表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンドブルム☆アイズ  作者: 粟吹一夢
Episode−00 プロローグ
5/234

プロローグ

 世は大航海時代。

 しかし、船乗り達が乗り出していくのは、銀河の大海原。


 地球周辺の宇宙空域にしか行くことができなかった地球人、今ではテラ族と呼ばれている種族が、相対性理論を一部無効化させるアンドフリームニル理論を生み出したのは、今を去ること遙か昔。

 このアンドフリームニル理論に基づき、時間の伸縮を考慮することなく、光速を越える速度で宇宙空間を航行できる星間超光速移動システム「スレイプニール」と超光速通信システム「ヴァルプニール」を完成させたテラ族は、太陽系を飛び出し、銀河の大海原に乗り出して行った。

 未知の空域を探査し、居住可能な惑星を発見すれば、植民地化して移住を進めていくなどして、その領土たる空域を広げていったテラ族には、必然的に異星人、すわなち他種族との接触が待っていた。

 最初は、他種族とコミュニケーションを取ることもできなかったテラ族であったが、特定の言語に依存しない意思疎通の方法、具体的には、それぞれの種族が独自の言語で話していても、それをテレパシーの一種と考えられる意思伝達波と言語を共鳴させることで、あらゆる言語による意思疎通を可能とさせる方法を発見した。この方法は「ラタトスク」と呼ばれ、実は、テラ族を始め共存可能な銀河連邦の種族であれば、初めから有していた能力であったが、その存在に気が付いていなかったものである。

 このように、テラ族は、複数の種族との接触を踏まえて、試行錯誤を重ねながら、他種族との関係について、三つの原則を確立させた。

 一つ目は、既に星間飛行を実現させているなど、文明の進化程度が同等以上であり、共存が可能な種族とは、友好関係を結び、共存共栄の道を歩むこと。

 二つ目は、既に星間飛行を実現させているが、思考構造、倫理観、価値観などが絶対的に相違していて、共存が不可能な種族たちとは、その存亡を懸けて戦い、最終的には、その種族を滅亡させること。

 三つ目は、未だ星間航行技術を実現していない発展途上の種族には、その種族の自然的、自律的文明発展を阻害しないように、接触を禁止すること。

 この「銀河協約」と呼ばれる三つの原則に従って、テラ族は、友好関係を結んだ種族達と「銀河連邦」を建国して、その領土を飛躍的に広げていった。

 この銀河連邦は、各種族の故郷である惑星や新たに移住により開拓された惑星それぞれを一つの連邦構成国家としており、現在では、既に千を超える構成国家からなる銀河の大勢力へと発展していた。

 しかし、それでも銀河連邦の領土空域は、銀河系全体からすれば、まだ、その一角を占めているにすぎない。広大な銀河の大海原には、まだ見ぬ世界が広がっていた。

 当初は、連邦政府の公設探検船団のみが未知空域への航行を許されていたが、その進捗状況は必ずしも順調なものではなく、また、人々の未知の空域に対する果て無き探求心を押さえつけることはできなかったことから、連邦政府は民間探検船団の未知空域への航行に門戸を開き、更に、民間の惑星探査を推奨するため、新たな惑星を発見した場合、その発見者、発見者が誰かの依頼を受けていた場合にはその依頼主に対して、その後、二十年間にわたって、その惑星そのもの若しくはその惑星から産出される資源を独占利用できる権利を与えることを認めた法律を制定し施行した。

 そのため、多くの探検家たちが、商人などから資金を供出してもらって、未知なる空域に向かった。希少価値の資源を持つ惑星や快適な居住環境の惑星を発見すれば、探検家達は名声と報酬を、そのパトロンの商人達は莫大な利益を得ることができたからだ。

 しかし、新しい惑星探査はギャンブルでもあった。利用価値がある惑星を発見し、二十年間の独占利用権を取得すれば、莫大な利益をもたらす一方で、何ら利用価値の無い惑星であれば、探査費用の回収すらできないのである。

 そして、銀河の大海原はあまりにも広い。未探査空域はもちろん、連邦領土空域であっても、その治安維持を担当する連邦宇宙軍の目が行き届かない危険空域も多くあり、その危険空域では、探検船や商船を襲ってくる海賊達が跋扈ばっこしており、そしてそれを追討しようとする連邦艦隊と、今日もあちらこちらの空域で熾烈しれつな争いが繰り広げられているのだ。

 これは、そんな世界で偶然出会った、新進気鋭の若き惑星探検家シャミルと、熱き正義心を持つ連邦艦隊士官キャミルという異母姉妹が繰り広げる物語である。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ