ、この国では些か目立つ物だったのだ。
「何よ。これでもまだ、ましな方よ。他にはもっと、すごいのがあるんだから……」
「……まぁええわ、どうせ、魔里亜はんがそんじょそこらの男どもに襲われたって、返り討ちにしてまうやろ」
「……いや、蝦蟇口さん、流石にそれは無いと思いますよ……」
銭入は朋和の言葉に驚いたように眉毛を上げる。
「ほぉ、あんさん、まだ魔里亜はんが普通の人間やとおもっとるのかいな。言っとくけど、魔里亜はんの実年齢は……」
朋和が興味深げに聞いていると、そこに魔里亜が言い放った。
「あら~?ふふ、がまちゃん、ちょ~っと、冗談言いすぎちゃったわねぇ~。ちょっと私の店に来てくれる~?」
その言葉に、口を開けたまま、銭入の顔が真っ青になる。
どうしたというのか。
「ちょ……ちょいと魔里亜はん、落ち着きなはれ、別にわいは……いで!!」
銭入の必死の制止も聞かず、襟首をつかんでずるずると引きずる。
「いえいえ、別に大したことじゃなわよ~、……ただ、今度売り出す予定の蛙を使った漢方薬の実験……いえ、服用者一人目の輝かしい賞をがまちゃんに授与させてあげたいのよ~」
首が閉まっているのか、銭入は喉をかきむしるようにしながら、暴れる。
「ちょ、ぐるじ……ッ!!ともがずはんたすけ……ッ!!」
「あら~別にいいのよ、朋ちゃんは~。ちょっと残念だけど今日はお開きね~。じゃぁ、ば~いば~い」
そう言いながら、魔里亜は開いている方の手を振ってくる。
「……ぁ、はい!!失礼しました!!」
何故か敬語で、しかもお辞儀までしてその場を立ち去った。
「……おなかすいたから、カフェでも寄って帰るか……」
しかし、彼は非日常の方へと、歩いていく。
「ともかずは……ん……」
銭入の言葉が、聞こえないふりして。
さて、ようやく基本となる登場人物がほとんどで揃いました。
エセ関西弁ですらない何かを使う蝦蟇口に、
あらあらうふふキャラが完全に失敗した魔里亜。
いよいよ次回は多分、カフェで真壁、織山、江宮の三大主人公格が顔を合わせます。
まぁ、あくまで予定ですが。
神の視点ばっか使ってないで、誰か特定の視点から、物語がそろそろ動くと思います。
では。