#2 少年の行方
「ちょっと待てよ…」
東ノ野卓…、ケンカをした例の友人だった。
「なんでアイツが殺されなきゃいけなかったんだよ!!」
思わず立ち上がる兼次。
「…兄ちゃん?」
いきなり叫びだした兼次に驚く姫更。
「ゴメン…、俺…ちょっと出掛けてくるわ…。」
頭を抱えながらヨロヨロと玄関へ向かう兼次。
「兄ちゃん、どこいくの?ねぇ…兄ちゃん!!」
リモコンを持ったまま思わず立ち上がる姫更。
『次のニュースです。一昨日の午後5時あたりー…』
――バタン
* * *
ふと気づくとそこは事件現場だった。
「なんでだよ…」
もう、ナニがなんだか分からなくなった。
壁にもたれ掛かり、兼次は座り込んだ。
「っ…、チキショー…ッ」
歯をくいしばった。
涙もでず、ただ悔しかった。
謝れず旅立った友人を殴りたかった。
あの日とても些細なことでケンカをした自分を呪いたかった。
「…立島くん?」
いきなり聞き覚えのある女性の声がした。
目を開いて、上を見ると東ノ野のお母さんだった。
「やっぱり…、立島くんなのね。本当に…息子がお世話になりました。」
鼻をすすりながら、兼次に深々と頭を下げた。
ただ見ていることしかできなかった。
「これからお時間あるかしら…。少しお話ししたいのだけど…。」
僕は静かにうなずいた。