#1 少年の裏切り
少しグロテスクかもしれません…
普通のアパートの一室。
そこでは、信じがたい事が起きていた。
身体中が震え、右手を伸ばして狂ったように叫ぶ少年。
「おっ、お願いだ!せめてっ!せめて命だけはぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その少年の目の前には、椿色の髪をした少女がいた。
「だって…裏切ったのは、あなたでしょ?」
そういって、少女は左手にもった銀色の怒りを降り下ろした。
#1~少年の裏切り
「ただいまー。」
玄関から響く少年の声。
「あ、おかえりーお兄。」
と、奥から響く少女の声。
「なんかさー、そこアパートにすげぇー警察いたんすけど。」
俺はそういって、重たい部活カバンを下ろした。
「あー、なんか殺人事件あったらしーよぉ。」
テレビを見ながら妹は言う。
「へぇ~、大変だなぁ。物騒になったものだなぁこの町も。」
窓から例のアパートを眺めた。
「そうねぇー…。
あ、杏!保育園に迎えに行かなきゃ!」
見ていたテレビのリモコンを手に持ち、ソレをいきなり俺に投げてきた。
…え?
「あー、姉ちゃん迎えに行くって言ってたぜ。」
一応、報告したからな。
俺は、立島兼次。今では珍しい、5人兄弟の次男だ。
ここにいるのは、次女の姫更だ。
上から順に、男女男女女で…俺はど真ん中だ。
「…なぁ、姫更。この前相談したことなんだが…、俺ケンカした相手いたじゃん?アイツ、アレからずっと学校来てねぇんだよなぁ…。」
投げられたリモコンで、チャンネルを変える。
おぉ、俺の住んでる田舎まちらしき映像がN●Kに。
「へぇ~、良かったじゃん?」
妹も、テレビに目をやる。
その反応に少々俺はビックリした。
「良くねぇ…よ。やっぱ、…心配っつーか…。仲直り…やっぱしてぇし。」
ボソボソと、なぜか照れさくなってうつむく兼次。
その時。
『今入ってきたニュースです。宮城県緒方町で高校生一人が殺害されているのが発見されました。』
あ…
『死後2日はたっており、遺体は首がない状態だったていうことです。』
…結構グロテスクな死にかたしてんだな。
『なくなった少年は、…』
その時、俺は目を疑った。
テレビに写ったのは…
『_東ノ野卓(16)_』